表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

生まれは変えられない

「お前さえ生まれなければ…」


メイレーの声がエミリィの耳に響く。冷たい風が窓から入り込む中、母親の声は何度も反響し、部屋の隅にうずくまる小さな少女の胸に深く突き刺さった。


「お前さえいなければ、彼は…彼は帰ってきたかもしれないのに…」


エミリィの目の前で、メイレーが冷たい眼差しで足を踏みしめる。その足が、弱々しいエミリィの体を容赦なく蹴りつけた。息が詰まりそうなほど、痛みが全身を走る。


「お母さん!お願い、止めて!エミはまだ子供なんだよ!?」


その瞬間、先程メイレーに壁に叩きつけられ蹲っていたレーヴェの声が部屋中に響き渡る。必死に、母親を止めようとする姉の叫び。しかし、メイレーは振り向くことなく、冷たく言い放った。


「黙ってろ!お前がこいつを庇うから、こんなことになったんだ!」


レーヴェが泣きながらエミリィを抱きしめるも、母親の怒りの矛先は止まらなかった。エミリィはただじっと膝を抱えているだけだった。母親の怒りを、ただ受け入れるしかなかった。


「お前なんかいなければ、私の人生はもっと…」


メイレーの言葉は続く。どれだけ叫ばれようと、エミリィにはただ、ただ痛みを耐えることしかできなかった。その痛みが胸に重くのしかかる中、エミリィはただ一つ思う。どうして、母親はこんなにも自分を憎むのだろうか。だが、エミリィはその問いに答えを出せず、ただ耐え続けることしかできなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ