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ゲームしよう!

「棗〜?ど〜こ〜?」



似ても似つかない声が辺りに響く。


頭上の左斜め上から直線状の魔法が放たれた。


それをしっかりと棘が防御する。


空気がピリッと音を立てて。


「ねぇシルフ。シルフもバンバン魔法打っちゃってよ」



「えっあっでも。被害が」

「そんなのどうでもいいでしょ」


まるでゴミを見るような目でシルフと視線を合わせている。


随分と冷たいことを言い放つもんだと思った。


本当に僕はコイツを知っていたのだろうか。


…………分からない。


多分知っていたとしても誰だコイツとなるのがオチだろう。


さぁどうしようか。


あの地面を熱くするやつは結構難易度が高い。


しかもそこそこな範囲。


弱体化も1発で解除されちゃいそうだしなぁ。


いっそ強化魔術でキャパオーバー……はグロいなグロすぎる。


血にまみれるのはもう少し後にしたい。


まずは邪魔なのからやろう。


メモ帳程度の紙を見つめ言葉をはっした。



「ラオホ」



周囲に煙が巻き上がった瞬間、シルフの胸元を掴んで後方に放つ。


フレアとついでに自分にもかけといて良かった。


杖に乗ったフレアがシルフの脚を掴む。


重力に負けて一瞬下降したがすぐに持ち直した。


写真撮ってセインに送ろうかな。


そう思っていたら背後に殺気を感じた。


右に避けて、脇腹に蹴りを入れる。



「いっっ」



鈍く動く棘の腹にもう1発蹴りを入れた。



「痛い痛い痛い!!!」



わーんと子供のように泣き喚く彼に何も思えなかった。


嘘っぽいなぁ。



「また振り出しだな」



そう言うと顔のよく似た男はケロッと立ち上がって砂を落とした。



「だねぇ〜。シルフは連れていかれちゃったし。今頃酷いことされてんのかなぁー?」



試されているような瞳に居心地が悪くなる。


蛇に睨まれた蛙とはこのことか?


まぁ一応否定しといてやろう。



「ない。ありえない。絶対ない」



「断言なんて出来ないでしょ?棗みたいに女に全く興味がない訳じゃないし」



いやアイツはセイン以外興味ないだろ。


そんな言葉が喉まででかかった。


だが、コイツらにどこまで情報が漏れているか分からないが、知らないなら言わない方がいいだろう。


敵に塩を送らない。


唇の皮がピリッと亀裂が入る。



「棗!シルフか赤髪が帰ってくるまでこれで遊ぼうよ」


ヒョイっと投げられたのは銃だった。


何のヤツかは知らない。



「大人しくここで待つっていうのは?」



「楽しくないでしょ〜……ゲームとかどう?」



「ゲーム?」



思わず眉をしかめる。


嫌な予感しかしない。



「そう、制限時間はエルフのどっちかが戻って来るまで。魔術は使ったらダメだよ」



「意外だな」



「別に使ってもいいんだけどさ〜」



クルクルと銃を回す手を止めて僕の足元に弾が当たる。


棘の顔は怖かった。


夜道でナイフを持った奴より怖い。


自分の理解できる範囲外にいるからだろうか。



「棗も被害は出したく無いタイプでしょ」



「まぁ怒られるんで」



瞬間、破裂音が響く。


やっぱりコイツあれだな。


隙がありすぎる。


初めて会った時はなんだこいつ気持ち悪いと思った。


が、2回目?3回目に話して観察して分かった。


頬に血がつたう。


何が起こったか分からない棘は固まっている。



「どうした?怖くなったか?」



「……まさかまさか!!いいね!うん!いいよ!」



一瞬にして距離を詰められて額に突きつけられた。


ゾクリとした気持ちの悪い感覚が背中を支配する。


咄嗟とっさに突きつけられた銃を手の甲で殴った。


照準がずれ、後ろの木に弾がめり込む。


怖い怖い。


首にチョップを繰り出す。


こいつが寝てる間にっ。



「クンペル、」



ピッピッと鳴く声に習って脚を踏み出した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ウィンディーネ〜これ潰すの楽しいね」



「相変わらず趣味が悪い」



コントラバスのような声で正論を言われる。


2人は大丈夫だろうか。


きっと大丈夫。


銃撃戦になっても魔法戦でも負けない。


過信が1番良くないけど。



「スーちゃん戻ってこないね」



「様子を見に行くか?」



「いや……ダメ。戻りかけてる」



自身の髪を触る。


長くなってる。


薬打たないと。


バレる前に。


首の付け根に向かって小さな針を押し込む。


視界がグラッと揺れてバランス感覚が無くなる。


次に目を開けると髪はいつもの薄い黄色いクリーム色になっていた。



「行こうか。ルイ、ロイ任せたよ」



「「はーい」」



「分かった」



ウィンディーネのそれが合図になって軽く飛び跳ねた。


飛びと言うよりかは足を伸ばした方が正しいのか。


あの姿になれたら楽なんだけどな。


背中をさする。



「スーちゃん」



「レーくん!」



屈託のない笑みが心に刺さる。


この子が……………………。


本当の私を知ったらどうなるんだろうか。



「レーくん、あの箱みたいなのなんだろう?」



「箱?」



見ると小さな小箱が無造作に置いてあった。


触ろうとするスーちゃんの服を体に見合わない握力で握り締める。


その箱……いや足場がガタガタと揺れだした。



「やなよかーん」



「うん!凄い分かる!!」



彼女の手を握り上空から飛び降りる。


スカートめくれないように気をつけなきゃな。


ハイヒールがカッカッと音を鳴らして着地する。



「ウィンディーネ」



「分かってる」



海水で出来た膜に、瓦礫が落ちる。



「そのさ、痛かったりしないの?」



「急にどうしたのスーちゃん」



あっいや、と慌てた様子で目を色んな場所に逸らす。


棗なら私の鼻先を見て、フレアなら目を見る。


やっぱり他人って面白いな。


……他人は違うのか。


なんて言えばいいんだろう。


友達……はなんかふわっとしてて親友もなんか……。


腐れ縁か。


しばらく喋らずにいると彼女の顔色が悪くなってきた。


ふっと笑って「痛くないよ」と声に出した。



「ほんとに?我慢してない?」



「うん。そもそも手足の感覚はウィンディーネだから私には何も感じないんだよ」



だからこうやって防御に使うと後からグチグチ言われる。


今日もうるさいんだろうなぁ。


小さい瓦礫がれきがパラパラと落ちる中、人影が見えた。


……めんどくせぇ。



「今レーくん面倒臭いと思ったでしょ」



「バレたかぁ」



自然な仕草で後ろ髪をわしゃっと掴む。


あの人型は何の能力を持っているんだろうか。


面白そうなら欲しいな。


そんな期待を胸に海水で出来た膜を取り払った。



「殺すか?」



声が低すぎるせいで憎しみでもあるみたいだ。


首を振って指でバツを作る。



「殺したら恨まれちゃう」



「殴っても恨まれだろ」



もっともなことを言われる。


ただ生きているのと死んでいるのじゃ圧倒的に差があった。


それは口には出さなかった。


出すほどのことでもない。



「スーちゃん、私達はあの箱さえ奪えればいいからね」



「分かった!」



元気のいい返事に安心して、上空からの使者を待つ事にした。

最近はゲームばかりしてます。楽しいです。漫画も読んでます。闇金には手を出したくないですね。こんなに薄い後書きは今まであったでしょうか……。


良ければ評価やコメント、ブクマをお願いしますm(_ _)


【おまけ】

『壁にハマったシルフとただ見てるだけの棘』


「たっ助けてください〜!」


「何で?」


「ハマっちゃって抜けないんですよ!」


「えぇ〜面倒臭い」


「ほんとにっ、助けてください」


「じゃあさ今度棗と会う時一緒に来てよ」


「棗ってあの……お兄さんの?」


「棗って兄なの?」


「いや知りませんよ」


「俺だって知らないよ」


「双子でも兄か弟ぐらい分かりませんか?」


「人並みの生活してたらそうだろうね」


「あっそのごめんなさい」


「いいよ。じゃあ引き抜くから、約束忘れないでよ」


「わっ分かりましたっていっ!?」


「我慢我慢〜ほら抜けた」


「あっあっ……」


「あれ?骨やっちゃった?」

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