彼氏が痴漢に遭った話
彼氏が痴漢に遭いました。
……と聞いて、皆さん、彼の姿をどのように想像しましたか?
華奢な男?
女性っぽい男?
いえいえ。
頭は金髪で身長は180㎝。
格闘技を習っており、ムキムキであります。
全体的に若い時の津田大介に似ています。
こんな男を痴漢したのは、
痩せ細った、見知らぬおじいさんでした。
この彼氏(正確には元彼。名前を津田とします)が痴漢に遭ったのは書店でした。
本屋って、意外と痴漢が多いらしいですね。女友達に聞いたことがあります。
それは男性も例外ではないらしい。
津田は立ち読みをしていました。その時、いきなり背後からおじいさんが手を伸ばして来たのです。
その手がいきなり股間周辺をまさぐり始め、更にそのおじいさんが耳元で一言。
「君、いい体してるねェ……」
驚き固まる津田。
こんな時、立派な体躯の男が取る行動って何だと思います?
正解は、「無言で震える」です。
これは女も男も一緒です。
見知らぬ人間から性の搾取を唐突に受けると、人は混乱し、何も手が打てないのです。
津田は後に語りました。
「痴漢された時、なぜ声を出さないのかという意見があるけど、そんなの絶対に無理」
そうです。
身長180㎝の金髪男でも、いきなり来た痴漢に抵抗することなど不可能だったのです。
もうひとり、痴漢に遭った男性被害者を紹介しましょう。
彼は先程の金髪元彼の友人で、私の部活の先輩でもありました。共通の友人というやつですね。
その日の彼は緑色のモヒカン頭に、B'zの稲葉浩志を思わせる透け網タンクトップに革パンという出で立ちでした。
身長は187㎝です。
※なぜそんな知り合いばかりなのか?という問いには作者もお答え出来ません。作者自身も疑問に思っております。
彼はその日、満員電車に乗っていました。
いつも通りの時間に、いつも通り周囲から少し避けられたりチラ見、二度見されたりしながら。
そこで、唐突に。
いたって普通のスーツ姿のサラリーマンが、羽交い締めせんばかりの勢いで抱きついて来たのです!
そして何やら硬いものを臀部に忙しく擦り付けて来る。
固まる緑モヒカン。
彼が次に取った行動とは?
正解は、「いつもの降車駅より前の駅で下車し、呆然とトイレの個室に入り、便座に座って小一時間震えが止まるのを待つ」です。
緑モヒカンの九州男児でも、抵抗など不可能だったのです。
「まず、抵抗するという選択肢が浮かばない。もうやだ逃げたいとしか思わない」
ここまでの話を読んで、皆さんどう思いましたか?
男を襲う痴漢とは命知らずだなぁとか
状況があり得な過ぎて思わず笑ってしまったとか
創作だろ、などと思いましたか?
いいえ。
これらの話は全部本当にあったことで、
彼らはしばらく書店に行けず、電車に乗れなくなり、
何より痴漢を憎むようになりました。
翻って、痴漢された女子の方にも思いを馳せてみませんか。
そんな格好をしているから
大人しそうだから
抵抗しなかったから
狙われた?本当に、そうでしょうか。
それなら彼らは
髪の色が派手だったから
身長が高かったから
鍛えていて、力が強そうだったから
抵抗しなかったから
痴漢に狙われたとでもいうのでしょうか?
そんなわけはありませんよね。
被害者に原因を求めるのは、もうやめにしませんか?
また「なぜ抵抗しないのか」という言葉を簡単に投げかけるのも、やめにしませんか?
悪いのは、性欲を理性でコントロール出来ない痴漢というケダモノの方なのです。
恐らく痴漢達は当時彼らに一発殴られたとしても、同様の犯行をやり続けるでしょうね。
そこに性の対象がいる限り。
読んで下さってどうもありがとう。
いじめなんかでもそうですよね。
被害者に原因を探そうとする。
あれ、何なんでしょうね?