表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/39

21


元サイトとは少し文章が変わっているものもあります。


修正を繰り返して、やがて一緒になると思いますが。



梅雨に入り、雨が続く日が増えた。アタシが傘を忘れて天澄と相合い傘……みたいな失態を起こさないように、毎日折り畳み傘をカバンの中に用意してた。


直感的に折り畳み傘を二つ用意していた日、天澄のやつが「傘を忘れちゃった」とか抜かした。絶対雨が降るって分かるような日に傘を忘れるとか、絶対わざとだ。アイツのことだから、アタシと一緒の傘に入ってみたい好奇心とか、そんなものだろう。


二本目の折り畳み傘をカバンから取り出した時の、アイツの動揺した顔は面白かった。すぐに「まき、さすがだね」なんて表情を取り繕って笑っていたけれど、すっごい動揺してたのは私にはわかった。


最近はよく天澄と帰る。恋人をほとんど切らしたことがないくせに、なんだか珍しい。ただ単に、アイツの興味が向くような相手が見つかってないだけか、アタシがただ、天澄が誰かと付き合ってることに気が付いてないだけかもしれないけれど。


でも。前にアタシが言った忠告にしたがって、誰か、特定の人に誠実でいようとしてるのだったら、なんとなく嬉しいような、そうでもないような、そんな不思議な気持ちになる。


横に並ぶと随分と背の高い天澄を横目で見上げた。傘のおかげで口元までしか見えないけれど、なんだか最近は楽しそうにしているような気がする。作ったような笑顔じゃなくて、心からの笑みみたいな表情をよく見るようになった。


それをなんとなく喜んでいる自分がいるのは、嫌でも認めるしかない。ただ雨が降る帰り道だけれど、天澄が楽しそうだとアタシも楽しくなってくる。


ぱらぱらと雨を弾く傘の音を聞きながら、ぴしゃと跳ねる足下の水浸しな道を歩きながら、もうちょっとこんな日々が続いたら良いかもね。なんて思ってみたり。



梅雨に入り、雨が続く日が増えた。まきが傘を忘れて相合い傘……何てコトは、用意の良いまきには起こらなかった。残念。ボクが一度忘れてみたケド、彼女、折り畳み傘二つも持ってたなんて。さすがだね☆


最近は告白をされても断るようにしてる。なんだか、まき以外に興味が湧かなくなったのもあるケド、ボクの中での一番はまきだからね。断る方が面倒かなって思っていたけど、思いの外、楽だった。時間を割く必要も、相手を気遣うコトもないし。お陰で、まきと居られる時間が沢山増えた。


きっと。彼女はボクに興味がないからボクが誰と付き合ってようが、連日キミに付き纏っていようが関係ないんだろうネ。


横に並ぶまきを横目で見下ろす。傘のおかげで口元までしか見えないけれど、ツンと澄ました顔でいるんだろう。ボクは彼女の心からの笑顔なんて表情を、直接見たことがない。


彼女がボクを鬱陶しく思っていることは、嫌でも認めるしかない。ただ雨が降る帰り道で、静かに心が落ち着いていく。なんで一緒にいてくれるんだろう。


雨を弾く傘の音が、ぴしゃと跳ねる足下の水浸しな道が、酷く煩わしく感じた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ