ストーリー完結後の世界
「くっ。我の覇道もここまでなのか」
肩に大きな穴を開けられ、満身創痍の魔王が言った。
「そうだ。お前の好きにはさせない!いくぞ皆!」
掛け声と共に勇者の持つ剣にパーティーメンバーの魔法使い、騎士、僧侶の持つエネルギーが集まっていく。
「いっけえええええええええええ!!!!!」
そのエネルギーと共に振り下ろされた剣は魔王を含め正面のものを跡形もなく破壊した。
「これで全て終わったんだ。ありがとう皆」
その直後、エンドロールが流れる。
制作メンバーやスタッフの名前が現れる。
そして最後に
Congratulations!
これで無事にゲームの完結だ。
このゲームはよくあるRPGのようにクリアしたら魔王の直前に戻ったり2週目がスタートするわけではない。
クリアした勇者たちのステータスがクリアデータとして好きに閲覧できるようになるだけだ。
もう一度やりたいのであれば別のデータで最初から。
そして一度クリアした名前と同じものは二度と使用できない。
普通ならありえない話だ。
何故こんな特殊な設計にしたのだろうか。
私と一緒に見に行ってみよう。
ここはさっきのデータの最後の攻撃の最中だ。
ゲームの最後らしく凄まじい威力の攻撃だね。これもプレイヤーのこれまでの努力の賜物だ。
そして魔王は倒されましたとさ。おしまい。
って感じでこのゲームは終了する。
さて。ここからが本題。
本来ならエンドロールが流れるわけだけどここはこのゲームの世界。流れるわけないよね。
少しだけ待ってみようか。
おっときたきた。ボロボロだけど魔王の登場だ。
実はあの攻撃威力は当然凄まじいけれど範囲が広すぎたよね。
威力が分散してたんだ。
とはいえ体力はもう0に近い。レベル1だったとしても一撃で倒せると思うよ。
ただそんなことは関係がない。
倒したはずの魔王が生きているんだ。クリアしたはずなのに。
これが何を意味するか。
見てごらん。魔王の反撃だ。
勇者よけろ!なんて思ったのかな。
無理に決まってるじゃないか。
動けるわけがないんだから。
勿論他のパーティーメンバーも動けない。
この子達は君たちプレイヤー側の操作するキャラだ。
最初からこの子たちに人格なんて存在しないのさ。
プレイヤーの思うがままに動く人形だ。
おっとこんな話をしている間に人形が蹂躙されていく。
あ、死んだ。
ここからの展開は予想がつくよね?
敵のいなくなった魔王が世界を掌握するんだ。
だから同じキャラは二度と作れないし、クリアしたキャラでニューゲームもクリア後の世界も楽しめない。
さて、君はどうしたい?