表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/39

33


「ねぇ、まきは夏休みとか、どこか行かないの?」


終業式の帰り道、天澄にそう聞かれる。アタシが聞こうと思ってたことを、向こうから聞いてくれるなんて。


……少し嬉しくなってしまったけれど、コイツは普通の思考してないからな……。どこかに誘いたいとかじゃなくて、ただ『あってもなくても、少しくらい予定を教えてくれないかな』とでも思っているんだろうか。


「夏休み?……アタシは家の事とかあるから」


ホントは友達と出かける約束もいくつか入ってるけど、付いてこられたくないし。……さすがに付いて来ないか。でも、


「勉強しに、時折図書館とかにいるかもね。……土曜日とか」


土曜日くらいなら会えてもいい、とは思ってる。ま、天澄が来るかどうかは彼次第ってやつだけれど。あと、いい成績取れたし、ちょっとくらい勉強しても良いかも、って思ってるのはホントだし。


「ふぅん?」


少し興味なさそうな、冷たい返事が返された。……やっぱり、予定とか言わない方がよかったかな。


「アンタは?」


もやっとした気持ちが、言葉に混ざって強く言ってしまう。……八つ当たりしたってしょうがないのに。


「ボクは……図書館で、暇つぶしとかしてるかもね。だから、偶然会っちゃうカモ」


天澄は戯けたように笑った。いつも思ってたけれど、天澄はアタシの攻撃的な言葉を受けても平然として笑ってる。それをすごいと思う、けれど。


「あっそ」


アタシの子供っぽさを内心では笑ってるかも、と少し悪い風に考えてしまう。だから、返事も子供じみたものになって。それが恥ずかしく思えて、顔を逸らした。


天澄はまだ、こんなアタシのこと、好きなのかな。



「ねぇ、まきは夏休みとか、どこか行かないの?」


終業式の帰り道、まきに聞いてみた。あってもなくても、少しくらい予定を教えてくれるなら嬉しいな。


「夏休み?……アタシは家の事とかあるから」


少し考えるように目を閉じた後、


「でも、勉強しに、時折図書館とかにいるかもね。……土曜日とか」


そう答えた。つまり、土曜日は図書館にいる可能性が高いってことか。で、今のところ夏休みの予定はナシ。……どこかに行く予定があれば、色々な彼女が見られると思ってたのに。ちょっと残念。


「ふぅん?」


でも、キミがオトモダチと出かける予定あるの知ってるんだよネ。なんとなく、返事がそっけなくなった。あえて言わなかったってコトは、ボクが邪魔ってことだね?……イイよ。ボクはキミを見る予定があるケド、キミには言えないし。


「アンタは?」


うなずくと、当然のようにボクの予定も訊かれる。少し声が刺々しいケド、ちょっと怒りたいのはボクの方だよ?予定を教えてくれないなんてね。


「ボクは……図書館で、暇つぶしとかしてるかもね。だから、偶然会っちゃうカモ」


そう、戯けて言葉を返してみる。怒っていたとしても、ボクはそれは表には出さないよ。


「あっそ」


と、興味なさそうにツンと顔をそらされた。まき、興味ないなら聞かなくても良いんだよ?性懲りも無く、『何か誘ってくれるかも?』ってちょっと期待しちゃうから。


あんまりつれない態度ばっかりだと、我慢が効かなくなってキミを傷付けてしまうかもしれないよ?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ