楽しくなってきた
嫌な感じがする。
なんとも言えない感情を置いて、体育祭は着々と進んでいった。
大縄跳びは残念なら3位だったが、それ以外はほぼ1位だった気がする。
今日の報告書担当 僕だから覚えとかないとな。
にしても遅いなレイラ。
彼は元から11ある種目のうち2つしか、入ってないから別にいいけど。
あと、杉もいない。
椛の方に目をやると、きっちり仕事はしながら、不安を抱えているように見える。
心配か。
そんなことを考えていると、レイラが帰ってくるのが見えた。
表情はどことなく、楽しそうにもとれる。
「おかえり。お前にしては遅かったな」
「棗」
「?なんだ?」
「臨時収入が入るかもね」
「まじで?」
「取り敢えず、体育祭は成功させる。教授にも報告済みだから、後は回答を待つだけさ」
「選ばれるといいな」
「大分面倒だけど。今は玉入れなんだね。あれブロック入ると潰したくなるんだよぁ」
ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべる。
「お前にはだったら、あのダンボール破壊するだろ」
「さぁね」
ケラケラと笑う顔は可愛い感じがした。
「演技上手だね、レイラくんは」
「今は〝この役が求められてる〟から」
「そうかい、」
綺麗に彩られた顔は、素の顔通りにイキイキしていた。
「レイラ様!戻られたんですね」
「ごめんね〜フレア。任せっきりにしちゃって」
「いえいえ全然!レイラ様も頑張ってくださいね!」
不足していたレイラパワーを吸収するように、フレアは抱きついた。
僕の時と氷点下程に態度が違うのは、複雑だがいいか。
たまに馬鹿なやつが引っかかる。
最後はリレーか。
レイラはアンカー。
椛もアンカー。
接待でいくか、それとも普通に勝つか。
乾いた破裂音が鳴る。
何故か二重に聞こえたのは、気のせいじゃないだろう。
「なぁフレア」
「今はまだダメだ」
見透かされてる。
そりゃもう10数年の付き合いだもんな。
初めてあった時は僕の方が身長高かったんだけどな
「今日は副部長に従うよ」
「当たり前だ」
上から見下ろされるのは腹が立つ。
作り笑いを浮かべながら、目の前のレースを眺めた。
やっぱり狼男や猫又は速いな。
雪女に関しては滑ってるに等しいし、いったんもめんは飛んでるし……。
これを人間に当てはめるからいけないのか。
人間よりは結果が速く分かりそうだ。
「さぁレイラくんは勝てるのかな〜」
「どうだろうな」
「……珍しく確証がないんだな」
「まぁな」
アンカーまでバトンが渡るのは、意外に早かった。
レイラのが先にバトンを手にする。
その次に椛がバトンを掴んだ。
2人ともいい感じの走りだった。
風のせいで前髪が無くなりオールバック風になっているのが、ちょっと面白い。
たが、2人して変な顔じゃないのが妙に腹立つ。
なんでだろう。
なーんか今日はよく腹立つな。
そういやここって気温差激しいんだったわ。
すっかり忘れてた。
怒りを気温のせいにして、最後の種目を見ることに集中した。
互いに譲らない、抜かし抜かされのレースだ。
でも椛の方が速い。
1足分だけど。
「あとちょっとだぞー」
気の抜けた声を出す。
あそこから聞こえているかは怪しい。
レイラがこっちを向いて、手を振った。
一応聞こえているみたいだ。
椛にはそんな余裕はない。
そして。
椛が1足分、レイラを置いてゴールした。
今まで強かった歓声が、さらに強くなる。
思わず耳を塞がずにはいられなかった。
こういう うるさい場所は苦手だ。
判断材料が減る。
まっ何事もなく終わったからいいけどね。
さてと。
後は閉会式だけだな。
今回も無事に終わりますように。
そう願い、レイラにじっと視線を向けた。
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「これより、閉会式を行います」
レイラの袖を引っ張る。
「どうした?」
「あそこ」
目線で方向を示すと、レイラも見た。
予め、魔術で目がよくなるやつをかけといた。
なので今、視力が3.0ある。
場所の位置は正確には分からない。
フレアの方を見る。
多分見えていない。
あっちからは見えているのだろうか。
「棗、あれがナニ?」
「嫌な感じがするだけだ」
「そう……まぁ自分の命大事にね」
前に見た、覚醒?したトウモロコシの顔にもちょっと似ている。
長い校長の話も耳に入らない。
ただただ、淡いピンク色の2つ結びに目が離せなかった。
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僕らは今、なーんかめっちゃ綺麗な部屋にいる。
高級な客室とでも言えばいいのだろうか。
とにかく いろんな物がキラキラと光っている。
んで、目の前にいる人がめっちゃ胡散臭い。
「こ〜んに〜ちわ〜♪初めまして棗ちゃん♪ワタシは神前シグナ♪よろしくね♪一応、彼らの上司的な?」
度々(たびたび)セインとフレアの会話に出てくる、無理難題押し付け野郎は多分この神だ。
顔に書いてある。
ちゃんとした手続きを踏んで居ないから、会うことは滅多にない。
で、杉の隣にいるフレアより更にでっかい神が気になる。
ってか杉ってスノードロップの一員だったのか。
そんなことに驚きつつも、隣の威圧感半端ない神を見やった。
「でっ何の話〜?シグナちゃん」
セインの呼び掛けに、シグナが息を吸って吐く。
その瞬間、ふわふわしていた空気が、引き締まっていくのを感じた。
「前に指名手配をしていた犯罪グループあったでしょ?そこのボスがさぁ、先制布告してきたんだよ。ほんっとに……なぁに考えてるんだか」
思わず体が震えた。
下手したら漏らすな。
「で、その駆除に何デも屋と〝いけイケ我らが大地の王様〟が選ばれたってわけですか」
ちょっと待てなんだ最後の。
何デも屋も安直すぎると思ってたけど、いけイケ我らが大地の王様もどっからきたよ。
口に出そうなツッコミを何とか抑えた。
さすがにこの場には失礼すぎる。
「そうそう♪情報はここに纏めといたから、ぜ〜んぶ目を通してね♪」
机の上には山のような書類がドンッと音を立てて置かれた。
確かに。
無理難題押し付け野郎かもしれない。
ちらっと見える文字は、小説のように小さい。
不安そうな顔を浮かべた僕の肩にセインは手を置いた。
「私に任せて」
すっごく嫌な予感が体を支配する。
何か大変なことを命令されそうな感じ。
「何するつもりだ?」
問うと、ふふっと笑いながら机にゆっくりと向かう。
恐らくフレアと背の高い神以外は、頭の中に疑問が浮かんだだろう。
夏休みに入りましたので、週2日投稿してますm(_ _)m
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【唐突プロフィール】
名前/椛
誕生日/2月22日
好きなこと/体操
嫌いなこと/グイグイくる人
趣味/子供の世話
種族/妖怪
嬉しいことがあると、耳としっぽが揺れる。急に話しかけると引っ掻かれる。
名前/杉
誕生日/8月8日
好きなこと/樹木を育てる
嫌いなこと/予定外のこと
趣味/水彩画
種族/妖怪
基本的に予定外のことはしたくもないし、されたくもない。体が死ぬほど硬い。




