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第86話 とりあえず、休日に戻ろうか


お待たせしました!

(ゲームしてました)


今回は息抜き回です~(作者の為の)

よろしくお願いします!

 


『神戸、どこ』


 今から白亜ちゃんと碧に相談しようと思ったそのタイミングで、のののからチャットが届いた。

 もう、紅亜さんは落ち着いたのだろうか?

 とりあえず、ファミレスという場所だけ返信してののの達を待つ事にした。


「で、何? お兄ちゃん。相談って……」

「あ、いや……大丈夫だ。それより碧、デザートとか食べないのか? 白亜ちゃんも」


 露骨な話の逸らし方ではあったけど、メニューを渡す事でうやむやにしておく。

 一度話すと終わるタイミングが分かんないし、それより先にのののが来てしまうだろうからな。

 この後の予定は決まってない。たぶん……流れで解散となるだろう。家にすぐ帰るか、どこかに寄って帰るかは碧に任せるけど。


 パフェだパフェだと話してた二人も注文が決まったのか、呼び出しボタンを押した。

 まだまだ店内は混雑しているが、店員さんの動きは素早い。


「ご注文お決まりですかぁ~? イチゴパフェおひとつ~、チョコレートパフェおひとつですねぇ~。かしこまりましたぁ~。少々お待ち下さいぃ~」


 またしても注文を受け取ってくれた天空院という店員さんが、独特のイントネーションと共に颯爽と去っていく。


「お兄ちゃんはデザート要らなかったの?」

「大丈夫だ、けっこうお腹いっぱいだしな」


 お腹どころか精神的にもいっぱいいっぱいだし、今は食べるよりも考える少し時間が欲しかった。

 紅亜さんについて考えるには、どうしても時間が足りない。

 一日そこらでも答えは出ないと思う。だから、とりあえず落ち着く為の時間が欲しいと思っていた。


 本当なら、どこか一人で静かな場所で考えるのがベストなんだろうが、一人になると不安な気持ちやネガティブな考えが溢れそうだった。

 逆に考えて、今の状況はベストでは無いが丁度良い。二人が居てくれることで、強がっていられるから。


 碧がパフェを待つ間、スマホを操作し始めた。

 それを白亜ちゃんが覗き込んでいる。

 そういえば、白亜ちゃんは携帯電話をまだ持ってないと言っていた気がする。

 碧がゲームアプリで遊んでいるのかは分からないけど、少し羨ましそうに見ている。


「神戸、いた」

「おっ、ののの。思ったより早いな」

「エレベーター」

「タイミング良かったんだな」


 まだ返事を送ってからそれほど経ってはいない。どこに居たのかは知らないが、のののが場所を聞いてきた時には案外近くまで居たのかもしれない。


「一人か?」

「一人」

「そうか」

「そう」


 短いやりとりに、碧と白亜ちゃんはポカンとしている。

 それはさておき、一人という事は他の二人はこっちには来ない。つまり、今日この後は解散するだけ……という事になったのだろう。

 白亜ちゃんをどうするか……紅亜さんの所に行かせるか、このまま帰りも送り届けるか。


「新山紅亜は谷園マノンが送る」

「……そっか、分かった。ののの達もご飯食べたか?」

「食べた……けど、デザートはまだ」


「お待たせしましたぁ~。チョコレートパフェとイチゴパフェですぅ~」


 なるほど。

 碧と白亜ちゃんの目の前に置かれたパフェを見て、のののも心做(こころな)しか、目を輝かせている。まだ、という事はこれから食べることがほぼ確定しているという事だ。


「神戸……」

「あー、はいはい。……あの、追加注文良いですか?」

「少々お待ち下さいぃ~……はい、どうぞぉ~」


 のののがパフェを見比べて、チョコレートの方を指さした。

 俺はそれを店員さんに伝える……些か、小学生からの視線が痛い。のののじゃなく俺に向けられているのが、意味ありげだ。


 店員さんが去って、二人がパフェを食べ始める。

 のののが来た事が原因なのか、空気が妙に浮わついている気がする。

 後から来たのののが、全く喋ろうとしないのがいけないのかもしれない。

 まぁ、人形が正面に座ってじっと見つめてくるとでも思って……いや、普通に怖いか。怖いな。


「そうだののの! 改めてだけど……こちらが白亜ちゃん」

「新山白亜……です」

「巳良乃のの」

「…………ということでーす」


 会話が終わる。まぁ、俺とのののにとってはいつもの事だ。

 だが、二人の近くにはのののみたいなタイプが居ないのか、会話のテンポをまだ掴めていない様子。

 歳上なのに歳上っぽくないのののに、どう接して良いのか分からないのかもしれない。

 だから、のののに質問のひとつも無いのか……ね? 小学生から空気を読むスキルを覚えてるなんて、最近の子はちょっと凄いな。


 念のための自己紹介だから別に良いんだけど、それでも少し呆気なく終わった。

 のののもパフェが運ばれて来たらそれに夢中である。


「ののの、紅亜さんに白亜ちゃんはちゃんと送り届けると連絡入れといて貰えるか?」

「……構わない。けど……いや、何でもない」


 のののにしては歯切れが悪い。だが、まぁ……気にしないことにした。

 とても遊ぶ気分ではないけれど、それでも碧と白亜ちゃんの為なら無理矢理テンションを上げるくらいはするつもりだ。


「みど……いや、ののの。どこか行きたい所、ある?」


 この後の予定を決めるにしても、二人は気を使って遠慮するだろう。だから俺は、のののに話を振った。

 これくらいの事なら打ち合わせが無くとものののは理解してくれる。

 少し悩んだ素振りを見せて、「映画」と一言だけ呟く様に言った。

 映画という選択肢はありがたい。碧も白亜ちゃんも楽しめるし、俺も二時間程いろいろと考えられる。

 それを見越しての発言だとしたら……やはりののの、恐ろしい子!


「二人はどう? 映画」

「碧はそれで良いよ?」

「あ、はい! 私も大丈夫です……」


 という事で次の予定は決まった。とりあえず三人がパフェを食べ終えるまでに、俺はスマホで映画の時間を確認しておこうか。



 ◇◇◇


「神戸、ポプコーン」

「ポップコーンね、なに味?」

「お兄ちゃん! 私もポプコーン!」

「私もポプコーン食べたいです」


 ポプコーン――その言い方が流行っているのかは知らないが――全員同じで良いということで、あとは味だけだ。

 塩、キャラメルという定番以外にも、少し値段はプラスされるがチョコレートや紅茶、カレー味なんてのもある。種類は豊富そうで、選ぶのに時間が掛かりそうだ。

 碧と白亜ちゃんに観たい映画を任せた結果、今CMで話題だというやつに決まった。たしかに、何度かコマーシャルで観た記憶はある。たしか、感動系だったかな?


 先にチケットは買ってあるが……売店の混み具合を考えるとそろそろ並ばないとギリギリになりそうだった。

 四人という丁度よく偶数な事もあって、ハーフ&ハーフを二つ買うという方向で話は纏まった。


「紅茶」

「碧は……チョコレートかなぁ~」

「私は、キャラメルで……ご馳走さまですお兄さん」

「はいはい。白亜ちゃんは偉い子だな。あ、ちなみにのののは高校生だから折半な」

「ケチ」


 何とでも言ってくれ。さっきの昼御飯代は両親から預かったお金から出したからダメージはゼロだが、ポップコーンは自腹だ。碧と白亜ちゃんはともかく、のののは高校生だから……


「ののの、今身長どれくらいだ?」

「ほぅ……神戸、戦争だ」

「いや、すまん。つい……」


 碧と白亜ちゃんとののの。小学六年にもなると、二人もそれなりに身長がある。

 最近の小学生の発育が良いのかもしれないが、のののとそこまで変わらない……というか、見た感じでいうとのののが少し小さいだろうか?


「大丈夫ですよ、ののさん! ののさんは、雰囲気が大人っぽいですから!」

「神戸妹、良い子」

「いや、騙されるなののの……もう身長は諦めろと碧は言ってるんだぞ?」

「……悪い子?」


 普段から眠そうな瞳のののの。そののののの目に捉えられてしまったら最後……碧では(のが)れるのは難しいだろう。

 白亜ちゃんがソッと俺の背後に移動して来たから、とりあえず匿う。


「っと、次か。えーっと……半分ずつのポップコーンで、紅茶と塩、キャラメルとチョコレートをお願いします。あ、サイズはMで。あと、ドリンクは……白亜ちゃん、どれがいい?」

「えっと……アイスココアが良いです」

「じゃあ、アイスココア三つとアイスコーヒーをお願いします。こっちはSサイズで」

「かしこまりました。お会計が……一四二〇円です」


 財布からお金を取り出している間に、注文した物がどんどん出来上がっていく。映画館の売店は少し値段が高い気もするが、それも込みで映画って感じだ。

 白亜ちゃんに自分のと碧の分のを持ってもらい、俺は自分のとのののの分を持つ。

 料金丁度のお金を支払って、レシートを受け取る。


「ほらののの、碧がカエル状態だから睨まないでやってくれ」

「仕方ない」

「お兄ちゃん……助けるの遅いよぉ」


 膠着状態だった二人を、後ろのお客さんの邪魔になる前に動かす。

 のののの冗談は分かりにくい。

 完全に冗談の時も、冗談半分の時も、冗談じゃない時も全て同じテンションで仕掛けてくるからだ。

 ちなみに、今の碧へのアプローチは完全な冗談なのだが碧は……やはり分からないだろうな。ちょっとのののと距離が出来てる気がする。


「神戸、妹ちょうだい」

「ははは、ナイスジョーク」

「じゃあ、新山妹の方」

「それは、何とも言えないけども……」


 一人っ子にしてみれば、やはり兄弟姉妹が欲しくなったりするのだろうか?

 残念ながら碧はあげられないが……頼めば、妹分にならこの二人はなってくれるんじゃないだろうか……分かんないけど。


 チケットを渡してスクリーン8の場所に行き、中央やや後ろの席に俺、ののの、碧、白亜ちゃんの順番で座る。

 スマホの電源を落として、静かにスクリーンに流れる映像を観る。


「神戸、紅茶も食べて良い」

「そう? なら、俺の塩味もどーぞ」

「……こしょばゆい」


 こそこそ話の要領で耳打ちしてきたのののに、耳打ちで返す。

 どうやらのののは耳が弱いみたいで、少し身悶えた。ちょっとしたイタズラ心が芽生えかけるが……流石に時と場所は弁える。


 さて……そろそろ始まるみたいだし、大人しくしておきますか。






誤字脱字その他諸々ありましたら報告お願いします!(´ω`)


ふふふ、歯が痛すぎるけど歯医者はいきません

(唐突に更新止まったら……ね)

バイバイキーン……なんつって

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2020/1/11~。新作ラブコメです! 『非公式交流クラブ~潜むギャップと恋心~』
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