第132話 ミチミカレディオ3
「レベルアップしているわ。」
【えっ何が?】
「私たちが与えた全ての能力がレベルアップしている・・・」
【へ~~ミチ達がくれた能力レベルアップするんだ】
「しないわ。」
【これからレベル100ぐらいまであがるの?わし】
「だから普通はレベルアップなんてありえないのよ。
与えた能力は最初から最後まで差はないものなのよ。
もちろん長年使えば経験という差の違いはあるけど・・・・」
【ふ~~ん。で、どういふうに上がったのじゃ?レベル】
「くっ、このすごさが全然わかっていないみたいね。
まあいいわ。じゃあ説明してあげる。
まず、言語変換能力。
これは、ジューローが他の人に、他の人がジューローに
話した会話が訳されて伝わっているのだけど、
訳さない事もできるわ!ON OFFスイッチで。」
【・・・・・・訳さないでいい時ってあるの?
そんな時ないから要らん事ない?】
「次に最初にあげた服、貫頭衣。白さが倍増しました。」
【白さ?レベルアップしたの?白さが・・・毎日洗ってましたけど】
「ふふっよくみて、白いでしょう~~。新しい洗剤の威力よ」
【洗剤の威力なんだ。レベルアップ関係なくね?】
「次に重力変換能力なんだけど、すごいわよ・・・なんと
1.02倍にアップしてるわ!」
「ショボ!!!!」
【ミチ横から言うなよ、わしのセリフを。確かにショボ!!少なくない?
アップ値が。】
「1.1倍ならともかく1.02倍はね・・・・まあ1.0倍よりはましっていう事で次」
【あっさり?あっさり終了?ないの?重力変換もっと言うことないの?】
「次はおお、これはすごいよジューロー、なんと若返っている!」
【おおおおすごい、今は熊のヌイグルミに入ってるからわからないけど、
戻ったら若返ってるの?
さっきの若い男性?きちゃう~~~俺のモテキ!
行くよ~~~ガンガンいくよ~~~!】
「惑星ドリスに送って、森の民として過ごしたのが約100日くらいか・・・
だいたいだけど、約300日ぐらい、1歳若返っています!」
【えっ?たった200日?全然若返ってなくね?ほとんど見かけ変わらないよね?
60歳が59歳になっても誰も見かけわからないよね!】
「ある程度、歳いったら80も90歳もわかんないよね~~」と
ミチが慰めなのか、ちゃかしてるのかつっこんできた。
ちょっと持ち上げられて、落とされた感じで少し気分が落ちた。
そんな死んだ目をしたわしを哀れに思ったのかミカが
「でもすごいのよジューロー、肌年齢は50歳なのよ!
コラーゲンがそうをこうしたのよ、きっと」
【ビミョー。そもそもコラーゲンに重きを置いてないし、とってもいないよ。】
「はい、最後になりましたが、検索&解説能力です。
なんと・・・これは“てへぺろ”のポーズを取らなくても口に出すだけで
OKになりました!」
【おおお!これはうれしい。今までのレベルアップの中で一番うれしいわ。
しょぼいけど・・・・】
「と、言う事で長きにわたりましたミチ・ミカの部屋どうだったでしょうか?」
【長きに渡ってって全然まだ聞きたいこといっぱいあるんだけど、聞いていい?】
「はい、何でもいいですよ。聞いてください。」
【じゃあ、まず1つめ聞きたいんだけど、俺の最後の能力・・】
「ああああああああ、やばいミカもうジューローの精神体の
タイムリミットが~~~」
「ええええええええ、もうそんな時間、すぐにジューローを地上へ」
【ちょい、またか!言えるだろう最後の能力が何か。言えよ、すぐ言えよ】
「それでは、前回ご好評をいただいた、
床に穴が空いて真っ逆さまに落ちてデザイアでございます。
お気をつけくださいね。」
【あと、ラ・メーンのことについて、
あっっっ、うわああああああああああああああ】
しゃべっている途中で、ガコーンという音と共に床が開いて、
延々と続く、先の見えない黒い穴へと落ちて行く。
わしは最後の力をふりしぼって張り叫ぶ!
【おまえら~~~~覚えておけよ~~~~いつかやってやるからな~~~~~~】
と届くかもわからない声を、落ちながら叫んだ。
※※※※
「それにしてもしょっぼい能力だけやったな~~笑える~~」
「何言ってるのミチ。このレベルアップがどんなにすごい事か
わかるでしょうに。」
ミチは、今までのおちゃらけた笑みをやめ真顔で答える
「私たちの与えた能力にはレベルアップがない。多少とはいえどうして
ジューローはレベルアップを成し遂げたのか・・
これはもはや進化に近いのではないだろうか?」
「・・・・・・・・・・」
腕を組み黙って考えごとをするミカ。しばらくの沈黙の後、
「わたしは、あの光が関係していると思う。どの属性でもない素、
宇宙開闢以来の新しい素、あえて名づけるなら・・・“神素”かしら」
「・・・そうね、彼はたぶん“神の器”なのでしょう。
それならラ・メーンがジューローを狙うというのも納得がいくわ。」
「まだまだ楽しませてくれそうね・・・私たちを・・そしてあの方を」
ジューローが落ちた穴が塞がって跡形もない部屋で
ミチとミカが語り合う。
まだまだ、ジューローを中心に動き出す世界の変革はこれからなのだ。




