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先の話をぼんやりネタバラシしますが、話を書いてる途中でヒーローのやつが「そろそろご褒美くれないと暴走して襲っちゃいそう☆」とか抜かしたので、ヒロインの貞操、周囲の命の安全の為、急遽お出かけネタが入ることになりました(白目)
書くのめんどーい…
夏休みに入り、友達との予定がない日は、アタシは図書館で宿題をするようになった。
昼はバカみたいに暑いから午前中に図書館に行って、暑さのピークが過ぎた午後に図書館を出る。まるで優等生になったかのような気持ちだ。
「やぁ、奇遇だネ」
2階の勉強スペースで宿題をしていると、涼しい顔で天澄がやってきた。……今日は土曜日じゃないのに、アタシが図書館にいるのをどう思ってるんだろう。……って考える方がおかしいか。
「……アンタ、ホントに図書館とか来るんだ」
そういえば、制服みたいな学校指定の服以外の格好なんて、殆ど初めて見た気がする。なんとなく、急に自分の格好がおかしくないか気になった。
「そりゃあもう」
コイツは息をするように嘘を吐くから、『図書館で暇つぶししてる』なんて言葉は嘘や冗談かと思ってたのに。
「どこか解らないトコある?」
当然のようにアタシの隣の席に座り、天澄は距離を詰める。
「……ここ」
と、空白になっている問題を指した。基礎とかなら、公式とか色々そのまま使えばいいんだけど、応用はまず何使えばいいのか分かんないんだよな…。
「ああ、コレはね……こうやって解くんだよ」
指した問題を少し見て、すぐさま天澄は解き方を示す。そういえばこんな方法だったっけな、とか思いながら手を動かして問題を解いてみる。
「……これ、で……合ってる?」
間違えてたら恥ずかしいし気まずいから、様子を伺うように聞いてしまう。ってなんでにこにこしてんの、コイツ。
「うん。正解」
そう、ほっとしたのもつかの間、天澄に手を握られる。
「な、何すんの?!」
とっさに手をひっこめようとしたけれど、きゅっと握りこまれて手が抜けない。アタシと違って硬く骨張った手に、温かい体温にどきまぎしてしまう。
「つい、ね」
慌てるアタシと対照的に、天澄は落ち着いて妖艶に微笑む。
「『つい』って何!」
照れてしまうのを怒ってごまかし、その勢いで手を引き抜いた。
「ふふ、」
睨んでみても、天澄は小さく笑うだけだった。
夏休みに入り、日は高くなって昼はますます暑くなっていく。馬鹿みたいにそんな暑い日中、ボクは図書館に向かっていた。
図書館は冷房が入っていて、外で少し火照った身体を程よく冷やしてくれる。意外とショッピングモールとか遊戯施設よりもいい場所カモ、と考えながら、目的の場所へクールダウンも兼ねてゆっくり向かう。
「やぁ、奇遇だネ」
2階の勉強スペースに向かえば、大好きな彼女がそこで一生懸命机に向かっている。土曜日じゃなくても、まきは時々図書館で宿題や勉強をしているみたいだ。
「……アンタ、ホントに図書館とか来るんだ」
ボクを見上げ、彼女は目を見開く。まだ夏休みが始まって少しなのに、もう少しで課題が終わりそうだ。
「そりゃあもう」
キミが居るらしいから、なんて言える訳ないケドね。彼女の横の椅子を引いて座った。彼女の私服はシンプルで、いい感じに彼女の魅力を消してくれてる。着飾ればもっと可愛くなるのにな。今度、一緒に出かけるときに洋服買ってあげようかな?
「どこか解らないトコある?」
席を詰めてそう聞いてみれば、うーん、とまきは可愛らしく唸って
「……ここ」
と、空白になっている問題を指す。彼女、応用系の問題苦手なんだよネ。アドリブとか苦手そう☆
「ああ、コレはね……こうやって解くんだよ」
解き方を示せば、は、と猫みたいな目が見開かれ、問題を解いていく。
「……これ、で……合ってる?」
おずおずと、まきは解いた問題の正誤をボクに問う。上目遣いが、可愛い。
「うん。正解」
さすがだネ。指し方も可愛い。だから、思わずその手を握っちゃうのも、仕方ないと思うんだ☆
「な、何すんの?!」
引っ込めようとしたその手を脱がさないよう、強く握り込む。きゅっと握った手はやっぱり、細くて柔らかくて、とても愛おしく思う。
「つい、ね」
指を絡ませてそう笑うと、
「『つい』って何!」
と、彼女は顔を真っ赤にして、でも、ココは図書館だから小声で怒る。
「ふふ、」
周囲に気を使う彼女も可愛いネ。もっと色々な方法で遊んで、その反応を見たくなっちゃう。……おっと、嫌われたくないから自重しないとだよネ。




