act.0 風は海から
エンドラインぎりぎりまで敵DFを引きつけ、ウイングは山なりのセンタリングを上げた。
誰もが予測していた状況であり、当然DFはクリアに向かい、GKが身構えた。
うねるようなカーブを描いて落ちていくボールに合わせるのは、はたで見るよりもはるかに難しい。
それを待ち望んでいた者がいた。
他の誰よりも一瞬だけ早く動いた選手が、わずか三十センチ前に出てボールに触れる。
甲を離れたボールはそのままGKの懐にもぐり込んで、ゴールネットを揺さぶる風と融けあった。
ゴールを告げる長い笛の音とともに、十番を背負った選手が顔を上げ、涼しげな笑顔を仲間に向けた。
陽の照り返しに手をかざし、満足げな微笑みに包まれたエースナンバーは、誰よりも大きく、そして眩しく映った。
風は海から岬に向かって吹いていた。
サッカー経験ゼロ、知識ほぼ皆無の、ただのサッカー好きがノリでやっちゃってます。細かいところはなるべくおめこぼしを、あまりにもおかしいところはご指摘いただけると非常に助かります。
オール・ダーティ・プロジェクトと勝手に称して、以前につくったものを懲りずにリペイントしています。時代背景とかが微妙なのはそのためだと解釈してください。オフサイドの人の絵柄で脳内補完して読んでいただければ幸いです。
そういえば、スポーツというジャンル、ないんですね。時代ですかね。
Jリーグ開幕記念、だったはずなのに、我がケロンパスはあんなことに……