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第126話 動物進呈

前回の食中毒騒動もおさまりかけた頃に、兵士長シスパが

たくさんの動物を引き連れて集落へ来た。

例の王のお詫び品を持って・・・。


人気ダントツドベの王の銅像と

人気トップだった移動・運搬用の動物を抱き合わせで・・・

この時代でも抱き合わせって・・


こころなしか、シスパが浮かない顔をしている。

「お久しぶりです。シスパさんどうしたのじゃ?浮かない顔をして」


「・・お久しぶりです、ジューロー殿。実は・・・」

ものすご~~く申し訳ない顔をしているのじゃ。

何か嫌な予感がするのう・・


「実は、王の銅像の製作が遅れているのです。」


「は?」


「本当は3日で銅像が完成したのですが、それを見た王様が

コレジャナイ感満載!と言い出しまして。

もうすでに3回も作り直しているのですが・・・

せっかくの森の民に渡す銅像ですので、クオリティを妥協したくない

との事で、まだまだかかりそうなんです。」


「・・・・・・そう」


「申し訳ありません。お怒りは最もです。このシスパどんなお叱りも受けます。

それだけで気がすまないようなら、どんな拷問にも耐えます。

だからどうぞ、平に平に~~~~~~~。」


・・・・全然待ち望んでないから。

そんなお叱りだとか拷問だとか・・人聞きの悪い・・

わしらを何だと思っているのじゃ・・・


「馬鹿もん!わしらが・・・わしらがどんな気持ちで

王様の銅像を待ち望んでおると思うのじゃ!それをシスパに拷問じゃと!

そんな事でわしらの気持ちは修まらん!

わしなんかのう、王様の銅像をもらった後の使い道をあれこれ考えて

楽しみにしておったのじゃ。


例えば、銅像に乾きにくい厚手の服をかけて乾かす時に利用したり、

銅像の各部所に点数を書いて泥だんごを当てる的当てゲームなどを考えていたのじゃ。

ポコ○ン50点とかのう。

それを~~、その楽しみをどうしてくれるのじゃ~~~」


「・・・・・・・・・・・」無言で見つめ合うわしとシスパ。


ガッと肩同士を抱きあう・・・力を込めまくって。

頭と頭をこすりつけあって、ジリジリグリグリしてやる。


「そんな使い方したら、ぶっ○しますよ!」

「絶対にぶっ○されん!」

シスパもジリジリグリグリして返す。


しばらくそんな激しい攻防をした後に、

シスパを右にうっちゃる。

「おりゃあ~~~~」


軽快に転がるシスパじゃがすぐに起き上がる。

何事もなかったように、次の話題に・・・

「それで先に抱き合わせの移動用動物をお持ちしました。」

変わり身はやっ・・・・


部下に合図してその内の2匹を連れてくる。

「このダッフンが1人乗り用の短距離スピード型ですな。」


ダッフンという動物は、見かけは首が細長く、胴体は鳥のように丸っこい形じゃ。

足から首まで2~3mぐらいか。顔は優しそうな顔をしておる。

大人が股がって乗るように口にクツワと体にはアブミが付けられておる。

地球でいうダチョウに似ておるな。

ダッフンという名でもよいが

わかりやすいようにダチョウっていう名前にしよう。


「このダッフンは大人の走る速度の3倍くらいですかね。」

大人の走る速度が15km/時間として30km~45kmぐらいか。

まあ早いよね。


「このダッフンを50匹お持ちしました。」

おお、助かるのう。1人1匹はないが、連絡用、遠征用に役立てよう。


「それでもう1種こちらはブードンで荷物引き用ですな。」


ブードンという動物は、見かけは体が大きく4つんばいで4足歩行だが、

歩きはそんなに早くない。ブサイクな顔じゃ。

人間の歩くスピードくらいじゃな。時速3~5kmぐらいかな。

体が大きいので背中に大人3~4人なら乗れそうじゃな。


実際はこれに4輪車の箱を載せて荷物を運ぶみたいじゃ。

そこに人も乗れん事ははいじゃろうが、木のタイヤなので乗り心地

最悪じゃ・・おしりが真っ赤になるぞ。

地球でいうカバに似ておるな。よし、ブードンではわかりにくいから

カバと呼ぼう。


「このブートンも50匹お持ちしました。後ろの4輪付きの箱はサービスで

20個用意しておきましたので、ご利用ください。」


「本当にありがたい。さらにこれで森の民が発展するのに役立つでしょう。」


「これからの森の民の発展を心から願っております。」


その後はシスパとたわいもない話などをして、もちろんそのたわいもない話の中には

銅像の件も入っておるのだが、なかなかしつこい。

いらんと言っておるのに完成次第至急に早急にお持ちしますとのこと。


ダチョウとカバをいただき、それぞれの部署に手配して乗り方、

飼育方法を教えてシスパは帰っていった。


  ※※※※


シスパは王のお詫びの品、移動用動物100匹をジューローのいるヌル族の村

へ届けた帰り道、深い茂みの森の中を歩いていた。


一緒に動物を届けた業者数人と自分の部下と計10数人での帰り道だ。


ふと見ると、20m先に頭に布を巻き付けた男が大きな大木を背にコチラを、

というよりはシスパをジッと見据えている。


今まで賑やかしく、しゃべりながら歩いていた部下達が急に押し黙る。

無言のまま男の前を通りすぎるシスパ一団。


シスパはその男の前で立ち止まり、部下達一団とある程度離れたのを

確認して話しかける。


「こんなところにおられたのですか?リューゴス様」


「・・・・・・・・よけいな事はしゃべるなよ。」

シスパをにらみながら、流暢にしゃべる。


「もちろん私の口からしゃべるような事はありません。」


しばらく二人で無言のまま目で見つめ合い

リューゴスが大木から背を離し、先ほどシスパ達が通ってきた道を歩き出す。


シスパはその背を見えなくなるまで見送り、

だいぶ離れてしまった一団に追いつくように

城下町の方向へ小走りで向かった。


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