第2話:俺を支えてくれた彼女
彼女がケータイを手にしたのは
俺が死んだのを感じたから
いつもは寝てる時間なのに心臓が丈夫な彼女なのに
胸が痛くて苦しくて
俺の身体の異変を感じ
電話をしようとしていたが
ケータイチエックが大好きな
ガキの顔を思い出し
電話する事出来なかった
彼女が胸騒ぎしてる間
嫁とガキは眠ってた
いつものように眠ってた
俺がこの世の最後に電話をしようとした相手は彼女だった
俺には嫁もガキもいる
彼女も旦那と子供がいるが俺達二人は愛し合ってた
世間では
「不倫」と言われているが
俺達二人は愛し合ってた
慰謝料請求されるらしい
不貞行為と罰せられるらしい
性欲のはけ口のためとか
刺激が欲しいからとか言われてるらしいが
俺達二人は愛し合ってた
「お互いに子供がいるからすぐに離婚して再婚は難しいけど、支え合って助け合って長く付き合おうね。山も谷もあるけど、二人で力を合わせて乗り越えて行こうね」
俺達何度も約束した
小指を絡ませ約束した
決して他人には知られる事はなかったが
穏やかな交際が続いてた
「安らぎの時間」
「安らぎの空間」
俺の家庭にはなかったが
彼女と出会い手に入れた
彼女と出会う前の俺は
笑う事を忘れてた
俺は仕事を頑張った
なのに結果は報われない
俺は家族を大事にした
何不自由なく暮らせるように頑張った
なのに俺は報われない
心身共に限界近い俺の前にとびきり笑顔の彼女が現れた
彼女が会社に入ってから
俺に笑顔が戻ってきた
彼女と付き合い出してから俺は毎日幸せだったよ…
なんて事を考えてるうちに検死が終わった
俺は、地方に実家があるから
通夜と葬儀は実家でするが今日はこっちで仮通夜だな彼女は職場同じだし
二人の付き合い知られてないから
みんなと仮通夜来るだろう
賢い彼女の事だから
人前では普通に悲しむけど陰では大泣きしてるだろう
検死が終わって迎えの車が来た
だけど車は…
西へ西へと走って行った
えっ!何で?
俺の家は北の方角なのに!ここから3キロの距離なのに!
何で西の方角の
「高速入口」に向かってるんた?