第129話 ミチ登場
リューゴスが言うには夜中にいきなり立ち上がって、
森の中に消えていったそうじゃ。
すぐに追いかけたリューゴスは、なぜか見失ったらしい。
消えた?
それでも辺りを探していたらすでに裸で倒れていたとの事。
ふんふん。それで朝まで木の上で見守っててくれたのはいいとして、
何で裸で放置なのじゃ?
服あるなら上にそっと羽織らしてくれるだけでもいいんじゃない?
えっそういう性癖・・・放置プレイかと思った?
いやいやいやいや、師匠が放置プレイ大好きってどんな罰じゃ。
そんな人に師事する弟子も嫌じゃろう。
えっ裸で寝てたから・・・そういうの好きな人がいるの?
例えそんな人がいても、森の中で寝たら大変な事になるよ。
噛まれちゃうよ?被れちゃうよ?ちんちんが。
そうでしょう。気をつけてね、これから。頼むよ、師匠を労ってね。
まだ介護はいい。そこまではいい。大丈夫。
気を使わないで。
※※※※
ふむ、前にセコスとリゾート地へバカンスに行った時以来じゃな。
気を失うなんて・・・・
あの時も確か何か落ち着かない気持ちだった所までは
覚えておるのじゃが、その後は全く記憶にないのじゃ・・・・
これは、ちょっとマジメに聞いたほうがよいかな?
ミチとミカに。
あいつら全然わしにコンタクト取りに来ないしな。
ジジイだから興味ないんじゃろうか?
もうちょっとセックスアピールしたほうがいいのじゃろうか?
・・・・・・・・
チラッ
スパーーーーン
「ジジイの太もも見て誰がうれしいっちゅうねん!」
と、リューゴスがスリッパでわしの頭をはたいた。
わしは呆然とリューゴスを見つめたが・・・・
いつもと何か雰囲気が違う・・・
このツッコミは・・・・
「あれ、お前ミカじゃないか? ミカじゃろ?」
「ぶ~~~ミチでした~~~~~。」
「やっぱりミチじゃ!久しぶり!」
「なにがやっぱりだよ、間違ってたやんか。」
とリューゴスの体に乗り移ってしゃべっているので変な感じじゃ。
「ちょうどよかったわい、聞きたい事があるのじゃけど・・・」
「そう、それも含めて私たちからも話があるの。
ちょっと来てくれない?私たちの部屋に。」
「行くのはいいのじゃが・・・どうやって?」
「ジャジャーン!ゆ~~~うたいりだつ~~~~~ハンマー!」
「デカ!それただのデカイ木槌じゃない?」
「そう、ただ殴るだけで体と精神を分けることが出来るの。」
「いやいやいやいや、それで殴られたら分ける前に中身出ちゃうよ。
はみ出しちゃうよ!中身」
「グロっ・・・そんなことにはならんやろ・・・たぶん」
「自信無さげ!いつも自信満々なミチが自信無さげ!」
「いつも自信満々っていう事はないけど・・・たまに自暴自棄なだけ。」
「情緒不安定!今日のミチ、アンニュイ!何もそんな時にやらなくても・・」
「ツベコベ言わんと!いくよ~~~~~」
ミチが大木槌を大きく振りかぶる。
うわ~~~~まじで人殺し!やめて~~~~。
あっ今はわし実態じゃから能力使えるかな。
試しに周りを重力200%発動してみる。
べたーーーん
リューゴスが地べたにひれ伏した。
やっぱり有効じゃったか。
「ぐっジジイ・・何を・・・・」
「ぐふふふふ、わしもやられっぱなしではないのだよ、ミチくん。」
「くそ、動けない。重力変化を使ってるな。」
「わしも鬼ではない。ミチに選べばせてあげようかのう。
お腹で長期熟成された厳選素材25%からひり出される甘美なハーモニー屁か、
ただの屁かをのう。」
「ただの屁でお願いします。」
「即答じゃのう。わかった特別にお主には
お腹で長期熟成された厳選素材25%からひり出される甘美なハーモニー屁を
プレゼントしてやろう。ぐふふふふふ。」
わしは右手をお尻の前でお椀の蓋のように囲い
全神経を今、お尻の中心に込める。
ミチ、重力から逃れようとあがいても無駄じゃ。
積年の恨みを今、晴らす時がきたのじゃ!くっくくくく
「くらえ~~~~~~ミチ!今万感の思いをこの右手に込めて~~~~~~~」
「いやああああああああああああああああ~~~~~~~~~」
叫ぶミチ(リューゴスに乗り移ったミチ)
ぼかーーーーん
「いいかげんにしろ」
後ろから大木槌で殴られたのじゃ・・・・
意識が遠ざかる中振り返って見たのは・・・・
・・エメリ・・・さん・・・
に乗り移ったミカか・・・・
という所でわしは気を失った。
「まったく、いつまでやってるのよあなた達。待ちくたびれたわよ」
「ごめんごめん」
リューゴスが起き上がって埃をはらう。
「さあ、時間もないからいくよ、ミチ」
「はいはい、じゃ、いきましょうか、ミカ」
返事と共にリューゴスとエメリさんが、バタっと床に倒れ込む。
乗り移ったミチとミカが抜けたのであろう。
狭い部屋にはジューローとリューゴスとエメリさんが
折り重なるようにして部屋に横たわっていた。




