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もしかして:読み辛い
しかし私は知らん。(おい)
二学期の後半になると、文化祭の準備が始まる。二学期の前半は体育祭とかがあったけど、あんまりカンケーないし、割愛。
アイツがキャーキャー言われてたことぐらいかな。学年、外部内部問わず。
閑話休題。
で。文化祭では、アタシがアイツと一緒に小道具制作係になった。担任の先生が、非常にめんどくさがりで、役割を全てくじ引きと乱数で決めてしまったからだ。そして、主導権をクラス委員の人に押し付ける際に一言、
「嫌だったら変えてもらえな」
そう言っただけだった。
アタシ達のクラスでは、今回は演劇というベタ中のベタな出し物をする事になった。だから、アイツはクラス中の人(と、話を聞きつけた他クラス、他学年の人)に、「演者に変えてもらって!」とか言われてた。
お互いに手先が器用だったのかもしれないけど、第一印象が変な奴と一緒に作業なんて、少し微妙な気持ちだった。それに、4月にアタシ、アンタをフってるんだよ?
「顔が良いんだから舞台に立つとか、売り子とか、もっと人が見そうな所やりなよ」とか言って担当を変えてもらおうとしたけど、天澄は変わる気はなかった。逆になんだか嬉しそうに、「小道具作り、頑張ろうね」とか言われた。
「高宮。アンタ、フラれた相手と一緒で気不味くならないの?」
とか聞いてみたけど、一瞬、何言ってるのかわかんない、と呆けたあと、「そういえばそんなこともあったね」とか抜かしやがった。
アイツはそもそも自分から告白してきたことすら忘れていたらしい。アタシが覚えていて、少し気を使ったことがバカバカしく思えた。
体育祭では、気が付いたら彼女ばかりを見ていた。他の子は運動が苦手な可愛らしさや、良いところを見せようという格好良さを発揮していた。そういう子達も良いケド、なんとなく彼女に目が向いた。
ただ淡々と、充てがわれた役を、種目をこなしている。『周囲の目なんてどうでもいい』みたいな、その様子にまた、目を奪われる。
学校行事なんてホントはどうでも良かったケド、何の偶然だろうか。文化祭では、彼女と同じ小道具制作班になった。
外野が『演者に変えてもらって』って煩……訴えてくれていたケド、ボクは充てがわれた役割を全うしたい気分だったんだよネ。手先が器用で良かった。
「顔が良いんだから舞台に立つとか、売り子とか、もっと人が見そうな所やりなよ」とか彼女にも言われて、担当を変えさせようとされたけど、ボクは変わる気はなかった。むしろ、彼女に話しかけられたのが嬉しくて「小道具作り、頑張ろうね」って笑うと、彼女は驚いた顔をしていたっけ。
初めて作業する日に、
「高宮。アンタ、フラれた相手と一緒で気不味くならないの?」」
とか聞いてきたケド、よく覚えてたね。結構昔のことだから忘れられてたかと思ってた。確かに、ボクはキミに入学式で告白して、それを彼女は『キョーミない』ってボクをフったんだ。「そんな事もあったね」と、同意してみると、彼女は嫌そうに顔をしかめた。薮蛇だと思ったのカナ?
でも、一緒にいるのがボクをフった女の子だと思うと、どうにかして彼女を落としてみたくなった。興味もあったし。
さぁて、どうやって彼女を落とそうか。すぐに手に入れるのは難しいだろうから、観察や仕込みを兼ねて彼女の事を良く知らなきゃね。係を上手く利用して、彼女と近付けたらいいな。
彼女はすごくボクを警戒してるみたいだった。それもそうだよね、入学式早々に告白してきたよくわからないやつだし。でも、何だかその警戒している様子、なんだか可愛いなぁ。