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第13話 薬草発見。初めての人体実験

 その後、みんなの興奮もおさまり、今はわしを先頭にレイクとリイナが他の子ども達を従え2列に並んで、軍隊のごとく進行している。なるべく、草花のある場所を案内してもらったのだが…。


 自分も手当たり次第に草木を検解してまわる。


 そのたびにテヘペロコールがおこるのがうるさいのだが、毎回つっこんでは話がすすまないのでスルーした。


 ちょっと広めの原っぱに出て同じように検解をしてみると…

 名もなき雑草…毒々しい紫色の雑草だが、日本名でオナモミに近い薬草。すりつぶした葉を沸騰したお湯に30分入れ、エキスを抽出したお湯を冷まし飲ますと頭痛、解熱に効果がある。


 おお〜ついに見つけた。やっぱりこっちの世界にも薬草みたいのはあるんじゃないかなとは思っていたけど、やっぱりあった。

 しかもご丁寧に薬の作り方まで。ありがたい。作り方は日本とは違うがこの世界ではそうなのであろう。ファンタジーの世界だから。


 よし、これをみんな手分けして探せば…

 「レイクこの毒々しい雑草をみんなで手分けして集めてくれんか。一人一つずつくらいでいいでのう。」


 すぐレイクが子ども達に伝令を飛ばす。すっかりわしの右腕と化してるが…まあ良しとしよう、便利じゃしな。


 続々と、毒々しい紫の雑草が集められる。

 「よし、貴様なかなかいい働きぶりだな。3ptつかわすぞ」

 「なかなかの早さだなおぬし。これからも目をかけてやるぞ」

 などと、レイクが雑草を持ってくる度に年下であろう子ども達に声をかけているのだが…

 単なる遊びだよね。ごっごなんだよね、このポイント制は?


 よし量はこのくらいでいいだろう。すぐにみんなで雑草を運び、族長の家へと急ぐ。一糸乱れぬ2列縦隊で駆け抜ける。


 家に着くとすぐにセイムさんにかまどに火をつけてもらって湯を沸かす。あれから、セレブさんと、セイムさんでマメに交互に濡れた布をあてて、冷やしてもらっていたが、あまり効果は現れていないらしい。まあ、そんなに急に治るわけでもないのでしょうがない。


 呪い師のカカカは、明日の具合を楽しみにしていると捨て台詞を吐いて

治らなかった場合の細い棒を探しに行った。

 …やるき満々やね。あの人は。


 紫の葉をすべてすり潰して、沸騰した釜に投入していく。30分ほど煮込むと釜全体が毒々しい紫色に染まっている。不思議と匂いはしない。無臭だ。沸騰した湯を漉して、木のコップに注ぐ。しばらく人肌くらいに冷ます。


 完成だ。たぶん。これで良いと思う。いいんじゃないかな。


 試すようで心苦しいが、そんな事を言っている場合ではない。セレブさんに族長の背中を起き上がらせてもらい、木のコップから族長の口に、紫色の液体を流し込む。

 顔の火照った族長がのどをならしながらコップ一杯の毒々しい紫色の液体を飲み干した。


 ふーーーっと一息ついて、また横になる。


 しばらくすると…族長の目がカッと見開いたかと思うといきなり、右回転で転がり、壁にぶち当たって、今度は左回転でつきあたりの壁にぶちあたる。転げまわるという感じではなく…

 ビタン、ビタンという感じで表、裏、表、裏というダイナミックな転がり方だ…


 2往復ほどして、ちょうど元の場所に戻る。


 呆然とその行為を見守っていたみんなが、一斉にわしの顔を不安そうに覗き込むが…


 トリカブトじゃないよね。あの雑草…



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