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捻くれるというか、病んでいく、のか?


私は話を構成するのがそんな上手くないので、色々家庭事情とか性格構築云々の話は書かずに終わると思います。



「ね、槙乃。あのウワサの真相、どうだと思う?」


「……何が?」


あの日のあとから、天澄はアタシに話しかけて来なくなった。やっと飽きたのか、と安心すると同時に少し寂しく思う自分がいる。


「あれだよ、あの高宮が告白全部断ってるってウワサ」


友達は面白そうに、噂の詳細を話してくれた。


「……そんなのあったっけ」


あんまり身に馴染みのない噂話だ。最近は、天澄関連の話を聞くとなぜだか落ち着かなくなる。胸のあたりがそわそわして、話を聞かずに逃げ出したくなるような、そんな感じに。


「相変わらずウワサに疎いね」


「誰か特定の人を決めたとか?」


もう一人の友達も、友達の話していた噂話を知っていたらしく、そのままその話をしていた。


「そういえばだけど、最近槙乃のところに高宮来ないね」


急に振られた、天澄の話題に心臓が大きく跳ねる。でも、動揺を見せないように、平静を装って返事をした。


「まーね」


「なんかあった?」


「少し前までよく来てたのにね?」


友達も、もう一人の友達も、アタシの心配をしてくれているみたいだ。


「……別に」


「そう?」


疑わしげに友達二人はアタシを見ていたけれど、『欲情したアイツに抱きつかれた』なんて、言える訳がない。


「なんかあったら私達を頼りなよ?」


「うん」


友達の優しさが嬉しくなって、思わず笑顔になる。


と、ガタリ、音がした。見ると、天澄が席を立って教室から出るところだったらしく、振り返らずに教室を出て行く。また誰かに呼び出しでもされたのかと思うと、なんだか気持ちが暗くなる。


「どうしたの」


アタシの様子に違和感を持ったのか、友達が声をかける。


「なんでもないよ」


首を振り、その気持ちを見なかったことにした。



まきから拒絶されたくなくて、距離をとってしまう。きっと彼女はボクが距離をとったって、寂しいとかそんなコトは思わないだろうね。むしろ、彼女はボクが絡んでこなくて清々してるのカモ、なんて思うと、とても気分が悪くなる。


『ボクはこんなにも君のコトを思っているのに』なんて言ったって、信じてくれないだろうし、ボクの気持ちじゃなくて一番大事なのは、まきの気持ちの方だ。


「……はぁ、」


登校しているその後ろ姿を見て、小さくため息を吐いた。


学校ではまきは相変わらず友達と楽しそうに過ごしている。


……羨ましい。心底ね。だって、ボクはまきに近付けないのに、そのオトモダチは何の憂いもなく、側に居ることができてる。彼女の声も、笑顔も、匂いも、体温も、ずっと側で感じられるんだから。


そう考えて、「ボクにもこんな感情があったんだ」と、驚いた。手に入らないと気が付くこともあるんだね。


彼女とオトモダチは、とても楽しそうに談笑してる。ホント、彼女の世界にはボクは要らないみたいだ。


あまりにも面白くなさすぎて、彼女を見ていられなくて、席を立つ。


そして、関係が変わらないまま。


……ボクが、彼女と距離をとったまま、その距離が変わる事なく梅雨は明けた。


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