4/4
4
痛い。
背中?
肩も。
頭も。
どこもかも。
温かい。
左手の先。
温かいものが触れている。
左手だけが痛くない。
ここはどこだろう。
一緒にいけたのか。
あれ、どこに行こうとしてたっけ。
誰と一緒に。
痛い。
薄く瞼を開ける。
暗い。
着いたのかな。
痛い。
体が動かない。
おかしいなあ。
どうして急に。
さっきまで自由に動けていたのに。
あれ、どこにいたっけ。
誰かと一緒だった気がする。
左手だけが温かくて痛くない。
何かに包まれている。
だけど動かせる。
目をもう少し開けて、手の方をみる。
かすかな光に照らされて人影が見える。
誰だろう。
女の人だ。目を閉じている。
両手は下に下ろしている。
僕の左手を包んでいるのはこの人の手だった。
彼女はじっと動かない。
眠っているのだろうか。
左手を包んでいるものを握り返す。
彼女の目が開く。
赤い。
「片岡君?」
言葉が出ないので左手でかすかに握りかえす。
彼女が手を壁に伸ばして何かを押すと、音が鳴った。
左手がすぐに再び握り締められる。
精一杯、握り返した。
「片岡君」
みるみるうちにその目に涙が溢れていく。
左手の温もりが、確かになっていった。




