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海と炎

フレア視点

「結婚して下さい」



「断る」



かれこれ、5840日求婚し続けている。


なにが駄目か聞いてみても反応は無い。


今日は凄くイケメンな日だなぁ。


長い前髪の隙間から覗く瞳の無い目が、今日は怒りを含み細くなっている。


いつもならパッチリとした目で、ニコニコと微笑んでいるのだが、中々見れないのである意味レアであった。


あっちょっと顔が1mmだけ欠けてる……。


許せねぇぶっ殺さないと。



「フレア」



「なんでしょう、レイラ様」



声も綺麗だ。


まるで小鳥がさえずっているかのようだとコンマ1秒で思った。


口小さいな。


歯も可愛かわいい。


左右の少しだけ尖った歯がいい。


その歯で俺の指とか噛んでほしい。


なんなら噛みちぎっても最高。



「フレア。この状況は理解した?」



「最高です」



「…………置いてくぞ」



「付け回します」



俺たちは今手首が繋がっている。


なんと俺得なことだろうか。


半分だけ感謝を伝えずには居られない。


けれども少し気になったことがある。


定番の手錠ではなく、赤いロープ。


彼にかかれば簡単に取れるのだが、何故かしない。


少し手を手袋の方に寄せる。


かすかに皮膚が冷たい感覚が宿やどす。



「レイラ様」



「どうやら私達は新手あらての脱出ゲームに参加してしまったみたいだ。言っとくけど、私は君を探すのが面倒だから外さないだけだからね」



心臓がぎゅうっと息を止める。



「はいっ」



緩む頬を戻そうとしても無駄である。


鼻に海水の匂いが挨拶をした。


右手が引っ張られる。



「まずはあの謎を解かないといけないみたいだよ」



繋がっていない方の手を掲げる。


そこには大きなモニターがあり、異様な光を放っていた。



「え〜っと……〝クソ野郎は何の食べ物が好きか〟……なんですか?これ」



「さぁ。後、勝手に文章を変換しないで。確か棗のパペット人形を持ったエルフっぽいのがいたから……君なら分かるんじゃない?」



1、2のリズムで近づかれる。


心臓が持たない。


ドキドキに苦しくなっているとセイン様は姿を変えた。


瞳に瞳孔どうこうが差す。


耳もいつもより丸い。



「………………」



『許して?』



何とも言えない感情が脳を支配した。


セイン様はほぼ全ての種族になる事が出来る。


ただし、その反動で体の穴から血が吹き出し、

内蔵にも負担がかかる。


何が言いたいのかと言うと、彼は直ぐに無茶をしてしまう事。


それもこれも全部あの博士のせいだ。


アイツが……アイツさえいなければ……。


でも。


アイツが居なかったら、セイン様とは巡り会えなかった。


こぶしに力が入る。



『今更博士のせいにしても仕方ないでしょ』



「だけどっ!」



つい声が出た。



『いずれ殺るんだから、その時までは……ね』



いつもより長くなった髪を耳にかける。


神様の形状より少し低く、2mmサイズの違う口を開けた。



「オムライス!玉子は呑めるぐらいにふわふわ!」



ーがシャンっ



全くの的はずれなことを言ったが、扉は軽快な音を立てて開いた。



『嘘をつく必要はありますか?』



セイン様は上半身を振り向かせる。


背中まである髪が弧を描いた。



『最初から最後まで嘘で固めた方が、バレないでしょ?』



ニヤッと笑った。


美しい。


本当に彼は……。


息をするように嘘を吐く。


モニター画面に次の質問が映し出された。



「棗の好きな色……これ何問まであるんだろう?」



「全て知りたいなら100は超えますね」



「終わったぁ〜」



全く思っていないことを言う。


不貞腐れた表情は子供っぽさをにじみ出させた。


しかし、このまま質問に答えていてもらちが開かない。



「レイラ様、壁に近寄ってもいいでしょうか?」



「どうぞ」



承諾しょうだくを受けて繋がった腕を引っ張らないように歩く。


けれど後ろに体が傾いた。



「レイラ様」



「そのまま進んだらいいじゃん」



「……じゃあそうします」



ニコニコと微笑む未来のお嫁さんの足と胴を支え、持ち上げる。


片手が繋がっているから気をつけないと。



「98%の確率で想像していたことが現実になった」



「残り2%はなんですか?」



「引きずっていく可能性と、この場から動かない可能性」



可愛い。


なんて可愛いのだろう。


目から涙以外も出てきそうだ。


というかさっきのセイン様の脳内には俺がいたってことになる。


……脳内の何割が俺だったのだろうか。


ヤバい気になってきた。



「結構厚いね。破壊して脱出する?」



宇宙空間に漂っていた意識が現実に引き戻される。


腕の中に黒い髪に毛先が白くなっている、セイン様が足をバタバタさせた。



「そうですね……ただ、簡単に破壊して何か起こった場合が心配ですね」



「何かって?」



彼はよく回答を求める。


それは分からないからではなく、分かっているから求めるのだ。


教師が生徒を当て、当たっていたら「よし」と言い間違っていたら正しい回答を教える。


それと全く同じに等しいだろう。


いつもより脳内実況を長くしているせいで疲れてきた。


セイン様の髪に触れようとしたが、繋がっていない手で思い切り胸板を押される。


その拍子に彼は軽やかに足を地面につけた。



「頭はダメ」



……そうだったか?


いや、〝レイラ・マグレーネ〟としてはダメなのか。


…………「レイラ・マグレーネは気分屋、相手をよくおちょくって最後には華麗に勝〜つ!カッコよくない?」


と、こんなこと言ってたな。


一言一句覚えるのは当たり前。


これからも聞き逃さないようにしないとだ。



「質問の答えは?」



「警報音が鳴り響き罠が出現する可能性、普通に壊れて天井が落下する可能性、後は爆破した際の二酸化炭素濃度が上昇しかねない可能性がパッと思い付きます」



「なら大丈夫だね。やってくれる?」



頭を上下に動かす。


杖を構え、脚を広げ重心をしっかり保つ。



「リニアッ!」



体に強い反発力が加わる。


体をきたえとかないと、直ぐに自分が打った魔法によって吹き飛ばされてしまう。


壁から薄い光が差し込むと同時に、亀裂きれつが入り豪快ごうかいな音が耳を突く。



「掴まれ」



「はいっ!」



手を掴みセイン様は浮いた。


今は神様の姿か。


帰ったら先生に見てもらわないとな。


頑張って押さえつけないと。


米俵こめだわらの要領でかつがれて、ゆっくりと下に下降する。



「フレア」



「レイラ様」



「これは何と酷いことか」



映る世界は屍人しにんで溢れていた。


どこの空想世界の話だろうか。



「レイラ様、2人は」

「無事無事。で、アレどうする?もうすぐ宝物庫の方まで行っちゃいそうだけど」



「食い止めますよ」



「うぃ」



何とも気の抜けた返事だったが、こういう時ほどセイン様はよく動く。


全く今回の誘拐犯は迷惑極きわまりない。


そう思って杖を強く握り直した。

ブラッド編終わらなさそうなので


ブラッド編▶木曜

宝物庫編▶日曜


的な感じで頑張ります。有言実行出来ませんでした。申し訳ない。


良ければ評価やコメント、ブクマをお願いしますm(_ _)m


【魔術用語】

・シュヴェーベン……緩やかに浮かんで緩やかに降下する

・フェアヴェンデイ……姿が変えれる。性別は変えれない

・フリーゲン……めっちゃ飛ぶ。ただしめっちゃ下降するから単体で使うと死ぬ。

・シュネル……めっちゃ速くなる。


取り敢えず虫の草原までです。

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