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不羈奔放なパーティーですが、  作者: 西園寺未來
ヴァンパイアの洞窟
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資料1 ◣ ◥

今から14年前。


少年少女誘拐事件。


空間の神様、アルバートが始めた実験である。


実験は主に階層ごとに分けられ、5階、4階、3階、2階、1階、地下の6階層。


上から順に『精神実験』『潜在能力上昇実験』『身体能力上昇実験』『神獣合体実験』『回復実験』『合成獣キメラ実験』。


このような事をした経緯は全知全能の神、ゼウスを倒すためだった。


何故倒すのかは不明なもよう。


地下以外の実験は元は存在しなかったものの、ある人工的に造られた神様によって増やされた。


その造られた神は、人間、エルフ、魔族、鬼、サキュバス、ヴァンパイア、虫人、妖怪、獣人、ドワーフ、オーク、魚人、天使、悪魔、神の何らかの液体が複雑に混ざり合って完成した。


体は弱々しいものの、5:5で産まれたハーフにだけ存在する、驚異的な身体能力と記憶力を持っていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


アルバートは試行錯誤していた。


いや、イライラしていたに違いない。


中々実験が思うよいに行かなかったのだ。


だがそんな中にも奇跡が起きた。


ある悪魔の血液を流し込んだ瞬間、他の血液を次々に飲み込んでいく。


それは42時間かけて人の体を成し、言葉を発した。


言葉と言っても「あー」や「うー」とかだ。


それでも彼は嬉しかった。


名前はサティ=ヴンダー。


天真爛漫てんしんらんまんで純粋な子供だった。


そんな子供に彼は1人の人間を先生に呼んだ。


國圉囿くにまきばゆう


温和おんわで幅広い知識を持った人間だ。


これは國圉とサティの会話である。



「せんせっ!せんせっ!きいてきいて!」



「なぁに?聞かせて」



「きょうねぇ〜せんせにあげる、えかいたの!」



「本当?見たいなぁ」



「いいよ〜」



しばらくのガサガサとした雑音が流れたあと、可愛らしい声が聞こえた。



「わぁっ!上手だね〜」



「えへへ〜」



「将来は画家になれるかもね」



「おふわぁ〜…………うん!画家になる!」



「ふふふっ」



ここで会話は終わっている。


ここから2ヶ月後。


新しい友達が出来た。


気の強い男の子と気の弱い女の子。


他にも友達はいたが、1番中の良かったのはその2人だ。


これは会話の1部である。



「サティ!俺らずーっと、友達だからな!」



「どうしたんだよ急に、当たり前だろ〜」



「ふふっ本当仲良いんだから」



「他人ごとみたいにいうじゃ〜ん」



「ちょっとサティ〜ふふっ」



そんなサティに事件が起こった。


普段は人間の目をして、サキュバスの角を生やし、エルフの耳に何の耳飾りも付けず、魔族の長い髪を鬼の爪で少し触って、ヴァンパイア特有の歯がチラリと覗く笑顔を絶やさず、妖怪の髪色をして、神様特有の血の気の無い体を動かし、虫人のような振る舞いをし、オークのような遊び方、獣人に似た匂い、ドワーフのような力強い声、魚人のしっぽをパタパタと上下し、右からは天使の羽、左からは悪魔の羽がふわりと舞う。


そんな姿は物心ついた時から隠してきた。


色々と不便だったからだ。


だがそれがバレてしまった。


急な持病の発作だ。


発作中は体の制御がゆうことを聞かない。


今まで誰にも強い否定をされたことがなかったサティ。


ここからはその会話内容と映像記録されたものを再生したものである。


少女は言った。



「…………気持ち悪い」



驚いたサティは何が何だか分かっていないようだ。



「えっ」



「気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い」



「待って、」



「来ないで」



「……話しを」

「来るな化け物!!!!!」



数多の種族の姿をした彼は目を見開いた。


次第にサティの頬はびしょびしょに濡れた。


少女が放った言葉はサティの心に深く傷をつけた。


閉鎖空間では噂の速さは世界的有名選手の短距離走よりも速いかもしれない。



「あっごめ〜ん、間違えた」



そう言ってサティの頭からゴミが降り掛かってくる。


中には血が付着した布が沢山あった。


頭から被ったせいで鉄臭い匂いがぷんと漂う。


他にも甘ったるかったり、死臭のような臭いさえした。


弱々しく「やめて」と言ったが、言い終わる前にゴミ箱の角で頭を殴られる。


ここの実験施設では凄惨せいさんなことが行われ続けていた。


目をくり抜いたり、複雑骨折になったり、生きたまま体を切り開かれたり。


サティはアルバートのお気に入りだったことと、驚異的な回復力によって怒りの矛先ほこさきは幼子に向かった。


ゴミを頭から被る以外にも蹴る殴るは当たり前。


羽をもがれたり、食べられない……毒物を無理やり口に押し込まれたりなどなど。


中でも幼子おさなごにトラウマとして強く残ったことが4つある。


1つは巨大な怪物に食べられたこと。


神様の心臓である核が割れていなかったから生きていられるぐらいの重体だった。


ほぼ顔の半分しか残っていない。


食われている間、肉体は回復を続けているため意識を失うことは無い。


ゆっくりと鋭利な刃物が同時に体に突き刺さる。


ぼとりと音を立てて、体は床へと吸い込まれていき、嫌な音を鳴らし脳がある場所が揺れる。


サティは金切り声を上げ続けた。


声は枯れることは無かった。


監視カメラを見たアルバートによって救出された。


それ以来サティは食べられることに恐怖を覚えた。


2つ目は化け物と言われたことだ。


つい昨日、ずっと友達だと誓った相手からてのひら返しを受けたのだ。


それも最悪な形で。


それ以来サティは自分と幽霊以外を信用しなくなった。


3つ目は嘘つきだと言われ事だ。


いじめが始まってからサティは自分を守る嘘をついた。


「お前キメラなんだろ」


「違うよ。誰がそんなことを?」


「皆言ってる!!!」


「皆って?」


………………。


「ねぇねぇ、サティはどうして嘘ばっかり着くの?」


「嘘なんかついてないよ」


「嘘つき!知ってるんだから!」


「何を?」


「サティが騙して友達裏切ったこと!」


「…………知らないくせに」


「なに?」


「僕のこと何も知らないくせに……裏切ったとか言うなよ!!!」


怒って、手を出した。


そこから噂がまた駆け巡った。


それ以来サティは信用できる相手以外には嘘をつくようになった。


4つ目は目の前で友達を殺されたことだ。


ここからはその会話内容と映像記録されたものを再生したものである。



「サティ、今日はいいものを見せてあげよう」



アルバートはそう言って、目隠しをしたサティを部屋に入れる。


目隠しを外されると淡い青の瞳に映ったのは、サティを化け物と言って、いじめの主犯格である2人の男女だ。



「アルバート様!何をするおつもりですかっ!」



嫌な予感が背筋を冷やす。


次の瞬間、女の鎖骨からへそにかけて1本の縦線が入る。


男の方はもう死んでいた。


穴という穴から得体の知れない虫が這いずり回っている。


それ以外にも赤黒く変色……いやもう真っ黒である。


女は低い唸り声を上げた。



「やめて……」



その声は弱々しい。



「やめろっ!!!!!」



手が伸びた時、それは振り払われた。


サティの目にはしっかり女の最後が映し出された。


口の中から赤い液体がダラダラと漏れ出していた。


それ以来、サティは仲間を傷つける者に激しい憎悪を抱くようになった。

いつ書いたらいいんだろう……と思って、章の終わりに書いたらいいんだ!と思いついた。割り込み投稿があって良かったと心から思います。ありがとう割り込み投稿。


良ければ評価やコメント、ブクマをお願いします(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)


【なんとなくの小ネタ!】


棗は寝起きがとてもいいです。目覚ましが鳴る前に起きます。

フレアはアラームが鳴ってから起きます。疲れすぎると聞こえない。

セインはアラームが鳴っても起きません。起きたらその日は世界が滅ぶんじゃないかと、棗とフレアが言ってます。


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