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ちら、と後ろを振り返ってみる。
「……」
天澄の姿は見えなかった。
なんとなく、気が付いていた。アタシはもう、天澄のことが好きだって。
単純に、アタシと長い間接触していたことや、好意的だったこと、優しくしてくれたこととか、そんな陳腐な理由なのかもしれないけれど。
アイツが居ないのは、何となく寂しい。アイツが今いるのかどうか、どうしても気になる。ふとした時に、アイツのことばっかり考えてる。
でも、アイツを探そうとしても、なぜか中々見つからない。授業中は一応、クラスに居るのに。休み時間になったら、すぐに姿を消してしまう。
そして、関係が変わらないまま。
……アタシが、アイツに距離を取られたまま、その距離が変わる事なく、梅雨は明けた。