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ちょいあれなネタある。
レーディングかけた方が良かったんだろうかと後悔し始めているけれど今更だよな。
「ここ」
天澄が足を止めたそこにあったのは、普通の家だった。少し小綺麗で、少しだけ裕福な家庭みたいな広い家。
「入る?」
「……」
ちょっと、中が気になっただけ。コイツが普段どんな生活をしてるのかとか。でも、上がり込むつもりはない。玄関に少し入って、それでおしまい。
「ねえアンタ、もしかして熱ある?」
玄関に入って手を離したタイミングで振り返り、天澄の額に手を当てた。……やっぱり、熱い。
「ちょっ、」
アタシが急に距離を詰めたからか、天澄は焦ったように見えた。ふわりと、天澄の匂いがして、一瞬、天澄の琥珀色の目と合う。
「っ?!」
その目は、そういうことに疎いアタシでも分かるくらいに、熱と情欲を孕んでいた。それに息を呑んだ瞬間、天澄に抱きつかれる。
「ちょっと、何す」
天澄の急な行動に、次はアタシが声を上げる番だった。身体に力を込めても、解ける気配が一切ない。
熱い身体に、包まれる。思っていた以上に、彼の身体は鍛えられていたようで硬い。弾力がありつつも硬い筋肉の触感と、所々で感じる骨張った身体の作りに、嫌でも『コイツは男なんだ』って思い知らされる。
「ねえ、まき」
首筋に顔を埋めた天澄は、ひどく熱い息を吐く。そして、アタシを包み込むように腕を回した。
「……っ?!」
腰の辺りに熱いものが、当たっていた。服の上からでも分かるくらいに、熱くて、硬い。
「ね。キミはそんなつもりないでしょ」
驚きで固まるアタシに言い聞かせるように、掠れた声で囁きかける。かかる息が熱くて、その低い声が耳に響いて、なんだか変な感じがする。
「ボクはキミと二人っきりだってだけで、こんなになってる」
そう言い、天澄はアタシを抱きしめる力が少し、強まった。
「お願いだから……ボクが耐えてる間に、早く帰って」
そう言いながら天澄はゆっくり腕を緩め、アタシが逃げられるようにする。見上げる天澄の顔は、首元まで熱を帯びて赤くなっていた。
天澄は後退り、アタシから距離を取る。見下ろされるアタシの顔は、熱い。まるで、天澄の熱が移ったみたいだ。そういう風に見られてるなんて、思いもしてなかった。
『好きだ』って言ってるんだから、アイツがアタシをそういう目で見るってのは分かりきってたはずなのに。
アタシは熱に茹だる顔のまま、一切目を合わせることもできず、そこから逃げ出した。
明日から、アイツにどんな反応をすればいいんだろう。軽蔑するのは、違う。アタシの配慮が足りなかった。アタシが無遠慮だったんだ。
嫌だって思っている筈なのに、アタシの中に移った天澄の熱は、少し。心地が良いような、そんな気がした。
「ここ」
ボクの両親は、今はこの家に居ない。海外とか、別のところにいる。
「入る?」
「……」
聞いてみると、小さく頷いた。特に深い意味なんてなくて、きっと、家の中が気になったただの好奇心だろうな。
ボクの家に、まきが居る。なんだか、不思議な感じ。友人どころか、今までいた恋人達も上げた事はないのに。ボクの中で、まきはかなり特別なところに入るんだなと、再度自覚した。
「ねえアンタ、もしかして熱ある?」
手を離した時、彼女はそう聞き、
「ちょっ、」
ボクの真正面から、急に距離を詰めてきた。ふわりと、彼女の香りが鼻腔をくすぐる。ああ、もう耐え切れない。一瞬、まきの灰色の目が合う。驚愕に見開かれるその目は、瑞々しい果物のようだ。衝動のままに、まきを抱きしめた。
「ちょっと、何す」
次はまきが抗議の声を上げる。でも、手を離してやれそうにない。
ボクの熱い身体に、まきの細くて柔らかい身体がすっぽり包まれる。思っていた通り、ほどよく付いたしなやかな筋肉と、女性特有の脂肪の柔らかさのバランスが良い。鳩尾の辺りに、彼女の柔らかい胸の感触があって、倒錯しそうになる。……でも、我慢。
「ねえ、まき」
彼女の首筋に顔を埋め、酩酊しそうな熱い息を吐く。そして、彼女の腰に手を回して自身に引き寄せ
「……っ?!」
敢えて、当てた。押し付けるだけの小さな刺激でも、それが彼女だと思うとすぐに出てしまいそうだ。
「ね。キミはそんなつもりないでしょ」
「ボクはキミと二人っきりだってだけで、こんなになってる」
ああ、駄目だ。匂いを嗅いだだけでくらくらする。最近、恋人とか作ってないからそういうのはやってないんだ。
「お願いだから……ボクが耐えてる間に、早く帰って」
ゆっくり腕を緩め、まきが動けるようにする。みっともないくらいに、身体中が熱い。
どうにか彼女から後退って、距離を取る。見下ろす彼女の顔は、赤い。そういう風に見られてるなんて思いもしてなかった、って顔だ。
『好きだ』って言ってるんだから、ボクがキミをそういう目で見てるってのは分かりきってるはずなのに。
彼女は赤い顔のまま、一切目も合うことなく、家から飛び出していった。
明日から、彼女はどんな反応をしてくれるんだろう。軽蔑した目かな。それとも、見知らぬ他人のように振る舞うのかな。嫌な予想ばかりが、頭の中を巡る。
それでも、熱で茹だる思考のまま、呟いた。
「あぁ、彼女を本気で好きになってしまったみたいだ」
と。
あと、しばらくはネタには困らないんだろうな。柔らかい感触と匂いが、焼き付いたようにずっと残ってるから。




