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第124話 魔改造

今日は朝から大忙しじゃ。

スペード商会のゴスンが納品にやってきた。


「お買い上げありがとうございました。詳細はこちらの方に記載させて

おりますので、ご確認ください。」

とゴスンはゲタンに商品名、商品単価、商品数、諸費用などが

びっしりと事細かに書かれた紙を渡した。


それをゲタンはわしにノールックで渡した。


「こんなもん、もらわんでも、わしはお前を信用しておる。

これからもよろしく頼むぞ!」と器の大きいところをみせるゲタン。


ちょっと感激した目でみるゴスン。

「こちらこそ、その期待を裏切らぬよう精進いたします。」


とガッチリ握手をかわすふたり。


まあ、後でわしがチェックするんだけどね。

ゲタンは面倒くさくて、わしに丸投げしただけじゃ。


まあそれでも、土木道具だけで1丸バッキャ(100万円分)分も払っておるのに

どんぶり勘定なのはさすがゲタン、剛胆じゃな。

たぶんデカイじゃろう。

何が?


「料金はすでにシスパ殿を経由していただいておりますので。

それではこれからも贔屓にしていただけますよう、よろしくお願いします。」

と頭を深々下げて帰っていった。


それを見送るわしとゲタン。

揃ってゴスン達一行を見送る。


「・・・・・行ったか?」

「・・・・・行ったのう。」


「よし、とりかかれ!」とゲタンの合図でどこからともなく

数10人の男達が土木道具に群がる。

わらわらわらと群がる。


そして、いま納品されたばかりの道具を分解しだす。

なぜって?


魔改造なのじゃ!

実はすでに、いかり長介率いる製作部署がすべての道具をコピーすることに成功しておるのじゃ。

そこで、わしのアイデアを盛り込んだ部品製作を指示して事前に作っておいてもらって、

今日納品された道具に改造を加えていくという事なのじゃ。


今日の為に段取りはばっちりなのじゃ。


今、納品された道具がバラバラにされ、広場一面に広げられている光景は

なんとも壮大な風景に見えるのう。

そんなおももちで、ゲタンと2人並んでしばしその光景に魅入っていると・・・・


後ろでゴロゴロガシャーンっとものすごい音が・・・

振り向くとそこには・・・・・・

呆然と立ち尽くしたゴスンがそこに・・・

顔がわなわなしておる。目を見開いて信じられない物をみるような顔じゃ・・・


さっき見えなくなるまで見送ったのに、戻ってきちゃったのか・・

「こっこれは・・・・・いっいいったい・・・」


まあ動揺するのもしょうがないよね。

だって今納品したの全部跡形無いんだもん。

バラバラなんだもん。


「まあ、落ち着けゴスン。取りあえず落ち着け。」

ゲタンがなだめる。

「こ、これが落ち着けられますか!」


「まあ、言いたい事はあるじゃろうが、最後まで見てみい。

話しはそれからしようかのう。」


あからさまに不満な顔を見せたゴスンじゃったが、

取りあえず気持ちを落ち着けるために黙って作業を見守る。


3人でず~っと魔改造を眺めておった。

すると、さっきまで困惑顔だったゴスンが次第に目をランランとしだし、

興奮してきたようじゃ。


「まさか、これは・・・素晴らしい!!!すんばらしいですよ!!!」

組み上がった魔改造品を間近に見に行き、実際に触ってもみる。


「このスコップ・・先端部分を金属に柄の部分は木で、持ち手は逆三角で持ちやすい・・

ノコギリも・・んっ持ち手が左右二つに・・そうか二人用なのか、なるほど。

この一輪車の輪の部分、木の輪を金属で薄く覆っている。そうか、木の輪だと

しだいに削れていびつになってしまうが、金属なら削れにくく長持ちするか・・

このはしごも二つつなげて・・すごい1つよりも安定している。

横についてるフックで固定しているのか。なんてすごいアイデアなのだ・・」


うん、だいたい言いたい事言ってくれたね。

わしの説明が省けて助かるよ。


それ以外の道具にも生前、日本で使っていた道具のアレンジを加えてある。

まあ、日本の道具に比べればクオリティは低いんじゃが、この異世界では

全然OKじゃ。これからの魔改造に期待も持てるしのう。


本当はわしが考えたのじゃなくて、日本の製品の機能、形状をパクったのじゃが、

こんなに褒められるとなんだかうれしいのう。地球代表になったみたいで。


「わかってくれたかな?この道具の有益性を。

別にゴスン殿を無下むげにしたわけではないのじゃよ。」


「はい、それはもう。少しでも疑ってしまった自分が恥ずかしいです。」


「本当は森の移転が終わったら、この魔改造をした道具をゴスン殿経由で

売りさばいてもらおうかとも思ったのじゃが、見られたからにはしょうがない。

ゴスン殿の自由にしてよいぞ。」


「えっ、というのは作ってもよいのですか?この道具を。」


「うむ。城下町で作る権利を与えよう。スペード商会に。」


まあ、えらそうに言ったが、この世界に特許なんてないだろうし、

森の民独占なんて言っても結局、マネされてしまえば、どうしようもないだろうしな。

そもそも、わしが考えたわけではないからいいじゃろう別に。


「ありがとうございます。変わりといっては何ですが、

ジューロー殿は食に興味があると伺ったのでこれをお持ちしました。

というか、これを渡し忘れて、また戻ってきたのですが・・・。」

という、小さい樽をわしに渡してくれた。


中を見ると真っ黒い液体じゃ・・・ん、これは!まさか。

黒い液体を人差し指ですくって舐めてみる。


「これは・・・魚醤か!」

御意ぎょい


・・・・・・・・・・

日本人だったわしは、大豆から作られる醤油が恋しくてしょうがないのじゃが、

魚醤でもありがたい。渇望してやまなかった味じゃ。

もちろん、植物性タンパク質と、動物性タンパク質との味は全然ちがうのじゃが

それでもこれはうれしい!


「それは最近城下町で出回りはじめた調味料です。

まだまだ生産量は少ないのですが、ジューロー様にどうかと、スペード様が。」


「スペード殿がわしに・・ありがたい、本当に嬉しいですとお伝えください。」

「ギョギョ!」


・・・・・ちょいちょい魚クンいれてくるんだけどこの人。


そんなやりとりを見たゲタンがわしを真似て人差し指ですくって舐める。

「うえっぺっ、なんじゃこの味は。まずい。」

「料理などに味をつける液体なのじゃ、そのままではまずいぞ。」

「まずいですギョッ!!」


・・・・・この魚クン殴ってよいかの?



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