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中途半端な学歴不要

株を上場して資本を得た坂本群馬には、いくつかやりたいことがあった。ベースは、農業革命だったが、ビジネスとカルチャーの融合もそのひとつだ。


この日、群馬は同級生の太田美津子に会っていた。美津子は大手のアパレルメーカーで働くキャリアウーマンだったが、体調をくずし、実家で療養していた。前回の同窓会では、実行委員も務めた。


「みぃちゃん、体調はどう?」


「うん、おかげさまで大分良くなったよ。そろそろ社会復帰もしないとね」


確かに、元気そうだ。群馬は安心して本題に入った。


「実はね。前に、みんなで集まったときに少し話したけど、新しい事業として、芸能事務所を立ち上げようと思ってね」


「あ〜、前に言ってたやつね」


「そう。今、うちの娘がモデルやってるの知ってる?」


「もちろん知ってる。美穂ちゃんでしょ。今や有名人だもん」


「その美穂を中心に海外で通用するタレントを育てようと思って」


「面白そうね」


「でしょ。実は、それをみぃちゃんに頼めないかと思ってる。体調の問題もあるだろうけど・・・。みぃちゃんなら、海外の経験も豊富だしね」


「え〜」


美津子は、驚いていた。そして、そんな大役が自分に勤まるか不安もあった。


「う〜ん。考えとくね。ドクターにも相談しないと・・・」


「返事は焦らなくていいよ。それと、もしやってもらえるなら、僕が全面的にバックアップするからね」


「ありがとう」


美穂は18歳になっていた。すでにモデルのみでなく、女優としても活躍していた。だが、実はこの時期、進路のことで悩んでいた。


「パパ、私、やっぱり大学へ行ったほうがいいのかな?」


「何で?」


「だって、将来、学歴はないより、あったほうがいいでしょ」


「そうだね。でも、これからの時代、中途半端な学歴は必要ないんだ。みんなが進学するからって、美穂も進学する必要はないんだよ。あゆみみたいに医者になりたいなら、医学部へ進学する必要があるけどね。実際、パパのまわりだって、学歴がなくても立派に世の中を支えてる人はたくさんいるし、世の中を変えちゃうくらいすごい人だっているよ。美穂は、何になりたいんだっけ?」


「パパがいつも死ぬ直前までやっていたい仕事が天職だって言ってるけど、それは何だかまだわからないの。でも、今はモデルや女優の仕事を本格的にやってみたい」


「そしたら、意味もなく大学へ行っているヒマなんかないんじゃない?」


「そうね、ありがとう。パパ」


群馬は美穂の卒業に合わせて、芸能事務所を立ち上げた。オモパロスプロモーションである。そして、リクルートしていた美津子からも返事がきた。


「群ちゃん、この前の話しだけど、私、やってみたいの」


「ほんと!ありがとう」


「こちらこそ、いいお話しをいただいて。頑張るね」


「あー、無理しなくていいよ。楽にね」


群馬がいうと、美津子の目は少し赤くなった。


こうして、美穂は美津子の指導のもと、海外を中心に活動を始めたのだ。


美穂には、こんな言葉をかけた。


「美穂、世界のステージで伸び伸びやってみなよ」


「パパ、ありがとう。私、頑張る」


「美穂が世界で活躍することが、そのうち、日本の経済成長にもつながるから」


頑張り屋で、責任感の強い美穂は、群馬の言葉で、誇りを持って世界へ飛び出すことができた。

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