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第11話 呪い師カカカ

 「また族長は倒れたのかい、ついこの間も倒れたばかりじゃないかい。」


 カカカはダミ声で悪態をついた。声もデカかったが、顔もデカかった。

 顔がデカイ分、体もアンバランスでだいたい4頭身ぐらいではないか。

 首と腰にはジャラジャラと石や骨の装飾をぶら下げて、指にも不揃いの石をくだいたようなものを身につけている。地球ならものすごい成金に見える。


 デカイ顔にはペイントで謎の模様が描かれており、よけいにインチキくささ倍増だ。


 「勝手にあがるよ」

 と無遠慮に奥の寝室に入り族長スブムを見た瞬間に、


 「これはいかんね。大分悪い状態が進んじまっている。早いところ処置しないと。セレブ急いでこの中から選びな!」


 と、懐から4本の紐のようなものを取り出し、セレブさんに突き出す。


 セレブさんも手慣れたように引く前に一度祈るように天を仰ぎみて、4本の紐の中から1本選ぶ。


 「はっ」と気合いをいれて選び出した紐をカカカに差し出した。


 「3だ。え〜〜と3番は…川に沈めて、30秒ごとに引き上げる。それを3回で1セットの3セットやればOK!引き上げるたびに生存確認忘れんな!」


 いやいやいやいや、ちょっと待って、なに?その江戸時代の座敷牢でもやんないような拷問。高熱で寝込んでる人に?鬼か、あんた鬼か!


 「ふ〜わかりました。よかったですわ。今回はいちばんイージーで!引く前に天に祈ったかいがありました。」

 セレブさんいい笑顔!っていうか今までどんな拷問受けてんだ!もっとひどい事、日常的に受けてるのか!よく死なないな族長さんよ。


 「本当だわ、お母さん。この間の滝の上から3日3晩吊るしあげてからの5km、川下りより、よっぽど楽だわ。あの時は私も死を覚悟しましたもの!」


 おいセイムもマジか!父親殺すつもりか!ゲフンとの許嫁の件根に持ってんじゃないの?本当は。


 いかん、こんなことやらせたら本当に死んでしまう。ここはわしが…

 「ちょっと落ち着きなさい。セレブさん、セイムさん。この病気はわしが今まで治したことがある病気かもしれん。一度わしの言う通りにしてもらっていいじゃろうか。」


 今までわしの存在を無視し続けてきたカカカがデカい顔をこちらに向け、ギョロリと大きい目でわしを睨みつけた。


 「この爺さん何者だい。この村にはこの村のやりかたってものがあるんだよ。よそ者は黙っていな。」

 やっぱりカカカから横やりがはいる。


 しかしその文句を無視をして、セイムさん、セレブさんに指示を出す。

 「まず体の熱を取らなければいかんのじゃ。首もと、脇のした、ふとももの付け根を水で絞った布をあてがい、温かくなったらまた水で冷やして熱を取る。これを繰り返しやるんじゃ。」


 「そんなことなら、川底に沈める私のやりかたの方が効率的じゃないのさ!」

カカカが横やりを入れてくる。


 「体力が弱っている時には逆効果なんじゃ。除々に熱を取り除かないといかん。セレブさん、セイムさん今は緊急時じゃ、わしを信じてくだされ。」


 「…わかりました。わたしは仙人様を信じます。」


 戸惑いながらもセイムさんはわしの指示に従ってくれた。セレブさんも怪訝な表情はみせたもののセイムさんに付いていく。


 「あんた!村一番の呪い師の私をさしおて勝手に指示を出したんんだから、もし治らなかったら、どうなるかわかってるんだろうね?」


 正直まったく自信はない。だが、わしには多少なりとも勝算はある。とうとうあの能力を試す時がきたのだ。


 「ちなみにわしのが効かなかったら、族長のスブムさんにはあんた、どんな治療があるんじゃ?」


 「ふん、今日1日無駄になるんだから、さらに強いまじないじゃないと効かないからね。とっておきと自分の中で評判の、“お尻に細長い棒を差して、200m全力ダッシュ5本”っていう切り札をやってもらうよ!」


 わしは表に全力ダッシュで出た。


 あの男を殺させはしない!そう、力強い意思で全力ダッシュで表に出た。

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