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わたしが住むことになったのは、隣町。
自分の住んでいる町と同じようにこの隣町は
ハロミスタ家の手が加えられていて、道、病院、学校など仕事もあり、
普段住んでいる町とあまり変わらないくらいに発展している。
こんなところに、家を持っていたとは。
以前、この町を開発したときに
立てた簡易的な家になっていて
いつものお屋敷ではなく、
ふたりで住むのにちょうどいいサイズの家だった。
家に入ってみると、
生活に必要なものはそろっている。
わたしは大きな商家の娘だけど、
身の回りのことはなんでもできる。
いつでも一人で生きていけるようにと
洗濯、掃除、料理、買い物と
ありとあらゆることを両親にお願いして
やらせてもらっていた。
その成果が出す時がとうとうやってきたのだ!
「ふふふ、はははははははははっはーーーーー!!
とうとうわたしの実力を示す時がやってきたわ!」
そう、わたしはとうとう練習してきた一人暮らしが
できるということでハイになっている。
汚れてもいない部屋をぴかぴかに拭き上げた。
用意された棚に、皿や洋服やらをセッティング。
もう住める状態になった!
よし、買い物行こう。
この、温度を一定にできる箱があれば、
少しは食材を置いておける。
わたしは、持ってきた荷物から、
カゴを引っ張り出して買い物へ向かう。
とうとう、来たわ!
想像したもの違うけど、この一人で生きていく感!
おもわず、スキップしてでていく。
まだ、午前中なのもあり、
市場はまだにぎわっている。
野菜も、みずみずしい。
「わー、すごいおいしそう。これはどこで育てたもの?」
「どこでもなにも、ここで売っているものはぜーんぶこの町で作ったものさ。」
「え?全部って、野菜も海産物もあるのに?」
「あんたなんだい?ここに初めて来たのかい?山、海、畑全部あるんだから、
手に入るのは当たり前だろ。さぁ、何買うんだい?」
「そうしたら、これとこれとこれを。」
いくつかの野菜パンを買って、次のお店に。
そうすると、お弁当なんかも売っていて、どれもおいしそう。
これは、料理をしてもしなくても生きて行けそう。
「さっきのお店の人が畑も山も海もあるって言っていたし、
この町について知るのにはどうしたらいいかな?」
うろうろとしていると、町の役場があり、入ってみた。
中は騒がしく、いろんな人がごった返している。
町のことが知りたいのだけど、どうしたものか。
どこの窓口も人がバタバタしていた。
もう無理かなと思っていたら誰か話しかけてくる。
「こんにちは、どういったご用件ですか?」
ぱっと振り向くと疲れているのか、
ぼろっと目の下にクマを作った男性がたっている。
「あ、え?クマが。」
「え?熊がなんですか?」
「あ、ごめんなさい、違います。ここに今日引っ越してきて、
この町のことをしりたくてここならわかるかなと思ってきてみたんです。」
クマがある男性は、目をキラキラとさせて、つぅーっと涙を流した。
「え?なに?どうしたんですか?なんで泣いているの?」
「あなたは天使が。こんなところにこんなこと聞きに来てくれる人がいるなんて。
みんな役所には文句とおねがいしか来ないのに。待たされてるからな怒るし。」
「文句とお願いについては仕方ないと思いますが、待つことに関しては
来た人に番号を振り分けて、その順番が来たら、呼んであげればいいんじゃないかしら?
番号を付けるときに渡す紙に事前に、魔法の印をスタンプにして押しておけば、
順番が来たときに魔法の印から順番をつたえられるでしょ?
ちょうど確か、ここに。あったあった。この印を使ってみてください。」
印をその男性に渡そうとパッと顔をあげると、その人は驚いた顔をしている。
まぁ、突然きてなに言ってるんだよって感じだよね?やりすぎたかしらと思っていたら
その人が突然膝をおって、床にしゃがみ込む。
「わあーーー!なに?どうしたんですか?どこか具合悪いんですか?」
「カ・・・・・・ガミ・・・・リヒさまが。」
「え?なに?どうしたんですか・大丈夫?」
「あなたは女神が!!カリヒさまだーーーー!!」
とさけんで、男性が泣き始めた。
えーーー、どういうことーーー?