8 ルシファード兄上が巻き込まれた政変にトモルシードは、協力してその全貌に作戦を巡らしてゆく!
ルシファード第1王子をトモルシードは守り切れるのか?
新たな執事セバースを家に帰らした後に、サグラダ・ファミリアのダンジョン地下2階層へと低位瞬間移動魔法で攻略へ向かった。
インゴットを鍛冶職で創り出した、新しい剣で魔物と相対して、想像以上に剣の強度と斬れ味に…
独り言が思わず出た。
「もっと強い魔物から、得たインゴットを鍛冶職で創り出せばどれだけの名刀が………」
思考加速と先見の明を併用しながら戦えば、直ぐにダンジョン地下2階のフロアボス部屋の前まで到達していた。
オークキングと言えそうな
地下一階のオークの1.5倍はあり、その手にはその身に相応しい大剣を持ち、鎧も身に着けて眼光を鋭く紅く光らせながら、俺の目の前で不敵に構えフロアボス部屋を守っていた。
俺は、ワクワクしながら対峙してオークキングの大剣の攻撃を自慢のインゴット製の剣で受け止めて見せた。
パワー的に少しは後退させられるかも知れないと、考えていたのだが、俺は一歩も引くこと無くオークキングの一撃を受け止めて、ニヤリと笑っていた。
少しばかり、この剣の性能を確認する前提でオークキングの大剣の攻撃を受け続けた。
5分程度だったが、これ以上続けても意味が無い。
斬れ味が増したこの剣で鎧ごと横薙ぎ一閃でオークキングの身体を二分割にして倒した。
出現したのは茶色のインゴットと15センチの魔石と金塊を収納魔法に入れフロアボスに今からチャレンジするか?
どうかを思考し
自室に戻りルシファード兄上の車椅子
と自分一人で行けるトイレも必要に成ると低位瞬間移動魔法で自室に戻った。
自室の執務机でスマホで自動車椅子を検索し、魔力式自動車椅子の魔石設計図を書き出してから眠った。
翌朝、俺は毎朝のトレーニングを終えた時に、個人のドアの中の闘技場に赤色灯が点滅した。
これは俺が許可した人物が、俺の部屋に入室した場合に
点灯する仕掛けになっている。
俺は、ドアから出て寝室からリビングへ入れば
「お早うございます。トモルシード王子様。」
執事のセバースが俺に対して一礼した。
「あぁ、お早う!早いなセバース!食事はルシーシアとソフィーシア様とするから、その間に来るようにと先日伝えた筈だが?」
セバースは、間を置かずに
「本日よりトモルシード王子様の執事に、なりました事を第3王妃のソフィーシア様とルシーシア王女には、一言挨拶して置かなければ、トモルシード王子様が、恥をかく事になる恐れが在ります。」
そんな事を言われれば、セバースを朝食会へ同行させなければならなくなった。
「少し待っていてくれ、シャワーを浴びて着替えてくるよ。」
シャワーと馴染みのない言葉に、多少の戸惑い見せたが
「畏まりました。」
と返したセバースへ頷き
身支度を整え2人でルシーシアの部屋に向かった。
朝食会の席に座れば、俺の背後にセバースが立っている。
不審がるルシーシアとソフィーシア様に紹介する。
「本日から、自分の執事に成った。セバースです。これからもお世話になる方々だ!自己紹介をしておけよ。」
とセバースに全振りすれば
「元第1王子ルシファード様の執事長をして居ました。
セバースと申します。
本日よりトモルシード王子様の執事に抜擢して頂きました。
今後とも、どうか宜しくお願い致します。」
深々と頭を下げ続けた。
「貴方が有能だと有名な執事でしたか。
どうぞ頭を上げて下さい。」
ソフィーシア様にそんな評価をされていたのか?
と驚いた。
「挨拶が済みましたから、貴方も下がりなさい。
私くし達の執事と一緒に食事し、交流をしておきなさい。構いませんか?
トモルシードさん。」
と問われて、成程執事同士の交流があれば、今後色々と手を回せるな!
「勿論です。セバース御言葉に甘えて下がりなさい。」
と命じた。
セバースが部屋を出た後
「第1王子ルシファード様の執事長が、トモルシードさんの所に来たのならば、
問題は無くなったのですか?」
食事中にソフィーシア様から問われ
「とりあえずルシファード兄上が衰弱死する事態は、防ぎました。
しかし、命を狙われている事は、確かですょ。」
俺の返答にルシーシアが声を荒げて
「何故そのような非道な者達が、王宮に居るのですか?」
とソフィーシア様へ目線を向けた。
ソフィーシア様は、ルシーシアをその手で止めると
「第1王妃の時もそうだったと思いますが?
ルシファード第1王子が亡くなれば、都合が良い者も居るのですよ。」
俺もそれが1番の理由だろうと感じていた。
浮かない顔で食事するルシーシアへ
「安心して食事をして良いよ。
大体の犯人の目星は付いているから、
ルシーシアには危険は及ばないよ。」
ホッとしているルシーシアとは反対に、ソフィーシア様が
「主犯の理由は何ですか?」
とその瞳を輝かせながら問う
俺はわざと、間を開けてから
「第1王子ルシファード兄上が亡くなれば、第2王子のギルザルシー兄上が皇太子筆頭に成りますが………
ここまでの計画を実際に立てた黒幕は、ギルザルシー兄上では無い。
呪術系の魔法など、無理だと思います。
暫くの間は、相手を泳がせておきます。」
ニヤリと笑いソフィーシア様を見れば、あちらも微笑む。
朝食会とセバースの紹介も無事に終わり一端自室に戻り
昨夜完成させた魔力自動車椅子の設計図をセバースに見せ意見を聴いてみた。
「これが実際に出来上がれば、ルシファード様はとても喜ばれる事でしょうが…
魔石が無ければ絵空事に成ります。」
俺は微笑みながら、収納魔法から魔石を取り出して見せた。
「これだけの上質な魔石は、恥ずかしながら私は見た事がありません。
一体どちらで入手したのですか?」
フフフッと笑いながら
「ソレは、トップシークレットだよーセバース!
じゃあルシファード兄上の部屋に行くとするか!」
魔力自動車椅子の設計図を持ち自室を2人で出た。
セバースがルシファード兄上の部屋の警護兵に話を通し、ルシファード兄上の寝室へと招かれた。
兄上への説明はセバースに任せて、俺は設計図と魔石を取り出し他の配下達には、寝室から出てもらい。
設計図通りに魔石を錬成した。
まずパーツを全部錬成し、そのパーツを一気に新しい魔石で錬成し組み上げた。
その場所には、魔力自動車椅子が完成した。
ルシファード兄上は、言葉が出ない位に驚きその口をパクパクさせながら
何も言葉に出来ずに居た。
使い方をルシファード兄上に教えながら、魔力自動車椅子で入れる様なトイレも必要に成る。
寝室の奥に俺の部屋に在る
水洗式便所も創って、水道管は俺の部屋から繋げ
排水管は、直接浄水場に送ろうと考えた。
「セバース暫くの間、ルシファード兄上をリビングで魔力自動車椅子の練習を頼む!」
ルシファード兄上とセバースを寝室から追い出し
先にトイレ部屋と水洗式便所を錬成し設置させて
次に土魔法で水道管と排水管までの導線を確保してからインゴットの錬成で水道管と排水管を繋げた。
一仕事した俺は、ふぅーと息をこぼし
ルシファード兄上のキングサイズのベッドに座り込んだ。
隣のリビングからはルシファード兄上の笑い声と配下達の喝采の声が聞こえる。
後はルシファード兄上の部屋の周囲に結界を張れば今日の俺の仕事は、終了である。
俺は、ルシファード兄上のベッドから立ち上がり
半径100メートルの結界を張った。
この結界は、ルシファード兄上に敵意がある者が入れば俺に通報が届く仕組みである。
必ず敵が動き出すだろう!
ルシファード兄上の寝室からから、兄上とセバースを呼び水洗式便所の使用方法を
簡単に説明し
「これがあれば、わざわざトイレの為に配下を呼ぶ必要性が無くなり、
その魔力自動車椅子で入り自分一人で、何時でもトイレに入れますよ。」
これにも、ルシファード兄上は、御満悦だった!
そこまででお昼時になり
ルシファード兄上の部屋を出てルシーシアの部屋へとセバースと共に向かった。
昼食後、セバースの家族の避難の為に
「セバースの家族を連れて来てくれ!
何かに巻込まれない内に、
遠くへと避難させたい。」
とセバースに命令し
俺自身は、もう一度ルシファード兄上の部屋を訪れた。
魔力自動車椅子で機嫌が良いルシファード兄上に
「母上が所有していた別荘を暫くの間、使用させて下さい」
と頼めば
「そんな事ならば、好きなだけ使っても構わない。
元々自分とトモルシードの為に母上が所有されたのだから…」
ルシファード兄上は、母上の事を思い出したのだろうか?
淋しそうに
「すまん。トモルシードお前は、幼すぎて母上の記憶など無いのだったなぁ。」
詫びるルシファード兄上に
「母上の記憶は無いですが、自分にはルシファード兄上がいらっしゃるので、
充分幸せですよ。
それでは、遠慮無く母上の別荘を使わせて頂きますね。」
俺は、要件を済ませ
セバース1家の到着を待つ
セバースは、奥さんとまだ5歳位の男の子とやって来た。
ルシファード第1王子の執事長だったのに今は第4王子に使える事に、なった旦那のセバースへの視線が不憫に思えたが………
俺は、セバースの奥さんに事情を説明した。
「済まないが、何かあってからでは遅いのだ。
暫くの間俺の母上の別荘に避難していて欲しい。
勿論生活費は全て第4王子の俺が支払う。」
「そんなに危ないのですか?主人は只の執事ですけど?」
セバースは、知ってはいけない事柄を知ってしまったのだ
その事実があるから、敵が家族を人質にして、セバースの口を塞ぐ場合も想定した上で避難を勧めている。
動揺しだしたセバースの奥さんは、
「理解はしましたが、別の場所例えば、私の実家とかはどうでしょうか?
確か第4王子のトモルシード様の御母上は、第1王妃ですから、そんな御方の別荘に暮すなんて畏れ多いのです。」
確かに一般人からすれば、そう考えるのが普通だろうが
「君の実家位は、調べれば直ぐに密偵を送られる事は想定済みだ!」
セバースの奥さんは、そこ迄で観念した。
俺は、素早く済まないが家族で手を繋いで欲しいと頼み
セバースの肩に手を起き低位瞬間移動魔法で一瞬で別荘ヘ移動して見せた。
そこは、家具にまで真っ白い布がかかった。吹抜け式の大きな別荘だった。
「暫くの間は、このお金で生活してくれ!部屋は好きに使用して構わないから。」
財布の全額と金塊を2つセバースの奥さんに渡し
では戻るぞとセバースの肩を掴み低位瞬間移動魔法で自室へと戻った。
そして、執務室に転移先限定の別荘行きのドアをハメ込んで
「セバースが何時でも家族に会えるようにした!
セバースと製作した俺だけが別荘ヘ行き来できる。」
そこ迄してから
「イキナリ別荘に連れらたんだから、家族達は不安でいっぱいだろうから、
今日はそばに居てやれセバース!これは命令だ!」
主に命じられれば、執事としては逆らえない。
不承不承セバースがドアから別荘の家族のもとへ帰った。
ふぅーと安堵の吐息が漏れる。
後は、今回使用した魔石とインゴットより上質な物を
サグラダ・ファミリアのダンジョンの地下2階層で取り戻す。
と決断して夕食会に出た。
思考加速しながら素早く夕食を食べ自室からダンジョンの地下2階層へと低位瞬間移動魔法で移動し、ダンジョン攻略に励みフロアボスの部屋へと入った。
地下2階層のフロアボスは
中央の魔法陣から出現した、四角い鉱石を積み上げた
人型の巨大像であった。
俺は、身体強化も思考加速と併用して分身体を10人出して、攻撃を命じた。
インゴットの剣の斬れ味は凄まじく、鉱石で出来た腕や脚を切断したがフロアボスは鉱石が自然に回復する。
魔物だった。
しかし、攻撃力は凄まじいが
動き自体は遅いので余裕で剣で、攻撃可能だが………
恐らく何処かに魔物の核らしきものが在るはずだ!
10人の分身体にそれぞれ人間の急所を攻撃させれば、
人に例えるなら
心臓部分への攻撃で巨人の動きが鈍った。
巨人の手足を切断しながら、
俺達全員で心臓を貫けば
魔石が崩れて復活せずに消滅して、魔石とインゴットと金塊が7個づつ現れた。
俺は、全てを収納魔法に入れ次の階層に挑んだ。
地下3階層の途中でルシファード兄上の部屋に張って居た結界に悪意ある者が侵入した。
俺は、低位瞬間移動魔法でルシファード兄上の寝室の影に隠れて、気配を消して待った。
全身黒尽くめの者が、寝室の窓から侵入しルシファード兄上のベッドの横で、短剣を取り出し
「貴方様には、何の恨みも在りませんが…家族の為に死んでいただきます!」
と小さく呟いて
短剣を振り下ろす。
俺は、背後からその腕をガシッと掴み動きを封じて
「何も言わずに兄上を殺そうとしていたならば、
貴様の首を切断していたが、
何か理由が在りそうだ。
兄上を起こしたくない。
悪いが場所を変えるぞ!」
低位瞬間移動魔法で自室に連れて来た。
「なっ、何だ?何をした!」
と曲者もしくは殺し屋に言われ
「安心しろ!ここには俺しか居ない。それより家族の為に死んでくれ!
とは、どういう意味だ?」
全身黒尽くめの男が覆面を取り
「簡単な話さ!俺の家族には見張りが付いているのさ。
言う事に従わなければ、家族同然の皆んなが殺される。」
成程敵は、捨駒を利用して居るのか?ならば…
「人質全員を助けたなら貴様は俺に付くか?」
質問の意味がわからないのか?
「失敗したのだから、速く殺せ!」
と生き急ぐ。
「俺は、警備兵では無い。スペイ王国第4王子のトモルシードだ。
事と次第によっては貴様の家族を助け出してやらぬ事もない。」
殺し屋は、ゴクリと唾を飲み込んで……
「何でも話すから、家族同然の皆んなを助けて下さい。」
と懇願し片膝を付き俺に誓う。
「では、俺の条件を飲むという事で良いか!」
と言えば
「何でもしますし、神に誓います。」
「ならば先にお前の家族同然の者達を助け出そう、全員で何人だ?」
と問えば
「8人です。1回では無理でしょう。」
正直多いなと感じたが
「少しばかり準備が必要だが、無理では無いぞ!
少しだけここで待て!」
リビングに彼を置いて寝室で準備をする。
一番小さな魔石で、人形を8体錬成しリビングに戻れば
「エッ!もう準備が終わったのですか?」
と驚き再度床にひれ伏す彼を立たせて
「自分の家の場所を想像しなさい。
家の場所さえ把握すれば何とかなるさ。」
彼の頭の中を覗き込む
場所も建物も把握して
「それじゃあ助け出すか?」
俺は、低位瞬間移動魔法で彼の家の中に移動し
「8人全員起こして、連れて来なさい。」
バタバタと彼は行動しながら
何で俺は、家の中に居るのか?
と理解に苦しみながら全員を連れて来た。
眠そうな子供が
「兄ちゃん何で無理やり起こすんだ!」
と文句をつける。
女性5人に男性3人だった。
俺は、彼に1人づつ頭髪を提供させ人形の首に巻いていった。
魔法陣を描き中には入らない様に注意して魔法陣の中に人形を置いた。
すると人形が髪の毛人間そっくりに変化した。
「これで誤魔化せるだろう。」
彼に全員手を繋ぐ様に伝え確かめて、低位瞬間移動魔法で自室のリビングに戻って来た。
今日は、もう遅い時間だから
魔石でリビングに9人分のベッドを錬成して
「明日、話そうか!俺も疲れたから皆んな寝なさい!」
と告げて寝室に入って俺も寝た。
明日は、朝から大変そうだと思いながら深い眠りについた。
ルシファード兄上を亡き者にしようとした犯人が判明。
殺し屋だった男を2重スパイにして、確証を経る。