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推しのラテアート

 舞台俳優の推しが以前パーソナリティーを務めていたとある番組が、毎回最後にラテアートを飲んで終わるというものだったのだが、そのラテアートを作っている方のお店が都内にあるということをTwitterで知った。そのお店ではラテのフレーバーと2Dラテアートか3Dラテアートかを好きな組み合わせで選ぶことができ、描いてほしい絵の写真を見せるとそのラテアートを作ってくれるらしい。

 これは...!!!!推し君が飲んだものと同じラテアート、飲みたい...!!!!!

フッ軽ヲタクのわたしは午後から東京で舞台観劇があった日の午前中にさっそくお邪魔しに行った。


 大変人気のお店で開店前から列ができると聞いていたので、都内まで片道三時間ほどかかるわたしは朝早く起きて始発で向かった。その日はあいにくの雨で、傘をさしていてもズボンの裾が濡れるほどだったのだが、お店の軒下にはもうすでに二組の先客が。

 はやく来てよかったあ、と思いながらその後ろに並ぶ。

お店がオープンするないなや注文が決まっていたわたしは一番乗りで注文。

ひとつは推し君の顔写真の2Dラテアート、もうひとつは推し君が番組内で飲んでいたものと同じかわいい馬の3Dラテアート。

 一杯1200円なので二杯で2400円。

推しが飲んだものを飲めるってことで金額、いや、お金という概念がもうなかったんだと思う。まあいつものことだが。お金はありませんが推しに繋がるお金なら出しますよ。

 普段は400円のコーヒー高いなって思ってコンビニの108円の水買うのにな。

  

 どの絵を描きましょうか、と言われ推し君のブロマイドを見せると

「あ、〇〇さんじゃないですか」

「あの番組でこちらのお店を知って」

「めちゃめちゃ顔綺麗ですよね、演技の引き出しが多くてすごく真面目な方でしたよ」

作りながらマスターの方が撮影中での推し君の様子や裏話なんかを聞かせてくれた。そんな話聞いちゃっていいんですか。お金払いますよ?マスターさん、ありがとうございます。

 ラテアートは目の前でマスターの方が作ってくれる。動画撮影可、ということでスマホ片手にその神業をガン見。推し君の話をしているうちに推し君のラテアート完成。すごい。めちゃめちゃうまい。

 ぱしゃぱしゃ写真を撮っているとマスターはもう二杯目の作品に取り掛かっていた。あとで推し君のブロマイドと一緒にゆっくり写真撮影しよう。


 二杯目の3Dラテアートの立体部分を綺麗に作りながらマスターさん。

「このあとどこか行かれるんですか?」

「はい、某バレーボール漫画の舞台を見に行くんですよ。推し君もその舞台で知って」

「あの漫画僕も好きなんですよ。あ、お客さん声優さんとか興味あったりします?」

「好きなアニメの声優さんなら少しだけ、詳しくはないのですが...」

 (この数か月後に声優さんの沼にはまるのだがそれはまたの機会に...)

「これラテアートの番組でナレーションをしている声優さんのサインなんですけど」

「...っ!!!!!!!...超人気声優Nさん!!!!まじですか!!!!!!」

白色のマグカップに入ったメッセージとサイン。うわあ、すげえ。こんな貴重なものを見せてくださってありがとうございます!!もうほんとに。何から何までありがとうございます。

 

 マスターさんと推しの話で盛り上がったところで二杯目が完成。

ラテアートが崩れないようにゆっくり席まで運び推しのブロマイドと写真撮影会。

気のすむまで写真を撮ったわたしはフレーバーの違う二杯を交互に飲んだ。

ちょうどいい温度。あったまる。

もちろん推し君の顔のラテアートははじめこそ飲むのをためらったがとてもおいしく最後までしっかり飲み干した。

 

 もう少しゆっくりしたかったがもうそろそろ移動しないと舞台の時間に間に合わなくなる。

ごちそうさま、とマスターに声をかけて店を後にした。駅に向かいながらスマホの画面で時間を確認すると、おっと。これは時間ギリギリかも。駅まで小走りで少し急ぐ。

 

 なんとかギリギリ予定時刻の電車に飛び乗り、ふーっと一息。降りる駅までの時間でさっき撮ったたくさんの写真たちの整理に取り掛かる。ほかの人から見たらきっとすべて同じ写真たちだが、わたしにはその僅かな角度が大きな違いに見えているのだ。その中から納得いく一枚を厳選し、推し君のアカウントのアットマークをつけてTwitterに載せる。

 

 よし。投稿完了。頭を舞台観劇に切り替える。また来よう。今度は推し君の舞台ビジュのブロマイドのラテアート飲みに来よう。



 









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