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3つの目線 ◤◢

ヴァンパイアの洞窟では徒歩。


虫の草原までは確か馬車。


妖怪の学校までは牛車。


タクシーという名の無人の車にも乗った。


魔族の宝物庫までは、何故か小さなトラックで行くことになる。


いやマジでなんでだよ。


平行世界パラレルワールドではKトラと言うらしい。


で、僕とフレアは荷台に乗っている。


マットレスを敷いているが、中々に揺れた。



「なぁ、アイツってなんで運転荒いわけ?」



「あれはレイラ様の意思じゃない。海の意思だ」



寝転んでいた体を起こす。



「どーゆーこと?」



「臓器移植で嫌いだった食べ物が食べれる話とか、聞いたことないか。レイラ様もそれと似たような感じだ」



「分かりやすく」



チッと舌打ちが聞こえる。


1回で理解できないからって、毎度イラつかれるのは困ったものだ。



「手と足だけ自分とは違う意思なんだ。基本的には従っているみたいだが…たまに欲が出るとうわっ」



フレアが言い終わらないうちにトラックが、右に曲がる。


思わず荷台から落ちそうになった。


嫌いな彼の服を掴む。



「触るな」



「今のは不可抗力だ」



僕とコイツの間にバチバチと火花が散った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


昨日まで三つ編みだった髪を撫でる。


下の方で緩く結んだ髪は、寝起きのままでボサボサだ。


昨日適当に買った色つき眼鏡も、新調してもらい気分もいい。


にしても昨日の今日で早過ぎないだろうか。


何デも屋の事務所は、ほとんど同じ色で統一されており、あたしには居心地が良かった。



「大丈夫?外は色ばっかりだけど」



「大丈夫です。前よりは……平気」



「そっか。辛くなったら助けを求めるんだよ?あそこの皆は優しいからね♪」



放つ言葉が内側の湖に落ちていく。


やっぱりここはいいなぁ。


誰も〝姉〟を押し付けてこない。


あたしには姉がいる。


優しくて強い。


そんな姉は病気でこの世には居ない。


悲しかった。


あたし以上に母は嘆き悲しんだ。


今でも心臓が痛くなる。



「すーちゃん」



ハッと顔を上げる。



「なっ何?」



「嫌なら、待っててもいいんだよ」



長い前髪を真上で止めている。


どこを向いているのか分からない瞳。


けれど何故だかこっちを見ているような感覚がする。



「…………」



口が一気に乾く。


声が出ない。



「曖昧が一番良くないよ。戻りたいなら戻ればいいし、嫌ならちゃんと話せばいい」



まるで見透かたような物言いに、スカートをぎゅっと握り締める。


あの施設にいた時から、彼は変わらないようで変わっていた。


雰囲気が違うのだろうか。


ちゃんとした答えが浮かばないまま、問いの返答をする。



「……嫌だ……けど……怖い」



歯切れの悪いものになってしまった。


セー君は何も言わない。



「あっ私のことは外では〝レイラ〟って呼んでね」



「?どうしてですか?」



「実は私は今追われているのだよ」



「えっ!?」



衝撃の事実に驚きを隠せなかった。


この神は何をしでかしたのだろか。


片手運転をしながら、指の先を見つめる。



「実は私がまだ君たちを集める前にね、ライバルだった子がいたんだ。ある日その子が突然消えてね。何ヶ月か経った頃に出会ったんだ」



「それで?」



「まぁ…思いっきり襲われたね。噛みつかれそうになった。だから、姿や名前を変えてみた。そしたら襲われなくなった」



「どうして……その時捕まえなかったんですか?」



すると彼は罰が悪そうに、口を尖らせる。



「動いてくれなかったんだもん」



荷台で話していた彼らに目を向ける。


なー君達がいる場所には盗聴器が仕掛けてあり、何を話しているかは筒抜けだった。


それは内部側も同じだ。


フー君と目が合う。



「暇だから個人的な目的でも話さない?新しい子も増えたわけだし」



ついにハンドルから手を離し、大きく伸びをした。


少しくぐもった声が聞こえる。



「俺はレイラ様と一緒にいたいだけです」



「僕はすおーを探すのと、直すための小銭稼ぎ」



「私も棗と一緒かな〜♪小銭稼ぎは違うけど」



「あたしは……」



掌を握り締める。



「居場所と自分探しです」



それを聞いて3人は微笑んだ気がした。



「いいね、いいねぇ〜♪じゃっ飛ばすよ〜」



言うと同時に、勢いよく発進した。


まるでカーレースのような走りっぷりに、全身が震えた。



「おッッッッ前バカじゃねぇの!?」



なー君の怒号が聞こえる。


これはジャンケンに買って正解だったな。


振り返ると、2人は縁にガッシリと捕まっている。



「大丈夫かな?」



不安を口にすると、レー君の声が後を追う。



「形さえ保ってたら、魔術で引っ付けられるから大丈夫だよ」



けらけらと笑う彼に一抹の恐怖感を覚える。


目線を前に向けた。


眼鏡のせいで、視界はほぼ1色に見えている。


先程までは栄えていた町が、今ではもう見えなくなっていた。


代わりに木々がざわめき、光に当たりキラキラと輝く宝物庫が見えた。


名前だけなら、地下深くにあると思いがちだが実際はそうでもない。


そういえば……



「あの2人も仲間にするの?」



ふと思いついた疑問を口にする。



「うん。まぁ入ってくれるか分からないけど一応ね。あっ曲がる」



その瞬間体が90度に曲がる。


もはやシートベルトは意味をなさない。



「落ちる落ちるっ!!!」




「レイラ様!もう少し何とか出来ないですか?」



「諦めて〜」



3人が代わる代わるに喋る。


その様子が少しおかしくて、笑った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


もう何日ここにいるのだろう。


彼の様子を鉄格子の隙間から伺った。


人間…………らしきものが横たわっている。


形状は見ているだけでも吐きそうだった。


胸から下が無く、破裂したように感じる。


軽快な声と、悲痛な声が辺りに響く。



「やめてぇっ!!いやっいやぁぁ!!!!」



「君も使い物にならないなぁ〜。腕も足も生えてこないし。」



「助けてっ助けてっ!!!」



手足の無い虫人は必死に泣き叫ぶ。


だが、その願いが届くことはなく、思い切り床へと叩きつけられた。


肉が音を立てる。


ぐちゃっとした鈍い音で、辺りには血が飛び散っていた。


彼と目が合う。



「錯乱状態は直ったかな?」



「……………………」



「答えないとまたバラバラにしちゃうけどいいの?」



「直りました。」



「そっか。じゃあ明日から遊ぼうね」



自分が錯乱状態から抜け出しかなんて、分かるわけがない。


適当に答えたことを悟られぬように、顔を俯かせた。


あの日の事が脳裏に焼き付いて離れない。


古びたパーツを意識がある状態で切り落とされる。


想像を絶する痛みに吐き気を覚えた。


早く。


助けに来てくれるといいなぁ……。


棗。

現在、投稿ストーリーの加筆・修正を行っております。

「日常の始まり」「ヴァンパイアの洞窟」「虫の草原」「妖怪の学校」までは加筆修正を行いました。

「ブラッド」は少々お待ち頂けると幸いです。


良ければ評価やコメントをよろしくお願いします(ᐡ . .)"


【唐突プロフィール】

名前/スコーピオン

誕生日/10月20日

好きなこと/勉強

嫌いなこと/肝試しとか……

趣味/カフェ巡り

種族/魔族

よくドジをするが、戦いになると豹変ひょうへんする。度胸が凄くある。

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