第108話 最後の能力?
そういえば今思い出したのじゃが、確かミチ・ミカがわしにもう1つチート能力が、
とか言っていたのじゃ。途中で切れてどんな能力かは聞けなかったのじゃが・・・
たぶん、今じゃね?
この土地を新しい森の民の移転先と決めた今、造成するための能力!
チートスキル“土地造成”だと思うのじゃわしは。
よく、ラノベで出るもんね。好きだわ~わし。
あの土を盛り盛り、盛り合わせて壁作ったり、畑作ったりして
荒れ地を蘇らせていくやつ。
1晩で造成し終わってみんなが目を白黒させるやつ。
そういう話大好物じゃ!
何で知っておったのかのう、わしの嗜好を。
あいつ等にも良い所があるもんじゃな。
お~~い、ありがとうミチ・ミカ!
今じゃすっかりお前等の事、まったく思い出さん日の方が多いけど
毎日仏壇に手を合わせるよ、これから。
死んでないけどね(笑)。
いや、仏壇も無いけどね(笑)。
前置きが長くなったのじゃが、ここは皆の前でわしがしゃしゃり出る。
「みんな、離れるのじゃ。ここはわしに任せなさい。
今から、お主達に奇跡を見せよう。ふっふふふふふーーーー」
手のひらを合わせて顔の前で祈るようなポーズで精神を統一する。
だんだんと手の平が温かみを帯びてくるのがわかる。
なんか段々と手のひらが発光しているような気がする(脳内イメージ)
そしてしばらく息を止めていたが、
溜めていた息を吐き出すと同時に両手を解き放ち、
地べたに力一杯押し付け叫ぶ
“土地造成スキル発動!”
ババババーーーーーーーーンンンンン!!!!!
ちなみに効果音も自分発声じゃ。
わしの後ろで、その様子を見守っていた者たちがその光景を見て、目を見開く。
「なっなんじゃと・・・・」ゲタンがつぶやく。
「まっまさか・・・」ジョコが驚く
マブシは・・・言わんでいいじゃろう。
そして最後にエメリさんが、
「・・・何もおこってないんだけど。」
そうなのじゃ。あんなに粋ったのに何もおこらなかったのじゃ・・・
最後のチート能力は“土地造成”ではなかったのじゃ。
なんで土地造成だと思い込んだんじゃ、わし!
なんで信じて疑わなかったのじゃ、わし!
2分前のわしを、はり倒したい衝動を抑えながらわしは・・・
地べたに土下座のような格好をしたわしは・・・
この羞恥心を挽回するキーワードが思い浮かんだ。
これしか・・・もうこれしか、この場をおさめる術はない・・・
いくぞ!これが俺の生き様じゃ~~~~~~っっっっっっっっ!
「お~い、ブラジルの皆さん聞こえますか~~」
わしは言い切った。
この悪い流れをブちぎる為にあのギャグを言い切った。
「なんじゃそのブラジルというのは?」
「なんで土に向かって叫んだのですか?」
「どんな意味が?」
と矢つぎ早に質問責めに・・・
全然この場をおさめてね~~~~~。
手を払い、すっくと立ち上がったわしは
「これは、この裏側に住んでいる人たちに、本当は全然遠くてというか、
物理的に無理なんだけど、呼びかけることにより笑いを誘うっていう・・」
という今のギャグのおもしろさを語る辱めを受けることに・・・。
そんな恥ずかしい説明をしていると、
先ほど突っ伏していた地面がモコモコと盛り上がり
中から地球でいう豚ぐらいの大きさのモグラが出現!
驚いたわしらを尻目にどこからともなく、ハンマーの様な物体があらわれ、
ピコッという軽快な音とともにモグラに命中。
その後モグラは肉体と精神が分離されたように、肉体から頭に輪っかをつけた
精神体のモグラが天に召されて行く・・・・
その様子を驚愕のまなざしでみつめるわしに
ちょうど天に召されるモグラが正面にきた時に一言
〈ソンナ、チートナイヨ・・・ワロスwwww〉
と、言い天に召されていった・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
何この演出。
絶対ミチじゃろ。あのやろ~~
辱めを受け、羞恥にぎりぎりのところで耐え切ったわしに
なんという仕打ちじゃ!
こんな大それたモグラたたきのイメージぶっこんでくるぐらいのことが
できるなら、最後のチート能力告げるぐらいすぐじゃろ。
一言で終わるじゃろ。
まったくどんだけ、ボケに真摯に取り組んでおるのじゃ。
・・・そんなの嫌いじゃないぞ~~。
と天に向かって叫ぶ。
もちろん、最後にみんなの記憶を消していくのも忘れない。
今回はわしが土地造成の能力を使う前の所からみんなの記憶を消してくれた。
わーい、わーい。ミチありがとう!
さっきは怒ってごめんね~~~。
本当はわし怒ってないよ~。
と心の中で感謝したのだが、
よくよく考えるとこの108話丸々なかったことになるんじゃない?
っていうか無くてもいいんじゃない?
っていう事になる事に懸念していたが、なんとエメリさんが・・・
「えっ・・・何もおこってないんだけど。」と
わしの恥ずかしいポーズの事覚えてた~~~~。
エメリさんにだけ。
よかったわい。エメリさんだけ覚えておれば、わしの活躍は無駄ではなかったのじゃ。
ただエメリさんにはわしがボケている(アルツハイマー的な)
アピールをしただけで逆に心配されるという遺恨を残したまま終了した。




