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第3話 運が良ければAランクの装備一式は簡単に手に入る

「なんか雰囲気あるな……」


 初心者向けダンジョンの最下層で、隠し部屋を見つけた俺。テンション高く隠し部屋に入ると、その部屋には下り階段が存在していた。

 当然降りるっしょ! と、降り始めたまでは良かったのだが、いくら降りても一向に階段が続いている。


「まさか、ボスいるとか言わねーよな……」


 最初は、初心者向けダンジョンにトラップなんかないでしょ、と考えていた俺だが、ここまで階段が長いと少し、いやかなり心配になってきた。


「ええい、ここまで来て引き返せるか! こうなったら何がなんでもお宝をゲットしてやる!」


 いくらなんでも、初心者向けダンジョンで即死するような仕掛けや、超強いボスなんかはいないだろう。いや、いないと信じる。

 かなり慎重になりながら階段を降りていくと、ようやく終わりが見えた。そして、幸運にもというべきか、当然だというべきかはわからないが、たどり着いた部屋には宝箱があった。


「よっしゃ! 狙い通り!」


 魔物とは出会えなかったが、何はともあれ本来の目的達成だ。後は、宝箱の中身次第である。


「そんなに凄いものは期待してないけど、隠し部屋にある宝箱だろ? そこそこ良いもん入っててもおかしくないよなあ……」


 期待に胸を膨らませ、早速宝箱を……、


「オープン!!」


 勢いよく開けた宝箱の中に入っていたのは……小さな水晶玉だった。


「……なんじゃこりゃ?」


 当然、地球のゲームのように、自分のステータスやアイテムの詳細などを見ることは、この世界ではできない。つまり……、


「この水晶玉の価値がわからねぇ……」


 見た目はめちゃめちゃ綺麗な水晶だ。ただ、俺は数日前まで男子高校生だったんだ。見ただけで宝石のだいたいの価値とかわかるわけないだろう。


「……とりあえず、価値があるものであることを願うとするか」


 まあ、元々の目的はお金稼ぎだ。そういう意味では、お金に換えられそうなものが出てきたのは幸運と言うべきだろう。……男の子としては()()()()()を手に入れたかったが。


 何はともあれ、今日はこの辺で帰ることにしようと思い、俺はダンジョンを後にした。その時の俺は、()()()()()()()()建てていることに気づかずに。


 ◇◇◇◇◇


 ダンジョンの隠し部屋で、価値はいまいち分からない小さな水晶玉をゲットした俺は、ルリの家に帰ってきた。


「ただいま〜」


「お帰りなさい! ダンジョンはどうでしたか? 魔物との戦闘は大丈夫でしたか??」


「うん、まあ大丈夫っちゃ大丈夫だった、かな?」


「? ど、どういうことですかそれ??」


「その答えは至って単純だよ。ダンジョンで一体も魔物に出会わなかったってだけ」


「へ?」


 俺がルリの質問に答えると、ルリからは素っ頓狂(すっとんきょう)な反応が返ってきた。

 まあ、無理もない。ダンジョンで魔物に出くわさないとか、普通あり得ないからな。


「ダンジョンで魔物に出会わなかった? フフッ、冗談はやめてください。そんなことあるはずないじゃないですか~。……あるはずない、ですよね?」


「ルリの意見は最もだよ。俺だって信じられないんだから」


「ということは……!」


「あっはいマジです今の話」


「さ、左様ですございますか」


 


 実を言うと、テンションが高いのにはもう一つ理由がある。

 ルリの今までの行動を考えると、俺が大喜びで帰ってきたら、必ず共感してくれるはずなのだ。

 つまり、ルリが一緒に喜んでくれると勝手に思っているということである。


 しかし、実際にルリのとった行動は、一緒に喜んでくれることではなかった。

 だからといって、俺に酷いことを言ったわけでもない。

 

 なら、ルリは何をしたのか?

 その答えは……、


「ヒ、ヒカルさん……。その剣、一体どこで手に入れたんですか?」


「え? 村の近くのダンジョンだけど、なんでそんなに驚いてるの?」


「だ、だってその剣、かつて魔王を倒した勇者様のパーティーにいた、伝説の騎士、ハヤテ様の神速の(つるぎ)ですよ?」


「……は?」


 え? この剣、そんな凄い武器なの?

 初心者向けダンジョンで手に入れたやつですけど?


「その話ホント? ルリの見間違いとかじゃなく?」


「はい。その剣はどこをどう見ても神速の(つるぎ)です」


 マジかよ。そんなエグい武器入手しちゃったの?

 俺の運、やっぱりヤバイわ。


「で、この剣の特徴とかわかる?」


「えっと、神速の(つるぎ)は、切れ味と剣の軽さを重視した神器だったはずです。伝説では、ハヤテ様は戦場を縦横無尽に駆けまわり、正確な一撃を敵にお見舞いしていたらしいですよ」


 確かに、この剣軽いと思ってたんだよな。

 でも、冒険始めたばかりの俺が楽々振れるぐらい軽いって、伝説の武器の特徴凄いな。


「まさか、ヒカルさんが伝説の神器を手に入れられるなんて……。ヒカルさん凄いです! おめでとうございます!」


「あ、ありがとう。これもルリが、防具とかのお金出してくれたおかげだよ」


「いえいえ、私がやったことなんて、たいしたことじゃないですから。けど、本当に凄いですよ、ヒカルさん!」


 ハハハ……。喜んでくれるとは思ってたけど、まさかこんなに喜んでくれるとは……。


 その時、俺はふと、ルリならもう一つの宝箱から出てきた、水晶玉の価値もわかるのでは? と思った。

 これは聞いてみるべきだろう。


「なあ、ルリ。この水晶玉もゲットしたんだけど、これの価値とかわかったりする?」


 このときの俺は、一緒に出てきた剣がヤバかったので、もしかしたらこの水晶玉もヤバイかな? なんて考えていた。

 まさか、この予感が当たるとも知らずに……、


「…………。ヒカルさん、その水晶玉、運命の水晶だと思います……。かつてこの水晶玉を手に入れるために、国が何国か滅ぶほどの戦争が起きたとか……。」


 …………。よし、とりあえず深呼吸しよう。

 スーハー、スーハー。


「なんでそんなヤバイもんが初心者向けダンジョンなんかにあるんだよおぉぉ!!!!」


 俺の運、ヤバすぎません?

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