6000年前の記憶と罠
6000年前、16人の強大な力を持つ魔神がいた。
魔神たちは魔法以外にも【天賦】という戦闘時オートで発動する能力や神にのみ与えられる【神器】という強大な力を持つ武具などと言う戦闘能力を持っていた。
魔神達は強欲であり、自らの力だけでは満足せず、他の魔神の力まで欲するようになり、他の魔神の力を奪い取るために16人の魔神が一斉に互いに宣戦布告をした。これによって始まったのが【魔神戦争】である。
魔神戦争は2000年間続き、結果勝者は誰一人として出ず、魔神達は共倒れした。と歴史には記されているのだが、夢の中で歴史には記されていない出来事を見た。
聖剣を持った黒髪の男とセリスが何か話している。
聖剣を持っていることからおそらく『勇者』である者だと思われる。会話を聞き取ることは出来ず、唯一聞き取れた勇者の名前は『アレフ』第六天魔王という6人の魔王を全て討伐した英雄の名前だった。
セリカは何故かこの光景を初めて見た気がしなかった。
これは私に力を継承した者の記憶なのだろうか、だとしたらその継承した者の正体とは一体…?
そんなことを考えていると、意識がどんどん遠のいて行く感覚がした。
朝目が覚めると夢の記憶は無くなっていた。
ー3ヶ月後
今日は初めての魔法使いとしての仕事をする日。
今日の依頼はペルソナルド草原に大量に出没したモンスターの討伐だ。
「初仕事、がんばりますか!」
と、私は気合を入れ街を出る。
通常の人間なら私が今いるアベル王国からペルソナルド草原に行くには3日ほどかかるのだが今の私なら飛行魔法を使うことによって30分程度で着くことが出来る。
『フライングバード』
低レベル飛行魔法の『フライ』より上空での加速性能が高い中レベルの飛行魔法だ。
私は王国から南の方向へとジェット機のように飛んでいく。
道中は特に何も無く無事にペルソナルド草原に着くことが出来た。
「どうなってるのこれ…どうしてこんなに大量に…」
私は困惑していた。それもそうだろう、草原に昼間には通常出没しないはずの下級アンデッドが1000体以上居るのだから。
「ヴァァ…」
ゾンビ共が一斉にこちらを向く、どうやら私は標的にされたようだ。
「ひぇっ……」
私は声にならない叫びを出す。
しかしただ怯えて食い殺される訳にはいかない。私は王国からの依頼でこのアンデッド達を一匹残らず討伐しないと行けないのだから。
魔法学校で先生から教わったことを思い出す、確かアンデッドには聖属性魔法が有効だったはずだ。
『ゴスペル』
中レベル聖魔法を私は放つ、草原に聖歌が響き渡る。
アンデッド共は一匹残らず塵と化し消え、草原には静寂が戻った。
「ふぅ、、なんとかお仕事完了ね。それにしてもどうして昼間からアンデッドが?」
昼間からアンデッドが出現することは厳密に言うとありえない話ではない。何者かがアンデッドを召喚した場合に限るのだが。
「これってもしかして…」
見渡しの良い草原に大量の召喚されたアンデッド、このことから推測出来ることは1つ
「私、まんまと罠にハマっちゃったわけね…」
遠くにこちらに歩いてくる1つの人影が見える。
「なんでこんな事をしてるか本人に直接聞いた方が早そうね…。」
深夜テンションで一気に書き上げてしまった笑
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