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テストが終わって、そろそろ夏休みが始まる。もちろん、天澄は学年3位の成績を修めてた。さすが、って感じ。でもさらに上は取ろうとは思ってなさそう。ま、天澄の前の二人は、満点か99点しか取れないようなぶっ壊れた人たちだし。
で、アタシは……4位?!……やけに問題が解けるとか思ってたけれど、こんなに順位が上がるなんて思ってもみなかった。天澄って教えるのも上手かったし。……また教えてくれたりするかな。
廊下に貼り出された50位までのテスト順位を見てそう思っていると、順位を遠くから眺めている天澄を見つけた。
「天澄!」
声をかけると、彼は嬉しいそうに目を細める。
「アンタのおかげでいい成績取れたから……ありがと」
お礼をいうのがなんだか照れくさくて、素っ気ない言い方になってしまう。
「キミの役に立てたなら良かったよ」
天澄は妖艶に微笑む。コイツ、色々動作とか大人っぽいんだよなぁ……無自覚っぽいけれど。その笑みを見てられなくて、ついと目を横に逸らしてしまう。でも、ちょっと聞きたいことがあるんだ。
「ね、アンタさ……」
『夏休み空いてる?』って聞きたくて、天澄の顔を見上げる。
「なに?」
なんの気もなく首を傾げる天澄を見て、『アタシがそんなこと言える資格があるのか』『すでに他の相手との予定が入っているんじゃないか』とか考えて
「……なんでもない」
そう、ごまかしてしまった。そういえばコイツ、モテ男なんだよな。予定もある程度は詰まってるかもしれないし、アタシよりも可愛い相手なんてたくさんいるし。
何より、断られてしまうのを怖がってる自分がいる。……聞かなくても、良いかも。2学期になったらまた会えるだろうし。
テストが終わって、もうすぐ夏休みが始まる。モチロン、ボクは学年3位の成績を修めた。もっと上を取りたいとは思ってない。だってボクの前の二人は、満点か99点しか取れないようなぶっ壊れた人たちだし。
まきの順位は、4位。……あれ、意外と勉強出来てた。もしかして、ボクと一緒に勉強する必要なかった?それでも一緒に居てくれてたってコトは、……ボクと一緒にいたかったって思っても良いのカナ?
廊下に貼り出された50位までのテスト順位を見てそう思っていると、
「天澄!」
と、まきが嬉しそうに声をかける。
「アンタのおかげでいい成績取れたから……ありがと」
照れくさそうに頬を染め、ボクを伺い見る上目遣いな目線が可愛い。
「キミの役に立てたなら良かったよ」
そう笑ってみせれば、まきは照れたようについと目を横に逸らした。彼女の時間を独り占めできたし、役得ってやつだよね。
「ね、アンタさ……」
そわそわ落ち着かない様子で、ボクを見る。まるで告白する前の子みたい。キミからの告白なら、すぐさまOKだよ?
「なに?」
そう首を傾げると、
「……なんでもない」
と、一瞬気不味そうな顔をして、また目を逸らされた。何を聞こうとしてたんだろ。夏休みの予定とか?……そんなわけないか。
夏休み、彼女は誰かと予定が入っているのかな?ボクは今年は全部空けてるんだケド。まあ、予定があるか聞けばいいし、予定があるならそれを見に行けばいいだけの話。