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降格する

結城ユウキ 日和ヒヨリ

 それがあの子の名前だった。


 はっきり言って、苗字は名前だと勘違いをしていたし、名前は漢字を見て男の名前だと思っていた。だから、まさか『あの子』の名前だとは思っていなかった。

 O型の乙女座。女子って占いが好きだから、簡単に個人情報流出するんだな。……断じて俺はストーカーではなく、単なるクラスメイトなのだが、うちのクラスの女子は少しは警戒した方がいいんじゃないかと思う。俺が思うのもなんだけど。

 結城さんは自ら進んで話す方でも無い。だからと言って、控えめ過ぎる方でもない。可もなく、不可も無く……クラスに馴染んでいる感じの女子だった。

「浅河って、いつも変なの視線で追ってるよな」

 海野の声だ。……俺の視線の先を追うな。

「俺の癖。嫌だと思う程、目が離せないだけだ」

 だから、彼女を直視はしない。……いや、意識している訳ではないな。

 今の視線の先は……はちきれそうで可哀想な靴下だ。靴下という宿命だけでも、なんだか不憫だと思うのに、更に『はちきれそう』が付いてきたからな。残念過ぎる。

「へぇ、『そういう趣味』だと誤解されるかもよ」

 だから、俺の視線の先を追うなって。

「お前にはな」

 別に、そう誤解されてもいいよ。

「じゃぁ、そう誤解しようかな」

 イチイチ楽しそうだな、海野。

「あ~、はいはい。部活に行く」

「って、置いて行くなよ」

 いや、出来れば一人で行け。俺はお前と少しは離れたいんだ。


 だけど、俺の願いは叶わない。なんだ、俺はそういう役回りなのか? 結局、隣には海野が歩いている。

「今日、決めるんだっけ? 背番号」

 放課後の廊下で海野の不安げな声が響いた。

 ああ、そうだっけ。俺、六番のままでいいんだけど。って……そうか、海野は補欠番号だったっけ。

 俺も安心している場合じゃないかもしれない。あくまでも今は『仮』だった。





 軽い練習試合をした後の礼。その時だ。

「集合~」

 監督の声。勿論、俺も他の部員に従って走る。

「皆もわかっているとは思うが、背番号を一年に言う」

 そう、あくまでも学年別の背番号。と言っても甲子園に行けるようなレベルでも無いから、一年は十五人しか居ないんだけど。

 だけど、やっぱり背番号は大事だ。これを貰えないと、試合に出られる可能性はぐっと減る。

 監督の声は一番から呼んで言った。二番、三番……四、五。六……七。ん? 七?

(俺……呼ばれなかった。……よな)

「十番、浅河」

 は?

「……十二番、海野」

 十番って……。

「以上、何か意見のある奴はいるか?」

「はい」

「お、浅河」

「俺、投手じゃないです……けど」

 って。監督。何故笑う。

「尻に肉がある奴は投手に向いてる。取りあえずやってみろ」

 尻?

「いぃじゃん。監督から抜擢されるなんて」

 海野め。こいつ……俺が六番から降格した事を純粋に喜んでやがるな。

 お前が女房役なんて、俺は願い下げだ。



参考 http://oshiete.goo.ne.jp/qa/7600249.html より


投手ピッチャー:1番

捕手キャッチャー:2番

一塁手ファースト:3番

二塁手セカンド:4番

三塁手サード:5番

遊撃手ショート:6番

左翼手レフト:7番

中堅手センター:8番

右翼手ライト:9番



また、2番手投手には10番、3番手以降の投手には11番や18番、控え捕手には12番、控え一塁手には13番、また控え選手が主将の場合には10番が付けられることが多い。


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