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第115話 シスパ再び

気絶してもうたマブシを、気がつくまで家の隅っこの方へ寝かせ、

残りの仕事を片づけた。


結局マブシが起きたのはそれから2時間後じゃ。


「それで、思い出したのか?ゲタンの用事は。」


「・・・・あとちょっとで思い出せそうなんですけどね・・・。

あっ、セイムさんの髪のにおいがげれば思い出せそうな・・・」


わしはマブシの喉元に手刀を当て、できる限り低く押さえた声で警告する。

「おい、お前さん頭が胴体から離れるのいいのか?

胴体が頭から離れるのがいいのかどっちがいいのじゃ?

選ばせてやるぞ!」


「こわっ、それ一緒じゃないですか。こわっっっっっ」


「お前はエメリさんの事が好きじゃと言っておいて、

セイムさんにも手を出す気か?

許さん。そんなことはわし以外には許さ~~~~ん!」と強く力説した。


「お前はいいのかよ!」とセコスに頭を殴られた。


「あれ、お兄さんいつ帰ってきたのじゃ?」


「だれがお兄さんだ!ジジイ。しょーもねーこと言ってるんじゃないぞ。

それでマブシ何の用だ。」


すっかりわしのせいで、さっきの発言はなかったことにされたマブシは

スラスラと説明しだす。


「はい、ゲタン族長が明日ジューロー殿に昼までに族長の家まで来て欲しい

そうです。なにやら・・王城の兵士長シスパさんがみえられるそうです。」


シスパか、久しぶりじゃな・・・ということは・・・


「はい、ネズミの刑が執行されたそうです。」


 ※※※※


次の日朝早くわしは、リューゴス、セコス、セイム、レイク、リイナの

愉快な仲間達と共にヌル族に向かったのじゃった。


「だれが、愉快な仲間だ!」セコスがつっこむ。

「俺入ってないじゃないっすか、俺も愉快な仲間に入れてくださいよ~。」

マブシが頼む。


次の日朝早くわしは、リューゴス、セイム、レイク、リイナの愉快な仲間達と

セコス、マブシの不愉快な下僕達と共にヌル族に向かったのじゃった。


「だれが下僕だ!不愉快って何だ! えっマブシはいいのか、

入ってれば何でもいいんだ。」

すっかりツッコミ役として盤石の地位を得たセコス。

今日も順調じゃ。


順調に着いたつもりが、もう先に兵士長シスパさんが来ているそうだ。

わしも急いでゲタンの家へ向かうが・・・・


あれ、リューゴスの姿が見えんな。いついかなる時もわしから離れようとは

しなかったのに・・・。

まあ、いいかトイレとか、トイレじゃろう。

一緒に来たみんなもそれぞれの仕事があるから別れた事じゃしな。


ゲタンの家に入るとシスパとゲタンが話をしておる。

久しぶりの挨拶もそこそこにわし、ゲタン、シスパで話し合う。


「ネズミの刑が執行されたそうじゃな。」わしの問いにシスパがうなずく。


「はい、ようやく刑が執行され、状況を説明できる段階になりましたので

ご報告に参りました。」


ネズミか・・もう懐かしく感じるな。

第66話からになるか・・・50話も前の話じゃからしょうがないかのう。

だが、わしは好きじゃぞあの話。もう1回読むといいぞ!チラっ。


「つい先日、丸太に裸でくくりつけ、オカタ山頂上からふもとまで落す

イベント・・・刑が行われ……、大いに盛り上がりました!」


イベントって言ってるし・・・・

刑って言い直したのにもかかわらず、

もう途中から隠す気ないでしょ、イベント感を。


「毎年そのイベントは、落される道沿いに屋台がずら~~~っと並び、

それはもう圧巻の眺めなんです。ウキウキです。」

シスパさん・・いい笑顔だな。よっぽど楽しかったのか。


「今年は何と奇跡が!裸で丸太にくくり付けられたネズミが、

山頂からふもとまで倒れることなく最後まで滑りきり、イベント初のクリア者となったのです。


途中から滑り落ちる丸太の両脇を、観衆が応援しながら駆け下りるという

それはもう、城下町の住民が一体化した瞬間でしたな、あれはもう。」


珍しい。いつも冷静沈着なシスパさんが、興奮覚めやらずといった感じじゃ。


「まことに言いにくいのですが・・・その、

初のクリア者という事で英雄視されてしまいまして・・・

ネズミはその後の刑が軽減されることになりました。

鉱山で強制労働5年間だったのが、4年の恩赦が与えられました。」

非情に申し訳なさそうに言うシスパ。


「う~~む。まあいいんじゃないかな。別に。それより、俺も見たかったな。」


「ゲタン殿にそう言ってもらえてありがたい。本当に残念です。

見ていただけなくて。

わたしはかぶりつきで見ていたのですが、それはもうすごかったですよ。」

シスパいい笑顔。あっゲタン本当に残念そうな顔じゃ。


この世界の人はイベント好きというか、娯楽に飢えているのじゃな。


「以上がネズミに対する罪の執行経過を話させていただきましたが・・・、

続きまして、賠償の件でお話させていただきます。」


おお、どちらかというとそちらがメインかな。


「ゲタン殿には多大な迷惑をおかけしたことを、深くお詫びいたします。

ネズミの総資産をすべて売り払いまして約3丸バッキャ(約300万円)程

ありました。

それと、今回の侘びにと、王のほうからも謝罪の言葉と、お詫びの品のリストを

お預かりいたしました。その中から1点選んでいただければと思います。」


300万円か・・どうだろう? 多いのか、少ないのか全く分からん。

しかし助かるのじゃ。王様のリストも気になるな。


「俺は細かいことはわからんで、そこのジューローに任せた。」

ゲタンがわしに丸投げじゃ。


「それでは、シスパさんに聞きたいのじゃが、その3丸バッキャというのは

貨幣で渡してくれるのか? それとも3丸バッキャ分の品物と交換なのかな?」


「それは・・・どちらでもよいとの事でした。」


「それでは、貨幣で渡してくださるか。丸バッキャではなく、大バッキャ、

中バッキャ、小バッキャをいろいろと交ぜた3丸バッキャ分を用意して欲しい。」


「わかりました。」


「ジューロー何で貨幣でもらうのだ?」


「わしらも森移転の為に準備したほうがいいと思ってな。

丁度良い。シスパさんに我々の計画を聞いてもらってはどうじゃ。」


「うむ、それもそうだな。」


ゲタンがシスパさんに森の民合併計画を話した。

それに伴い王城、城下町に近い場所に村を形成し、ゆくゆくは交易を通して

今以上に友好関係を築きたいと宣言しておく。


シスパさんはとても興味深そうに聞き入ってくれた。


その間にわしは王のお詫びの品のリストを読んでみる。

あれ、やっぱり羊皮紙だな。紙はないのか?

まあ後で聞いてみるか・・・


話しを聞いたシスパさんが

「そういう事でしたら、今城下町で使われ始めた土木作業に役立つ道具なんかも

ありますので、賠償金で買われたらどうですか?」と進言された。


何それ?そんなのあるの。

すごく興味があったので、話は途中じゃが、すぐ帰ってもらった。

とりあえず今日は帰ってもらって明日城下町の商人と共に

サンプルの道具を持って来てくれるように頼んだ。


そんな道具があれば、村移設もはかどる事じゃしな。

なんだろうな~~~~。

ショベルカーじゃないかな?

ダンプカーとかあったら便利なんだけどな~~


・・・・・絶対ない。

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