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彼氏が作ってくれたお味噌汁が一番おいしい

作者: ココ

 冬真っ盛りの1月の朝。


 今日も今日とて暖かい布団の中で夢と現実のはざまを行き来する。このゴロゴロしている時間が私は狂おしいほど好きだ。本当なら1時間以上この状態をキープしていたい。


 だけどそんな考えは一瞬で消える。なぜならそれ以上の幸せがすぐに訪れるからだ。


 はじめに鼻孔をくすぐったのはお味噌のにおい。


(今日の味噌汁の具はなにかな? お豆腐だったらいいなぁ)


 次にやってきたのは香ばしい魚のにおい。


(なんの魚かな? においだけじゃ分かんないや。……でも朝といったらやっぱり鮭だよね)


 私の頭の中はもう今日の朝ごはんのことでいっぱいだ。もう布団の中でゴロゴロするのはおしまい! そう結論付けた私はすぐさま毛布を脱ぎ捨て、おぼつかない足取りでリビングへと向かう。


「おはよう。もうすぐご飯できるから座って待ってて」


 朝食の準備をしながら彼が挨拶をしてくれた。まだ髭をそっていないワイルドな容姿と水色の可愛らしいエプロン姿。そのギャップを朝から見れるのも別の意味で楽しみだった。


「おはよー。今日のご飯なに?」


「鮭の塩焼きと豆腐のお味噌汁」


「ええっ!?」


 驚きのあまり大声を出してしまった。


「ど、どうした!? 急に大声出して……そんなに嫌だったか?」


「ううん。違うの。今日の朝ごはんこれがいいなぁって思ってたものが本当に出てきたからびっくりしちゃっただけ」


「なんだよ。脅かすんじゃねーよ……」


「えへへ、ごめんね」


 こうした朝のなんでもないやり取りも私は好きだ。




 食卓の上に並んだご飯、みそ汁、鮭の塩焼き、小松菜の胡麻和えの4点セット。これぞまさに日本人の理想的な朝食だろう。


「おなかすいちゃった。もう食べていい?」


「ああ、いいぞ」


「やった! いっただきまーす!」


 最初に口を付けるのはもちろんお味噌汁だ。


「うん、おいしぃー!」


 味噌の香りが口いっぱいに広がる。世の男性が女性に『毎朝俺に味噌汁を作ってくれ!』と懇願する気持ちもなんとなく分かった気がする。


「ったく、朝からうるせぇ女だな……」


「えへへ……だってこの朝ごはんすっごくおいしいんだもん。いつも作ってくれてありがとうね。……大好きだよ」  


「ッ!? うっせーわバカ!」


 フフッ、今日も1日元気に頑張れそうです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ラブラブな飯テロですね。 こんな関係を築きたいと思いました。
[良い点] ほのぼのと温かく、いつまでもこの幸せが続くのだろうな……と微笑ましい気持ちで読み終えました。温かな幸せの溢れる作品ですね。
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