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資料3

サティは生身の友達がいない代わりに幽霊の友達が増えた。


毎日雪のように白い部屋でふわふわのクッションの上で、絵を描いたり歌を歌ったりしていた。


たまに実験の手伝いをさせられるだけの生活。


前よりマシになったとサティは思った。



「ねぇたき、デパス。外の世界ってどんな感じかな?」



「外かぁ〜たきもあんまりお出かけとかしなかったからなぁ」



「出れたら色んなとこ行こうか、サティはどこ行きたい?」



そう聞かれたサティは本棚へと走って行った。


棚の中にある1番分厚いのを取り出す。


が、彼には重たくてよろけてしまった。


このままでは床に頭をぶつけてしまうだろう。


瞬間、ぽふっと柔らかな感触に包まれた。


本をぎゅっと抱きしめながら見上げるとサティの大好きな先生がいた。



「せんせっ!」



「大きな本は下にしまった方がいいよ。危ないからね」



落ち着く笑みを浮かべながらそっと頭を撫でてくれる。


一種の精神安定剤。



「分かった!せんせっ!今日は何するの?」



「今日はねぇ色んな種族を覚えようか」



「うん!」



手を繋いで机のある方へ歩みを進める。


柔らかい、天使みたいな声で自分の名前を呼ばれるのが好きだった。



「サティは皆と何話してたの?」



「えっとね〜もしここから出て旅行に行くならどこ行こうかなって話!」



目を輝かせながら言うと、先生は静かに笑った。


今でもこの笑顔が脳裏にこびりついて離れない。


この日は楽しかった。


唯一自分の体を好きになれた時間だった。


後あれを作るきっかけにもなったな。


いかん、主観が入ってしまってる。


次の日は確か言語を学んで文化を学んで……。


最後にあれを貰った。


貝殻の形をしたネックレス。


先生がずっと着けていた。


楽しいことは長くは続かない。


博士……アルバートに呼ばれて真っ白な部屋から出た。


嫌な予感が背中を駆け巡る。



「あれはサティがやったの?」



自分の目を疑った。


その首にかかった縄の存在を否定したかった。


否定して否定して否定して。


膝から崩れ落ちた。


呼吸が出来なくなった。


ずっとうわずって。


目から雫がボロボロこぼれ落ちた。


今でも思い出して先生と同じ所に行きたい気持ちが強く出るのに。


この時は酷かっただろうな。


とにかく先生と同じ場所に行きたくて。


首を吊ったり、飛び降りたり、1番怖いことをしてみたり。


時には人間でいう心臓を取り出して壊そうとしてみたり。


けど行けなかった。


手首に刃を当てて深く深く切った。


血溜まりが出来るだけですぐに再生する。


食べなかったら再生しないことは分かっていたから、食べないこともあった。


まぁここまでの流れなら分かるだろうけど、食べさせられたね。


毒でも入ってたら良かったのに。


年に見合わない容姿になった頃にあの子達が来た。


私の歯車が回り出したあの子達。


人間、エルフ、魔族、鬼、サキュバスの子供達。


初めて出会ったのはエルフの子供だった。


その時私は実験に使われていた子供を治していた。


他にも死体になった子達も直していた。


アルバートからは「どうせ捨てるんだから、無駄なものを」と愚痴られているが好きにさせてもらっている。


なんで治してたかって?


どんな生物でも、死んだら肉体と魂が乖離かいりする。


その魂は主に2パターンあって、1つは〝そのまま消滅する〟もう1つは〝この世を彷徨うこと〟。


この彷徨った魂が私に言うんだよ。


「治してくれ」「綺麗にしてくれ」って。


▓▓▓▓▓▓には分からないだろうけど。


あっ怒った?


ごめんごめん、まぁ理由はそんな感じかな。


取り敢えずさっきの子供達についてなんだけど、初めて会ったのはエルフの子だった。


たまたま廊下ですれ違った時に手を掴まれたのだ。


そして「好きだ」と言われた。


感想は何言ってんだこいつ。


初対面だぞ。


図鑑に乗っていた情報とは全く違う。



「誰かと勘違いしてるのかな?」



彼は首を振って答えた。



「一目惚れ……しちゃいました」



目が真剣すぎて怖かった思い出。



「悪いけど私は好きじゃない」



「じゃあ好きになってもらえるよう努力します」



赤いグラデーションの髪が静かに揺れる。


そこからは凄かったなぁ……。


毎日私を見つけては花やら綺麗な石やら絵とかをプレゼントしてくれた。


今も一応持ってはいる。


花は流石に枯れてしまって、しおりにしたりドライフラワーにしたりと頑張って工夫して保っている。


だが未だにそういった感情が分からない。


ドキドキするっていうのは大体苦しくて苦しくてたまらない時だけだ。


そんなものを自ら望んで体験するだなんて冗談じゃない。


あっと……そんな話を聞きたいんじゃなかったね。


えっ惚気のろけかって?


冗談を言うんじゃないよ▓▓▓▓▓▓。


この時は本当に怖かったんだから。


君には無いのかい?


…………無いならそう言え。


そんなオーラだけで威圧されても困る。


あーっと……次に出会ったのは人間だね。


この子は私と同じで見えるらしかった。


けど自分が見えてることに気づいてなかったみたいだけど。


だからかな、ちょっと孤立してたんだよね。


出会ったきっかけ?


私が死体を修復してた時だね。


その時は誰も来ないと思って本来の姿になっていたんだ。


あの化け物にね。


で、まぁ見つかっちゃったんだよね〜。


ちょっと扉が開いてて隙間から見えちゃったみたい。


本当……焦ってさ、固まっちゃったよ。


また虐められるんじゃないかって。


だから近くにあった毒瓶を彼に投げつけたんだ。


あっさりキャッチされちゃったけど。


その子は私を見て〝綺麗だ〟って言った。


▓▓▓▓▓▓はどう思う?


神秘的?


そんな輝かしいものじゃないんだけどね。



「珍しいね。私を化け物扱いしないなんて」



「夢に出る悪魔がアンタだったらいいと思う」



黒い髪のショートヘアだった。


今とは雰囲気が全然違うかもしれないね。


まぁ性格は変わってないけど。


彼は私に聞いたんだ。


「どうやって産まれたんだ?」って。


一瞬笑いそうになった口元を隠す。


青と赤の目をした彼は曇ってはいなかった。


私はこう言った。



「君の過去を教えてくれたら私も教える。嘘は絶対つかないで」



正直怖かったけどさ……何となく惹かれたんだよねぇ。


類は友を呼ぶって言うのかな?


さて、ちょっと休憩しようか。


▓▓▓▓▓▓もずっと聞きっぱなしは飽きるでしょ。


そうでもない……か。


楽しいの?


私のことが知れて嬉しいねぇ…………。


ほんと、心を開かせるの上手いんだから。

どん底まで落ちた後に一気に引き上げるシーンが大好物なんだなぁと感じます。非常に美味しい。


良ければ評価やコメント、ブクマをお願いしますm(_ _)


【小ネタ】

エルフが一目惚れした理由は顔じゃなくて、自分より強かったからです。ある日、暴走したキメラがエルフに襲いかかった時にサティが鉄パイプでぶん殴って撃退したからです。

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