解釈不一致
眼下は苦しそうに蠢く屍の山。
声は聞こえないから、皆あっちで安らかに過ごしている。
今から私たちのする事は死体蹴りというのだろう。
「さて、火葬するか土葬。どっちにする?」
いつもどうりに口を開く。
「魔族は基本時に土葬です」
「じゃあそうしようか……あっでも私は水魔法が得意なんだよねぇ」
「1つしか決まってないじゃないですか。後、もう他種族になるのは止めてください」
呆れ顔で先端に4つの葉がついた杖を下げる。
一応魔法は網羅したが、やっぱり得意不得意は出てくるものだ。
私の得意は水で彼は火。
木、土、光、闇、音……などと数えだしたらキリがない。
あの子は多分闇。
髪色が綺麗な紫から黒に変わっていたから間違いない。
「レイラ様。辺りに木があります」
「そうだね」
「周囲に被害が」
「…………」
当たり前。
フレアが当たり前のことを言うのは、当たり前じゃない時。
海水で作った眼球が映すのは次々と地面を突き破る姿。
止め方。
「私が飲み込まれる前に探し出してね」
ガスマスク越しにニヤリと口角を上げる。
彼も少し楽しそうに杖に跨り、この場を去って行った。
大きく伸びをする。
「それじゃあ頑張ろうか。ウィンディーネ」
名前を呼ぶと、低い唸り声が響き渡る。
前に並行世界から来た本を読んだ時は驚いた。
あっちでは美しい女性の姿をした精霊で、人間との悲恋物語で知られているようだ。
私の知る彼は別世界で言うクラーケンに良く似ている。
果たして恋愛感情はあるのだろうか。
指を鳴らし、氷壁で外に出るのを防ぐ。
「ルイ、もう1回土に埋めるべきだと思う?」
泡がボコボコと出る。
「でも上がって来ちゃうんでしょ」
「そうだろうね」
手袋を取った手は透明。
ないようである。
よく誘拐されるのも、そのせいだろう。
返り討ちにした時の顔といったら面白くて仕方がない。
「レーラ」
「はいはい」
叱られてしまった。
両手を伸ばし、屍を上から氷で串刺しにする。
痛みは感じないだろう。
動きが止まる。
腐り果てた肉がちぎれていく。
『生命は大切にしなくちゃいけない。例え死んでいたとしてもね』
「…………先生」
「大丈夫。きっと見守っていてくれるから」
目から雫が1粒だけ流れた。
急に思い出す。
私に。
命を軽んじていた自分に。
生命の重さを教えてくれた。
グッと出そうなセインの声を押し戻す。
「もうちょっと耐えろよ〜?ちゃあんと元の場所に帰してあげるからさ!」
リンから貰った薬を、ガスマスクをずらして飲む。
指の先まで力を込めて、振り下げた。
小さな氷の針が彼らを突き刺す。
次第に動きは鈍くなっていく。
ゆっくりと木の枝に足を付ける。
「ルイ、シャドウと一緒にいた子はどこに行ったと思う?」
海水で出来た体は注意深く見ないと、存在を忘れてしまいそうだった。
「影の中に入ったんじゃないかな。ここは絶好の狩場だからね」
「そうだねぇ」
光が得意な子…………。
やっぱり2人は大丈夫。
地面に飛び降りて、踵がカッカッと音を打つ。
歪んだ視界が微かな光を包み込んだ。
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「……修理費どうしようっ!?」
億……は流石にないか。
いやでも。
早まる足にガラス片が当たる。
豪勢なシャンデリアは見る影もない。
喉が鳴る。
「おはようございます。スコーピオン様」
「あっおはようございます!……誰っ!?」
「ハクと申します。以後お見知りおきを」
綺麗に45度を保ったお辞儀が脳を焼く。
長い髪を後ろで1つに纏めている。
元の月白色は暗闇に溶けて灰白色に姿を変えていた。
ほんのり花の香りがする。
フーくんなら何の花か分かるだろうか。
氷のような瞳があたしを捕らえる。
「ディファンスッ!」
ーガガンッ
刃渡り10cmのナイフが防壁に当たる。
もう少しで刺されるところだった。
「急に何!」
「姫様と王子様の時間を邪魔させる訳にはまいりません」
「別に邪魔しようとは思ってないけど……」
口をすぼめてみせると、彼は敵意を剥き出しにしている。
ちょっと気合い入れないと。
待ってくれるか分からないけど。
ハクの手が伸びる。
髪に着いたシュシュを解く。
櫛を入れても中々サラサラにならない髪は地面とハイタッチしている。
頬をパチンっと叩く。
ナイフとの距離は約3cm。
「ジュエ」
長い髪が柄を掴み、彼に向かって投げつける。
「リーニュ」
魔法陣が出ては消えを繰り返す。
まだ。
まだ弱い。
まだ出来てない。
理想の人から遠ざかっていく気がする。
「リーニュ」
長い廊下。
辺りは闇に包まれている。
ハクはいなかった。
逃がした。
逃がした逃がし逃がした逃がした逃がした逃がした逃がした逃がした逃がした逃がした逃がした逃がした。
手に力が入る。
鮮紅色が溢れ出した。
探さないと。
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これを彼がみたら、犯人は許されないだろう。
大量の屍人見た時だってそうだ。
瞳の無い目がいつもより死んでいた。
まるで機械で掘ったみたいに均一。
土は若干湿っていて、柔らかい。
宝物庫は雨が降らない。
………………。
最近見た画像にあった巨大な生き物。
現実に存在するならば、神獣か精霊しかありえない。
神獣なら獣臭が少なからずするから、精霊。
好きな人の言葉が脳裏に浮かぶ。
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俺がセイン様の傍に立てるようになった日。
彼は俺を海まで連れて行った。
手をバシャバシャと付けて、大きく上に伸ばす。
「フレアは精霊について知ってるかな?」
「まさかセッレイラ様が精霊と契約を結ぶ可能性を考えていませんでしたので」
「つまりは知らないと」
言葉を遮られてしまった。
可愛いなぁと思っていると、影が光を奪ってしまう。
首を上げると本で見たクラーケンらしきものがいた。
「コイツはウィンディーネ。大体の本ではクラーケンと言うらしいけど」
「俺が知っている情報とは全く違います」
体が震えている。
彼は難しい顔を作った。
「いやまぁクラーケンでも間違ってないんだけどね。怒るんだよこの子」
「なるほど」
手に冷たい感覚が加わる。
吃驚して手を見たが、レイラ様は気にする素振りも無い。
普段聞かない大声が耳を支配する。
「いいかいウィンディーネ!彼は食料じゃない!」
ふぅと多分息……水蒸気?を吐く。
神様の体は難しい。
「あの、今のってなんですか?」
指が離れる。
「宣言?」
「分からないんですか」
「こんな大声でやらなくてもいいんだけどね〜……これやっとかないとあの子食べちゃうから」
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ウィユオワゾの時も食べられたと言っていた。
皆、精霊に食われた。
墓が掘り起こされたのは精霊の腹が減ったため。
それならあの少女は使いだろう。
契約を結んだ特有の臭いがしなかった。
………………。
嫌な予感が頭を掠める。
嫌いな奴。
手すらも貸したくない。
けどレイラ様が悲しむのなら。
俺はちゃんと要望に添いたい。
ミステリー書ける人憧れます。
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【唐突プロフィール】
名前/ルイ
誕生日/7月26日
好きなこと/日記
嫌いなこと/実験
趣味/魚鑑賞
種族/元 魚人 現 幽霊
ちょっかいをかけるのが好き。最近の玩具はスコーピオン。
名前/ロイ
誕生日/2月2日
好きなこと/チヤホヤされること
嫌いなこと/力加減
趣味/ルイがやってることを真似る
種族/元 鬼 現 幽霊
よく力加減を見誤り、物を破壊する。自分でハイリスクハイリターンの賭けをする謎行動が多い。




