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あざといオンナノコ

何とか緊張の1日目が終わろうとしていた。


ゆっくりとキャンプベッド的なのに腰を下ろす。


頭がキーンとした。



『やっほ〜』



『なんですか』



『壁薄いから、大体脳内会話になるから覚悟しといてね』



『……』



最悪だ。


感覚的に寝ても めても耳鳴りが鳴り止まない。



『さてさて……今日一日を終えて気になったことはあった?』



燿爛ようらんはタブレットに文字を打ち込んでいる。


脳内会話と言っても全部が筒抜けになる訳じゃない。


口を開けた時は繋がり、閉じたら切れる。


はたから見たらちょっと面白い。



『〝嘘〟はついてない』



『分かるんだ』



『まぁ……』



『なにで判断してるの?』



少し思考を停止して答える。



声色こわいろですね』



『声色?』



『嘘をついたら若干、高くなるんです』



『耳いいんだね』



『……良いわけじゃないです』



シーツを体に被せて、横になる。



「おやすみなさい」



「おやすみ」



部屋の電気が暗くなる。


僕はゆっくりとまぶたを落とした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


潜入している間は、ずっと魔術を扱うせいでいつもより体が重かった。


熱が出たみたいな感じ。


ゆっくりと準備をしていると、そうさんが水が入ったコップを用意してくれた。


何も言わないので、全く分からないが、疑ってもしょうがないので取りえず飲んだ。


体がみるみるうちに軽くなる。


凄い。



『体はどう?』



『大丈夫です』



『そっか』



『もしかしてエリンギですか?』



『そうだよ。彼は凄いよ〜本当に』



声には出ていないが、顔は誇らしげだった。



『なんでお前が誇らしいんだよ』



あっしまった。


つい本音が出てしまう。


けれどそうは笑顔だった。



『タメでいいよ。ってかなんで私だけ敬語だったの?』



『……僕より強い魔術師だったので』



『なるほどねぇ……まぁ魔術以外は棗の方が上じゃない?』



『…………』



何も考えずに準備を済ませた。


そんなこと。


考えたこと無かった。



『そろそろ行かないと』



『そうだね』



古びた木製の扉を押す。


少し埃の臭いがした。


隣の扉も開く。


頭の真横にうねりながら生える角は魔族の特徴だった。


目が合う。


彼はぱぁっと笑顔になった。


両手をガシッと掴まれる。



「君達が新人の子!?可愛いしかっこいいなぁ!これからよろしく頼むよ!」



腕を上下にブンブンと振り落とされたりするせいで、取れるんじゃないかと思った。


声的に男か?


彼の後ろにはフールもいる。



「桃ちゃん、炒くん、おはよ〜」



「あっおはようフールちゃんと……」



言いかけて、少し恥ずかしそうに目を逸らす。


また目が合った。


次に口を開いた彼は半音、声が高い。


緊張したような声色。


握りしめられている手に、じんわりと汗が滲む。


早く離してくれないだろうか。


そんなことを考えていると、ようやく彼は口を開いた。



「しょっ小生しょうせいはフォールス。その……よろしく頼む」



耳まで真っ赤にしたフォールスは、しっかりと僕の手を握りながら、口を開いた。



「その……桃殿は……ここについてはまだ知らないだろうから、小生が案内してあげよう!」



「えっ本当に?嬉しい!」



ニコッと可愛らしく笑った。


フォールスはまた耳まで赤くなる。


ちょろいな。


昨日行ってない場所にも行けるかもだし丁度いいか。


そうはいつの間にかいなくなっており、頭で会話したらフールに連れ回されているようだ。


まぁ危険がないならいいか。


そのまま、ゆっくりと歩いていく。



「ねぇねぇ、フォールスくん」



「どっどうしたの桃ちゃん?」



下から見上げるように、眼を潤ませる。



「ここにいる人達ってどんな感じの人が多いの?」



「どんな感じかぁ……どうして?」



「その……私ね、人見知りだから緊張してて……」



そもそも人見知りなら、まずこんなことは言わないのだが。


これは単純な男なら引っかかるのだと蘒(はぎ)が言っていた。


僕に相手を引っ掛ける技術を伝授でんじゅしてくれたおん……レディだ。



「なるほどねぇ……だったらあの妖怪はやめといた方がいいけども……」



「あの妖怪?」



小首を傾げて、あざとく聞き返した。


前にセインに散々見せられた〝あざと可愛いポーズ〟が役に立つとは。


にしても妖怪か。


ブラッドには色んな種族がいる。


基本他種族同士が馴れ合う事は中々ないように思う。


見た目の違い、言語の違い、価値観の違い。


慣れたら全くそんなことは思わないのだけれど。



「その妖怪ってどんな感じなの?」



「……気になるの?」



少しだけ嫌な空気が混ざる。



「だって……ここで暮らす以上、顔を合わせるかもしれないし……事前に情報があった方がいいかなって……だめ?」



「んっっ。ダメじゃない!ダメじゃない!分かった話す!話すからそんなに悲しそうな顔しないでぇ」



あわあわと慌てふためく姿。


不意に彼女を思い出した。


フォールスが僕の正体に気づいたら、どんな反応をするだろうか。


幻滅?憎悪?怒り?憎しみ?


どれになるんだろうか。


まぁ危害があるなら、早期に消すに限るんだけど。


体を少し近づける。


フォールスの体がビクッと揺れた。



「その、彼はひのきって言うんだ。ちょっと沸点が低くてすぐに怒る。後、手や足がシュンって出るから……」



「怖そう」



「まぁ慣れるまでって言うか!慣れても怖いんだけどね……」



乾燥した頬をポリポリとかく。



「そうなんだ」



少し気になったことがあった。


種族によって名前の特徴は大幅に変わる。


前にシュンギクに聞いたのだが、パーティーによれば、他種族と名前を統一する場合があるらしい。


ちなみに僕らは何もいじってない。


考えるのが面倒くさかったから、別にいいけども。


蟲駆除隊の場合、シュンギクはそのまま。


トウモロコシが華鳴夜秘痲琥かなやひまこ


ウドが鉱鉛あらがねなまり


エリンギがアルベルト=ローブス。


それで言うなら今のところ、フール、フォールス、トラッシュは恐らく統一するために付けられた偽名。


だとしたら、ひのきはどうしてそのままなのか。


確認しない選択肢は無い。


その後、ひとしきりフォールスに付き合った後、ひのきを探すために、歩き回った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あっフレア、杉。棗が何か分かりそうだよ」



「監視ありがとうございます、セイン様」


いつも通り。


仕事に対して何の感情も含まない声。



「えっ何が分かりそうですか!?」



丁度、積み重なった書類を持った杉が興奮気味に聞いてきた。



「本名とか?」



「本名ですか?」



机が揺れる。



「うん。余罪とかゴロゴロ見つかったら楽しそうだし!」



「楽しそうって……あっそういえばお2人はいつからココにいるんですか?」



素朴な疑問が投げかけられる。


どう答えようか少し悩んだ。



「もうちょっと仲良くなったら、教えてあげる」



意地悪に言うと、杉はガッカリしたように方を落とした。



「いいなぁ……ちゃんと本心出るの」



誰にも聞こえないような、小さな小さな声で呟いた。


だが、フレアだけは少ししかめっ面になる。


やっぱり彼は私の全てを見透かしてくる。


そこだけはどうにも好きになれそうで、なれない。

お仕事コメディは合ってるのでしょうか?なんか違う気がしますが、いい言葉見つかりません。


良ければ、評価やコメント、ブックマークをよろしくお願いいたします!


【おまけ】

『色んなパズルをするコークリア親子』


「むぅ……中々難しいなこれ」


「パパがやってるやつってスライドパズル?」


「あぁだが、揃わない。スヴェンは……ジグソーパズルか?」


「うん!一回やってみたかったの」


「そうかそうか、順調だな」


「パズルはね、周りから埋めていったらいいんだって!」


「へぇそうなのか。スヴェンは物知りだな」


「えへへ〜。でもピースが多いから無くしちゃわないか心配!」


「無くしたらパパも一緒に探してあげるよ」


「ほんと!」


「あぁ本当だ」


「やったぁ!じゃあ早くやらないと。パパも頑張ってね」


「あぁうん……ちょっと難しいかもなぁ」


「じゃあこれが終わったら手伝うね」


「ふふ♪ありがとうスヴェン」


「えへへ〜♪」

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