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光の行先

あるレトロな一室に僕らは居る。


色とりどりに描かれた紙に目を通す。


特に面白みも無い。



「桃ちゃん」



顔を上げる。


その表情はなんの感情も含んでいなかった。



「なぁに?」



「今から俺と友達を作りに行かない?」



「いいですね!」



賛同はするが、何を考えているか分からない。


コプフ(脳内会話)は数分経つと自然消滅する。


意識がある中で唯一の休み時間とも言えるだろう。


だが、そんなものは一瞬にして消え失せた。



『棗〜』



軽い口調に若干の苛立ちを覚える。



『なんだ』



『燿爛には話したんだけどさ』



彼はために溜めて息を吐いた。



『実は誘拐されてる子がいるみたいなんだよねぇ』



背中に物差しでも入ったかのように伸ばす。



『場所は?』



『壁と壁の間』



『は?』



『しかもそこはトラッシュとリムーヴァルって子しか入れない特別な場所の近くにある』



中々に厳しいことを言う。



『救出依頼?』



『そうそう。だから2人には情報を集めて欲しいんだよね』



何となく微笑んでいそうだ。



「じゃあ行こうか」



「そうだね」



重たい腰を綿から浮かせ、軽そうな扉を引いた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


湿った木の臭いはなんとも言えない。


今が朝なのか夜なのかも分からない地下は、絵本にでも出てきそうであった。


僕の後ろにいた燿爛が体を止める。


振り向くとそこには背の高いヴァンパイアと獣人がいた。


2人はにぃっと笑って、口を開いた。



「こんにちは新人さん。一体何をしているのかな?」



「そうそう。ここは君たちが来ていい場所じゃないよ」



彼女はオーバーリアクションを息をするようにやった。



「えっそうだったんですかぁ!実は色んな人達と友達になりたいなぁと思って歩き回ってたんです」



僕も、気持ち悪いぐらいオーバーに話す。


手を横に大きく振ったり、声の抑揚をトランポリンのように跳ねさせたり。


不思議な雰囲気をまとう彼女達は顔を見合わせて、手を差し出した。



「そうだったんだね。うらはエンプティ=キュリアス」


「じぶんはスーイサイド=インティメット。よろしく

ね」



暗くてよく見えなかったが、スーイサイドの服を着ていない部分は包帯でぐるぐる巻きだ。


聞いていいのか少しの迷いがあったが、あくまで橘桃は純粋なあざとい女の子。


任務が終わるまでは彼女を演じきる必要がある。



「あの……大丈夫ですか?その手首」



スーイはニコッと笑って明るく答えた。



「大丈夫だよ」



体を抱き寄せられる。



耳に息が当たるぐらい近くなってから、音は行進を続けて行った。


もう1人の人間を見ると、僕と同じ体制になっている。


思考が停止しかける寸前で彼女の体から離れた。



「それじゃあ、うら達は大事な用事があるからまた後でね」



「またね〜」



ミステリアスな雰囲気は姿を消した後でも、無くなることをしなかった。


しばらく留まっていた場所から動き出し、階段を登る。



「にしても、いいなぁ。あーゆー不思議な人」



「そうですか?」



燿爛は信じられないものでも見るように、眼球を剥いた。



「すごくカッコよくない!?思わない!?」



「一緒にいると疲れる」



そう口に出して思い浮かぶのはセインだ。


いつも貼り付けたかのように笑っており、気まぐれに姿を現す。


それが本物である確率は極めて低いけれど。


まぁ思考は本人だから……どうなんだろうか。


人と言うのは体が違っても記憶さえ同じならば、それは同一人物といえるのか……。


登った先も静かだった。



「今日は人気が全然ないね」



「今日はって……来たばかりじゃないですか」



「あっち探してみる?」



「了解です」



僕らはさっきよりも明るい場所に足を運んだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


3回ノックをする。


反応はない。


恐る恐る開けると、そこに人型はいた。


目が合う。


真っ白な部屋に気分が悪くなった。


あれがフラッシュバックするかのように脳裏が熱くなる。


大抵の事は忘れるのに、これだけは忘れられない。



「何しとるん?」



子供のような声が耳に突進する。



「こんにちは。俺は焔炒ほむらそう。今日からここに入ることになったんだ」



営業スマイルは辺りに花束がドサッと撒かれていたように見えた。


彼は不思議そうに僕らを捕らえる。



「名前……変えとらんの?」



「えっ、あぁうんまだ」



「じゃあ今決める?」



「プリヴェント」



消え入りそうな声が鼓膜をつつく。



「リバティ!お目覚めになったのですか!」



「うるさい」



「すみません。あの、客人なのですが、通してもよろしいでしょうか?」



「……出直して」



一瞬だけ見た人型は輝いていた。


人形みたいと言えばいいのだろうか。


そのまま何も喋れずに追い出されてしまった。



「ねぇ桃ちゃん。〝変えとらんの?〟ってどーゆー意味だと思う?」



「え?」



首を傾げる。


僕の頭の中は〝リバティ〟という人物に支配されていた。


輪郭線りんかくせんはハッキリするばかりで霧にもならない。



「桃ちゃん?」



「へあっ」



「皆気になるね」



黙って頷く。


多分まだ半時間しか経っていないが、6人と会話をした。


1番注意するのはトラッシュ。


まだまだ情報が少ない。


次にリムーヴァル。


トラッシュと同じぐらいの権力を持ってるっぽい。


3番目にエンプティ。


彼女のことを心配しているように見える。


スーイサイドは4番目。


緩んだ包帯からリストカットの後がチラリと顔を出していた。


プリヴェントとリバティは全くもって分からない。



「…………」



しばらくの間、思考を停止していた気がする。



「橘さん」



肩が跳ね上がる。


顔を上げると、そこには誰もいない。


辺りを見回すが燿爛もいなかった。


違う。


そもそも僕がいる場所が違うんだ。



「ごめんね。急に連れ出しちゃって」



白光りしすぎていてよく分からない。



「誰?」



「……久しぶり。棗」



霧が晴れたように、それは姿を現した。


正直信じられなかった。



「すおー…………」



「うん。大丈夫?棗」



「今までどこに……急にいなくなっ」

「今は棗達の博士に捕まってる」



喉が急に熱くなるのを感じた。


上手く呼吸が出来ない。



「場所は!?」



「ごめんね。分からない」



近づきたい心とは裏腹に体は硬直している。


他にも聞きたいことは山ほどあるはずなのに。


この時だけは。


ただすおーが、生きていて良かったとしか考えられなかった。


彼女は近づき、頬に無機質な物体が張り付く。



「待ってる」



それだけ言うと綺麗なロボットは姿を消した。


目が覚めると燿爛が、顔を覗き込んでいる。



「おはよう桃ちゃん」



「……ここは…………」



「ブラッドの中だよ。急に倒れたからびっくりしちゃった……多分寝不足だね」



「すいません。迷惑をかけました」



てのひらをグーとパーで数回繰り返す。



「今日はもう休む?」



「いや、もう少し頑張ります」



「そう。……無理はしないでね」



薄く微笑む彼女は少しだけ悲しそうだった。

あんまり皆のことを掘り下げられて居ないんじゃないかなぁって思いと、初代ボス編なのでもっと長ったらしく書いてもいいんじゃないかと考えて加筆・修正に入ってます。

今年中には終わらせます。


良ければ評価やブクマ、コメントを頂けると作品の参考になります(*^^*)


【Happy birthday 9/3 シュンギク】

〝蟲駆除隊が集まる前の話&お母さん再婚前〟


「シュン〜」


「!お母さんどうしたの?」


「ふふっ。誕生日おめでとうシュン。これ、お母さんからのプレゼント」


「わぁっ!開けていい!?」


「もちろん」


「なんだろうなぁ〜……!これ欲しかったやつだぁ!」


「ふふっ。にしてもお母さん驚いちゃった」


「?」


「シュンはマッサージ指圧師になると思ってたから」


「……うん。でももし受かったらシュンは皆にするから問題ないよ!」


「あら、たまにはお母さんにもしてくれると嬉しいな」


「もちろん!!」

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