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不羈奔放なパーティーですが、  作者: 西園寺未來
ヴァンパイアの洞窟
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Welcome vanpaia

さっきからフレアのセインに対する態度に嫌気が差してきている。


フレアは満面の笑みを浮かべており、セインはガスマスクをつけているため顔は見えない。


でも何となく、そろそろ飽きてそう。


大きな欠伸あくびして、セインに話しかけた。



「なぁセ……レイラ。あのカップケーキってどこで買ったんだ?」



セインがこちらに顔を向けると、フレアは少し不機嫌になった。



「あぁ。人間の街だよ。なんで?」



「知ってる味だったから、もしかしてと思って」



「そっかそっか〜。あぁ、あっちでは名前間違えないでね♪」



「分かってる」



彼はけらけらと笑う。


セインは過去にいろいろあったせいで、外に出る時は素性を隠して生活していると仲間になった時に言われた。


1番気になるが、まだ話す気はないらしい。


僕はため息をついた。



「足疲れた」



「貧弱者がっ」



「フレア」



少しドスの聞いた声が響く。


2人して肩がビクッとなった。



「今は事務所の内部じゃない。喧嘩はあまりするんじゃないよ。それとなつめ、ルイの背中に乗ったらいい…………はたから見たらヤバいけど。」



レイラの手から水が零れ落ちる。


落ちた水は足から腹へと体を作っていく。


僕は水で出来た人型の背中に乗った。


今は春で、少し暑いくらいだから丁度いい。



「俺も構ってよ……」



「いい子で待てて偉いね~フレア」



レイラがフレアの頭を撫でる。


2人の身長差は20cm差のため、頭を撫でる時にフレアはかがまなければならない。


何となく親子に見えなくも……ない、絶対無い。


体に冷たさを感じながら、瞼を落とした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


体に衝撃が走る。


といっても揺さぶられるような感じだ。


多分これは……



「んっ……せれいらぁ……」



「何か混じってるね」



寝ぼけまなこを擦りながら、状況を理解しようとする。


辺りは赤い霧で覆われていて、目の前には洞窟が思った以上にあった。


僕はルイの背中から降り、大きく伸びをする。


その時、可愛い声が聞こえた。



「あの……。何デも屋の方でしょうか?」



「はい、そうです。依頼人はデロイド・コークリア様で、お間違いありませんか?」



「はいっ!あっ、わたしは案内人のスヴェンです。よろしくお願いします」



目の前の少女……実際は女性……お婆さんかも知れないは、ニコリと笑った。


人間以外の種族は長寿で見た目が若いままのヤツが多い。


なので見分けがつかなくて困る。


1度それで理不尽に激怒されたことがあるから、マジで面倒くさい。


人は見かけに寄らないからな。


レイラはさっきからスヴェンと話をしている。


おそらく仕事の話だろう。


レイラは事務所の社長的なポジションにいるから、中々多忙だ。


仕方ないしフレアを構ってやるか。



「フレアくんは~ヴァンパイアとか好き?」



「急に何だ。気色悪い」



そう言ってフレアはゴミを見るような目で、僕を見る。


なので僕も汚物を見るような目をしてやった。



「「痛っ」」



おでこに衝撃が走り、2人しておでこを押さえた。


レイラを見る。


振り返りこそはしなかったが、左手で首を切る動作をした。



「なっ仲良くしような~フレアくん」



「そっそうだな~なつめくん」



若干声が震える。


フレアも同じだ。


そこにスヴェンが口を挟む。



「お2人は仲良しなんですか?」



レイラが僕らを睨んだ。



「あぁ!仲良し仲良し!もう仲良すぎて困っちゃうよ」



「そうそう!親友みたいな~あはは~」



「そうなんですね!なんだか羨ましいなぁ……」



「えっなんで?」



思わず口から声が漏れた。


スヴェンは少し驚いた顔をしてから、話す。



「仲の良かったお友達が旅に出てしまって」



「へ~……あっあれって」



僕の声に合わせて、3人が前を向く。


そこには道中で見かけるヴァンパイアよりも、遥かに大きいヴァンパイアがいた。


物騒な感じはせず、品性が零れるたびにヒシヒシと伝わってくる。


多分王様だ。



「初めましてデロイド様。何デも屋を経営している、レイラ・マグレーネです。」



レイラが丁寧にお辞儀をする。



「遥々(はるばる)ご苦労さまです。さぁ中に入ってください」



王様は黒いマントをひるがえす。



なつめとフレアも来て。」



「分かりました」



「はーい」



レイラのあとについて行く。


中は暗く、足場も悪い。


手で持てるタイプの燭台しょくだいで足元を照らすが、あまり見えなかった。


10分ぐらい歩いただろうか。


ようやく歩き続けていた足を止める。



「さぁどうぞ。座ってください」



椅子を引き、ドカッと座る。


王様は レトロな棚から、紙を1枚取り出した。



「名前はアルブス・ラーベル。こいつを殺してくれたら、子売りも少しはマシになるはずだ」



「何で?」


聞き返すと、目が合った。



「組織のボスを倒すと、大体破滅するだろう?破滅しなくても、あまり活動が活発化はしなくなる。ワタシはそう考えているのだが……皆様はどう思いますか?」



「それなら逮捕とかでいいんじゃ……」



「ここはそんな概念はないんだよ。1度法律を作ろうとした王様が殺されてしまってね。それ以来誰も触れようとはしない。まだ死にたくないからね」



「ヴァンパイアも死ぬんですか?」



依頼を受けた時からずっと思っていた。


3人が驚いた顔をする。


王様が口を開いた。



「あっはは。そりゃあ寿命もあるし、ちゃんと死ぬよ。にんにくや十字架なんかでは死なないけど、日光を浴びれば死んでしまう。それか、胸の中心にある心臓を刺せば間違いなく。」



王様はカラカラと笑う。



「本には不老不死と書いてあったから」



「そうかい。それで言うと人間も違ってる部分があるよ」



「えっどんな」



「それは依頼が全て終わってから話すよ。少しレイラさんと話がしたい」



王様はニコッと笑った。


見た目に反して温和なヴァンパイアだ。


レイラから離れたくなさそうなフレアを連れて、僕は外に出た。


急な明るさで頭が痛くなる。


頭をぐりぐりと押していると、遠くから走る音が聞こえた。



「お疲れ様です!引越しまでまだ時間があるので、クッキーを持ってきたんです。食べますか?」



はにかみながらスヴェンは、クッキーを差し出す。



「いいの?」



「はい!」



スヴェンはニコッと笑う。


何となく王様と笑い方が似ていた。


近くの階段に座り、星型のクッキーを口に入れる。


プレーン味のクッキーは、程よい甘さで食べやすい。


しょげていたフレアも美味しそうに食べていた。



「そういや、どこの洞窟に家具を運び込むの?」



「あっえっと……あれです」



スヴェンが指をさしたのは、そこそこ大きな洞窟だった。


さっき入った洞窟よりかは小さい。


ボーッとしながら、全体を眺める。


これがオカルト話なら、大体幽霊が出てくるだろう。


そう呑気に考え、ハート型のクッキーを口に入れた。

1週間に1回は投稿出来たらいいなと考えてます。


良ければ評価お願いしますm(_ _)m


【唐突プロフィール】

名前/神楽かぐらフレア

誕生日/9月1日

好きなこと/セイン

嫌いなこと/セインと会えないこと

趣味/セイン

種族/エルフ

なつめ以外には物腰が柔らかく、誠実。だが、セインのことになると性格が変わる。


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