第1話 誠部はこんな奴ら
夕方、午後4時12分。
私立雪ノ丘高校、3階生徒指導室。
そこには、1つの部活動が存在していた。
『誠部』
生徒数の多いこの学園の平和を守る、正義の味方。
蔓延るを悪をコテンパン・・・・否、滅するのが彼らの使命である。
そして今、生徒指導室には3人の男がいた。
「暇だなぁ・・・・」
ぽつりと呟いたのは、部長である、近藤壱叉(3年)である。
体は大きく、割とガタイがいいほうで、運動部からの誘いは少なくない。
髪は、本人いわく「かっこよく決まっている」が、実際は結構ぼさぼさであった。
「女の子とデートしたい・・・・・・」
そして、相当な女好きだ。が、一向にモテない。
というのも、壱叉はあまり頭が冴えるほうではないからだろう。
「女の何処がいいんだよ。何か、ムニムニしてて気持ち悪いだろ?」
腰に響くような美声を響かせたのは、副部長・土方歳弓(3年)だ。
すらっとした物腰、きりっとした切れ長の瞳、長い手足。
壱叉とは逆に、女子に猛烈にモテている。
だが、特別な趣向の持ち主である歳弓は、相手になどしなかった。
頭のよさは部の随一で、副部長というより、参謀といったほうがよほど似合っているだろう。
「さっきも女子、ふってましたよね。しかもお決まりのセリフでばっさり。」
まだ声変わり途中な青年というより少年に近しいのは、部員・沖田双刃(1年)。
顔はかなりの女顔で、男からの告白のほうがよほど多かった。
少しキレやすい性格がたたって、女みたい、の一言を聞くと、すでに我はなくなる。
気がついたときには相手は半殺し・・・・否、4分の3殺しを実行した後だ。
「トシィ〜・・・・俺は、お前が羨ましいよ〜」
「壱叉、俺はあんたが欲しい。」
「いやあのさ・・・・?俺、そういう趣味・・・・ないから・・・・ね?」
「知ってる。」
歳弓の特別な趣向・・・・それは、男が好きだということである。
「俺は女に興味はない。」
これが女子をふるお決まりのセリフだ。
最早校内で、歳弓の趣味を知らない人間はいない。
それでも万が一、と寄ってくるのが女子なのだ。仕方がない。
コンコン。
「どうぞー。」
待ちに待った仕事が来た。
3人が3人、そろって同じ事を考えた。
「あのぉ〜・・・・」
「何だお前かぁ。」
「ほんと、気抜けちゃいますよ。」
「俺としては大歓迎だけどな。」
落胆する声(一名を除いては)を聞き、扉の前の男は苦笑した。
その後ろにもどうやら、もう一人いるらしい。
この二人は、この誠部の部員。
扉の前の男は山崎豊2年。
もう独りは、島田山太同じく2年。
2人は誠部の中でも、特別・噂調査部隊といわれ、噂の真偽を調査する役目についている。
「で?何か目ぼしいものはあったか?」
「いえ、ないですね。いいじゃないですか、平和で。」
歳弓の問いに、豊が答える。
そして豊と山太は、部屋に入り、静かに戸を閉めた。
「そんなことしてると、平和ボケしちゃうって。」
「おいおい、沖田。仮にも先輩なんだから敬語仕え?け・い・ご!」
「嫌ですよ、こんなのに使うの。」
「こんなの!?こんなのってどういうことだよ!?おいっ!」
双刃は常に、壱叉の言う事だけは聞く。
というのも、もともと壱叉、歳弓、双刃は同じ剣道場に通っていたのがそもそものきっかけなのだ。
小学校、中学校と同じ学校を経て、今に至る。
「サンタはいっつも血の気多いなぁ〜。脳出血するぞ?」
「近藤さん!そんなことで、自分は死にません!」
ちなみに、血の気が多いほうが山太である。
そして、投げやりなほうが豊。
騒ぐ一同。
そんな時、扉のノックがもう一度、なった。




