第113話 隠し子疑惑
ヌル族の村に着き、ゲタンの家に、わし、セコス、リューゴスの3人で赴く。
中に入るとゲタンがもう1杯あおっとる。
「まだメシ前だというのに、何飲んでおるのじゃ。
良い事でもあったのか?」
「たまにはいいだろ、先に飲んでいても。
ん、誰だそいつは?みかけん顔だな。」
「・・・・・・・」黙るリューゴス。
「あっ、しゃべれんのか?しゃべれるのかどっちだ?お前。」すごむゲタン。
「・・・・・・チッ」
「舌打ちか、お前今舌打ちしただろ!腹立つわ~~~。何なんだお前は。」
「まあ待てゲタン、わしから説明しよう・・チッ。」
「お前も舌打ちか~~~~、ジジイ馬鹿にしてるのか?俺を」
暴れ狂うゲタンをジョコが抑える。
シャレのわからん奴じゃのう・・・チッ
と、心の中で舌打ちをして説明する。
「彼の名はリューゴスじゃ。そして・・・・言いにくいんじゃが・・
わしの隠し子じゃ!」
「「なに~~~~~~~~っ」」
みんな驚く。いや、セコスお前は知っておるじゃろ。
・・・ピュアじゃな、セコス。
「ジジイ・・・お前に子ども・・というか結婚しておったのか・・ジジイ。」
「うむ、あれは30年前じゃったかのう・・わしがまだ男を止めてない頃じゃ。」
外を向いて、遠い目をしながら話し出す。
「歳は35だったか、当時知り合ったグルコサミンという女と結ばれてな・・・
そして産まれたのが、このリューゴスじゃ!」
「話みじか!長くなると思って聞いてたけどみじか!」
セコスがまっ先にツッコム!
「男を止めてないって、今でも男じゃろジジイ!
あっひょっとして下ネタか?下ネタの方じゃったのか?
それに30年前って、この若造どう見ても20歳ぐらいだろ!
全然計算あってね~~~~」
ゲタンも負けじとツッコム。
二人とも思いっきりツッコんでくれて息がゼーゼーじゃ。
「ウソじゃ」
しなやかに、それでいてさらりと言ってのけた。
「「なに~~~~~~~~っ」」
2人とも驚く。
わかるじゃろう。本当はわかってたんじゃろう!
マジか・・・・本当に信じてたのか2人とも・・・
・・・ピュアじゃな。
そんなやりとりにも全然微動だにせずに見守るリューゴス。
笑顔なしか・・・。
あっよくみると唇がプルプルしておる。
細か~~~くプルプルしておる。
笑いをごまかしておったのか?
無茶しやがって!コイツ。
表情を出さない事がかっこいいという年頃かの。
まあ、そんな冗談はさておきゲタンに今日の一部始終を話す。
「ふ~~んそうか、どこの誰だかは言わねえと・・・。
ま、だいたいな・・・・リューゴスお前その頭に巻いてる布とってみろ。」
ゲタンがリューゴスに命令する。
その言葉に反応を示したリューゴスは頭に手を添え初めて声を発する。
「・・・嫌だ。この布は取らない。」
「やっとしゃべったか、若造。まあ取りたくないなら取らんでいいわ。」
「どういう事じゃ?この頭の布はリューゴスがケガをしておるからじゃないのか?
もしくはファッションだと思っておった。違うの?」
「まあ、本人がしゃべりたくなるまで待ってやればいいのじゃないか、ジジイ。
それにしても、ジジイが弟子とはの。驚いたわ、わしでさえ・・・
まあセコスがおるけどな。」
「だれが弟子だ、誰が」セコスが否定する。
「リューゴスの事はゆくゆくな・・・。これからはわしの弟子、森の民の一員じゃ。
ビシビシ厳しくいくからな!覚悟しるんじゃ。」
「・・・・はい。わかりました。」
相変わらず表情は変わらぬままだが、ちゃんと挨拶したからよしとするか。
「それではみんなでご飯食べようかのう。」
その後、みんなで食卓を囲んでわいわい騒いだ。
リューゴスはほとんどしゃべらなかったが、居心地は悪くないようじゃった。
しかし、寝る時は一緒か・・・暑苦しいのう。男ばっかりで雑魚寝するのは・・・
まだゲタンの所はいいのじゃけど、1部屋じゃから。
これがネル族のわしの寝床は倉庫を借りとるから3帖くらいなのじゃ・・・
3帖にわしとリューゴスか・・・・
なんかトキワ荘に住む新人漫画家みたいじゃな。
わしとリューゴスのペンネームは、ジューゴスじゃ!
二人共作で森界隈の藤子○二雄を目指すのじゃ!
よく考えたらネタは無限なのじゃ!
パクるだけじゃからな。
次回からは二人の協同生活、32P仕上げ、
そして初めての出版社へ持込じゃ!
絶対見てネ!・・・・・・ウソじゃ。




