騒がしい仲間
ウド視点
街灯の無い中で、ただ1人で歩く。
ここで夜に電気を使うのは禁止されている。
よく小さい虫が街灯に群がっている姿が発見されるが、あれの1mバージョンだと思うと理解は容易い。
そんな感じで、闇に慣れてしまった目を有効に使う。
最近流行りの音楽と共に、携帯が震える。
着信ボタンをスライドさせた。
「もすもす」
「やっほ〜夜分にごめんね〜♪」
悪気のない軽快な口調。
「うのちゃんのこと?」
そう言うと、画面の向こう側で笑った気がした。
「あったり〜♪いつもはフレア君がしてくれるんだけどさぁ〜」
「要件は?」
一瞬会話が途切れる。
「無茶してないかどうかだよ」
「あ〜。それなら今日はしてないよ。おれの見てる範囲ではね。多分」
「んっ。分かった分かった。ありがとね〜♪あぁ後さ」
「何ですか?またお土産で」
「このままだと君は死ぬよ」
急な落差に風邪をひいてしまいそうになる。
それだけ言うとあの人は電話を切った。
全く。
何故分かりきったことを言うのだろうか。
知らない知識を補充するのは好きだが、もう知ってしまった知識には興味が無い。
契約する前からおれはちゃんと理解してる。
無理やりじゃない。
とやかく口にしないで欲しい。
おれは若干イライラしながら、道を急いだ。
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多分15分ぐらいした。
少し小さい小屋にノックを2回する。
6回目のノックでやっと、扉が開いた。
「これはこれは……ウドさんでしたか。どうぞ、お入りください」
丁寧な言葉遣いに、謎の親近感を抱きながら小屋に入った。
中はアンティークの小物が並んでおり、光に照らされキラキラと輝いている。
おれはあんまり好きじゃない。
セロリはダージリンティーを入れながら、口を開く。
「今日はどのようなご要件で?」
「…………おれは後…………何年で死ぬ?」
深い沈黙が流れる。
セロリは何も答えない。
今の生活に不満はない。
でも何かが足りない。
それを満たなさい限り、何回でも同じことを思うだろう。
香りのいいダージリンティーに口をつける。
なんとなくだが。
おれはまだ死なない。
死ねないという方が正しいだろう。
最近トウモロコシがセインにエネルギー譲渡を教えて貰っていると、風の噂に聞いた。
セインよりは上手く扱えないだろうが、そうなると僕は全くもって死ねなくなる。
それはおれにとっては厄介であり、嬉しくもあった。
複雑な感情に、思わず苦虫を噛み潰したような顔になる。
「今日はもう、お休みになられた方が良いのでは?」
「…………そうだな。今日は帰るよ」
「はい、お気をつけて」
「おやすみ」
「おやすみなさいませ。」
セロリはおれが小屋を出るまで、深く深く頭を下げていた。
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部屋に戻ると、左の部屋で棗とフレア、シュンとエリンギで枕投げをしていた。
右の部屋ではセインとトウモロコシはゲームをしているようだった。
おれは迷わず右の部屋に向かう。
「ただいま〜」
「あっお帰り」
「お帰り〜セロリさんのとこ?」
セインに言い当てられ、口を手で塞ぐ。
2人はオセロをやっていたようで、トウモロコシはかなり不利な状況だ。
うちのリーダーは、ほわほわモードになった瞬間ドジになる。
ちなみにツンツンモードの時は、セインとの勝負でも見応えがあるのだが……。
あっそうだ。
すっかり大事なことを忘れていた。
おれは部屋に置いてあった、鞄の中から、ノートパソコンを取り出す。
電源を入れ、すぐに作業を開始した。
今日あった出来事や、討伐対象についてをファイルにまとめて送る。
この会社の良い所は、報告書を適当に書いても怒られないことだ。
まぁその変わり、あまりにも適当すぎると頭を少々弄られるけれど……。
3分ぐらい廃人になる。
慣れた手つきでキーボードを触り、作業を進めた。
その間に2人のオセロは見てる限りで、セインの6勝、トウモロコシの0勝で終わった。
前から思ってはいたが、この神は何を考えているのかよく分からない。
おれもよく何を考えているか分からないと言われるが、やっぱり本物と偽物は違う。
ぼーっとしていると、頭に少し強い衝撃が加わる。
衝撃の発生源に目を向けると、そこには「やっべ」的な表情を浮かべる4人の姿が目に映った。
重たい体を起こし、ズンズンと布団に向かう。
「覚悟は出来てるんだよね?」
おれが言うと2人は体を震わす。
「いや待て!今投げたのはフレアで!」
「はぁ!?お前また」
「待って2人とも!夜だから!静かにしよう!ねっ!?」
「そういうシュンが1番うるさかったりする」
口をあんぐりと開ける彼は、見ていて面白かった。
「早く寝ろよ〜7時間睡眠大事でしょ?」
セインが声を投げる。
「ヴァンパイアは昼間に寝るから大丈〜夫」
「エルフは1日に3時間寝れば平気です」
「シュンも隙間時間にねているので……」
「なんだよ、僕だけ寝ろってか!嫌だぜ、絶対!!」
そんな感じで、長い長い夜は賑やかに過ぎていった。
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「大丈夫?忘れ物ない?」
トウモロコシの心配そうな声が聞こえる。
ほんと、二重人格なんじゃないのか?
その声に応えるように、明るい声が響く。
「大丈夫だって〜。まぁもし忘れ物あっても、届けてくれたらいいじゃん」
「いやまぁそうなんだけどね。でもスマホとか忘れてたらダメじゃん?」
「……まぁなんとかなる」
「ならないよ!」
ほんと、相変わらずのリーダー達だ。
2人を横目に寝ている棗とフレアに視線を向ける。
あの後、誰も一睡もしなかった。
それゆえ、今は夢の中へとさよなら中だ。
流石におれも眠いかも。
3人が帰ったら、早々に眠ろ。
大きな欠伸を1つしてから、セインの耳元に近づいた。
「棗少年ってさ、すおーちゃん探してる?」
少し肩が揺れる。
目が合う。
「これ、棗少年に渡しといて」
おれはポケットから部品の1部を取り出し、セインの手に押し付けた。
昔の記憶が少しだけ脳裏に浮かぶ。
「じゃあね、棗少年にフレア少年にセインさん。また機会があれば」
「何かあったら、呼ぶんだよ!」
「シュンも力の限りお供します!」
「あっこれ、皆の連絡先。暇な時でもいいから追加しといて〜」
エリンギがセインの手にメモ用紙を手渡す。
「ありがとう。2人が起きたら伝えとくよ」
セインは黒い手袋をヒラヒラさせながら、ガスマスクを付けた顔でニコニコと笑った気がした。
玄関先でバイバイは少し寂しいとのことで、公道まで、送っていくことにした。
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他愛もない話をしながら長い距離を歩き、タクシーが待つ公道についた。
2人をタクシーに押し込み、セインがこちらに向く。
少し長い沈黙の後、曇った声が聞こえた。
「また情報提供頼むよ」
その目は冷たくて、どこか迷いのある目をしていた。
最近感想や評価が貰えて、舞い上がり気味になっています。
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【学んで楽しい種族図鑑】
2/虫人
外見↓
人間の見た目に虫要素が加わったものをタイプA。
虫が人間サイズになったものをタイプB。
タイプAは虫の種類により、見た目が異なるため、一概にこれだとは断定出来ない。
タイプAは獣人に近いものと考えたら、分かりやすい。
タイプA、Bにも曖昧なものが存在するため、今後の調査次第ではCやDが出てくる可能性もある。
目は複眼になっている。
髪は光に当たる髪と、影になる髪で色合いが異なる。
耳から触覚が生えており、食べるものによって変わってくる。
大体の住人の羽田はパステルカラーの緑に近い。
羽は常時出ている。
ネイルをしている。
能力/虫により異なる。
寿命/タイプA,b共に50年+虫の種類
性格/基本穏やかでほわほわしたした性格の者が多い。
生活/基本野宿や草で出来た家が多いが、旅人が寄っていくことも多いため、小さな小屋やアパートみたいなものがある。
言語/こちらの世界で言うとスペイン語に近い。
政治/何かを決める時は、全員が集まって決める。
作中に登場する虫人↓
タイプA
シュンギク
▓▓▓▓▓
タイプB
セロリ




