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それから、テスト期間が終わるまで、天澄と一緒に図書館で勉強をした。思いがけないものではあったけれど、天澄の時間を独り占めできるならいいかな、なんて思ってみる。
夕方になると、この勉強会は終わる。アタシの門限とかを気にしてくれたらしかった。そういう気遣いに、なんだか胸の辺りが暖かくなる、気がした。
図書館の帰り道は、前みたいに天澄と一緒に帰ってる。アタシが買い物に行くときはそれに付いてきて、『ここでいい』っていう場所まで、荷物を持ってくれるんだ。
以前と変わったことといえば、
「じゃあね、天澄」
ってアタシが自分からいうようになった、ことぐらいだ。
「うん、またね」
と、天澄は手を振る。『また明日』なんて言葉を期待しても、きっと彼は言ってくれない。明日にはデートの約束とか、予定が入るかもしれないし。だから、アタシにできることはその手を振る返すことだ。恥ずかしいけれど。
もっと、こんな日が続けばいいのにな。
それから、テスト期間が終わるまで、一緒に図書館で勉強をした。テスト前は「彼女の『好きな人』を探す時間にしよう」とか考えてたケド、目星は付いたし、彼女と一緒にいる方が楽しいし、ね。
夕方になったらお勉強はお終い。彼女には門限や待ってる家族がいるもんネ。ボクは一人だけど。
図書館の帰り道、彼女とボクは以前みたいに一緒に帰ってる。彼女が買い物に行くならそれに付いて行って、彼女が『ここでいい』っていう場所まで、荷物を持つ。
以前と変わったコトといったら、
「じゃあね、天澄」
って彼女はボクに言ってくれるようになったコトぐらいかな。
「うん、またね」
と、彼女に手を振る。『また明日』なんて言葉は吐かない。だって、明日も一緒に帰ってくれる保証はないから。手を振ると、彼女は少し恥ずかしそうな顔をして、小さく振り返してくれる。
ああ、ボクのコト、好きになってくれないかなァ。




