第8話 そのキャラでいく気なのか……?
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(´ω`)
遅刻したことで先生から多少のマイナス評価。それに加え、頑張って日本語を覚えて来たっぽい見た目がハーフの女の子にツッコミを入れてしまった事で、クラス中の男子と女子の大多数からただでさえ低い評価に更なるマイナスが加わった。
「谷園さん、貴女の席は廊下側の一番後ろに新しく用意しました。一人だけ飛び出てる様で悪いですけど……そうだ! 誰か席を替わってあげて貰えないかしら? そうすれば、環境に慣れるのも早いしお友達も沢山出来ると思うの! あと、神戸くんは早く席に着いてね?」
「あっ、はい。すいません」
桜先生の提案にクラスの皆が替わってやれよとは口に出すものの男子は隣の席の者に言い、女子は仲良い子とは離れたく無いのか実際に動こうとする者が中々現れない。
「先生! 替わっても良いけど……廊下側じゃなくて、窓側の1番後ろでも良いっすか?」
そう言い出したのは――勝也だ。その発言と発想に前の方の席に座る男子はその手があったか! と、悔しがり、前後左右のクラスメートは歓喜し、女子の一部は流石だと感嘆の声をあげた。
「良いですよ! ありがとうね円城寺君。では、谷園さんは円城寺君の席でいいかな?」
「ハイ、ドコデモ大丈夫デス!」
勝也が自分の机の中を綺麗にしてから後ろに用意されてた机を持って窓際まで運んで来た。つまり、俺の席から左隣の後ろの後ろという位置で前よりは近くなった。
「よっ! 青。お前がツッコミみを入れる気持ちは分かる。俺も……多分、巳良乃さんも同じだと思うぞ。あれがまさかの双子って可能性もあるけどな!」
「あれはもう、イタイを通り越してオチャラ系だろ……二人もいたらキツいって。っと、また後で話そう……桜先生が見てる」
見てるというか、目で注意して来ている。
「こほん。とりあえず、今日の一時間目が先生の国語の授業ですので、谷園さんと親睦を深める為の時間にしようと思います! その分、少しだけ宿題として出しますのでやって来ること。皆さんもそれで良いですか?」
クラス中から賛成、肯定的な返事が出た事で最初の授業は変更となった。
「じゃあ、朝のホームルームはこれで終わりですね。皆さん、谷園さんとお話をするのは良いですが困らせないように。では、先生は一度戻りますので楽にして大丈夫ですよ」
桜先生が教壇を降りて一度、職員室へと戻っていった。それと同時に先生からの忠告を無視するかの様に、転校生の谷園マノンの元へクラスメート達が集まった。
「神戸」
「あぁ、髪な。今日は体育もあるし一つに纏めておくか。ポニテにでもしておくぞ」
「青~、お前、さてはメール読んで無いだろ?」
勝也が近くなった事で、前より少しだけ楽しくなりそうだ。日課であるのののの髪を整えながらそんな事を思った。
「あぁ、それはすまん。昨日は漫画読んでて気づいたのが夜中だったし、返信は明日で良いかなって考えたら……寝坊した。携帯も忘れてきたし、メールってもしかしてさっきの事?」
「あぁ、部活で残ってた奴が桜先生ともう一人の先生で机や椅子を運び入れてる所を見たらしくてな。転校生ってのは判ってたけど……まさかなぁ~」
確かにまさか……だよな。同じ年くらいかとは思ったが、転入生とは思わなかった。
「そういえば昨日、学校について聞かれたよな……こういう事だったんだな。……よし! ののの、これで大丈夫だ」
「感謝」
「青、あの謎のカタコトについてはどう思う?」
のののの寝癖を直し終えた俺は、勝也の発言について考えてみた。
「昨日、名前を聞かなかったから絶対とは言えないけどさ………。ほぼ同一人物だろ? 完全な悪ふざけとしか思えないんだが?」
「面白い系だとは思った……けど、流石に心配だよな? あのキャラでいくつもりか?」
「あれは昨日と同一人物」
結論は悪ふざけ……フランクに言うなら冗談。アイツはきっと、アホに違いない。
「ののの的には?」
「総合的に判断して。昨日の時と同じ箇所が多い。あと、神戸にツッコミされても動じないのは不自然」
「おぉ……よく見てんな巳良乃さん。マジでどうするつもりだ?」
確かに。……自分で言うのもアレだが、知らない関係だとして、いきなりツッコミをされてあの反応は不自然過ぎるな。なら、どうするもこうするも答えは一つだ。
「そうだな……うん。放っておこう! カタコトなら受けが良いとか、そんな感じの軽い理由でやったんだろ? 多分だけど」
"マノンさん、日本語上手ですね!"
"アリガトウゴザイマス……"
"昔はアメリカに住んでいたんだよね? いつから日本に!?"
"コ、ココナッツ……シット。ココノツノ頃デース"
聞こえて来る話を拾うと、知ってる側からするとしょうもない言い間違えを挟みながらも上手く対応はしているみたいだ。
時折、可愛いだのなんだのと男子や女子からの賛辞の言葉を受けながらもきっちり質問には返事をしていく。その集まりの中へ入っていく人物がいた。……紅亜さんだ。
「みんな、先生も言ってたでしょ? あまり皆で話し掛けたら駄目よ? ……ごめんなさいね谷園さん?」
「イエ…大丈夫デス! アナタハ、凄ク、可愛イ人デスネ!」
「あ、ありがとう……。次の時間も沢山お話を聞かせてね?」
「モチロンデス! 父親譲リノフランクサデ、仲良ク、ナリタイデス!」
キーンコーンカーンコ~ン~
朝のホームルームの時間を少し長めに取っていた為、授業の開始までの時間も当然いつもより短く、一時間目が始まった。開始のチャイムが鳴り終わってから桜先生も教室に入ってきた。
「ごめんなさい、少し遅れましたね。では、号令を」
「起立、気を付け、礼」
「「「よろしくお願いします」」」
「はい! では…先に宿題を配っちゃいますね? あ、谷園さんも次から国語の授業をやってもらう為の予習と思って一応貰っておいてくださいね~」
「分カリマシタ!」
プリントで配られた内容を見るに、今やっている授業の復習プリントだ。これなら教科書とノートを見れば簡単に終わりそうだな。
「……はい、皆に行き渡った所で、谷園さんへ挨拶というか自己紹介をして貰いたいと思います! 一度に覚えろと言うのは難しいですからね、少しずつ覚えて貰う為の一歩だと思ってください。では、誰からいきますか? 出席番号順か、席順でいきますか?」
自分が最初は嫌なのか、出席番号一番の男子と前列の隅っこの二名との間で意見が食い違ったが、桜先生が『話すときは前に出て貰います』と言ったその一言で、逆に最初に終わらせようと今度は自分からという言い合いになった。
「はい、静かに! もう、出席番号順で行きます! さ、前に出て」
「よしっ! えっと、俺……じゃなく、僕の名前は相之川海緒です。特技は……」
最初の一人が終わって、次の順番が回って来た。次は勝也の番だ。
「円城寺勝也です。バスケ部に入ってますが、運動は全般的に好きです。あとは……駅前のクレープが好きです。……よろしくな」
「ヨ、ヨロシクオ願イシマース!」
簡素な自己紹介を終えた勝也が戻って来て、俺とのののの間を通る時に一言『目が泳いでた』と、だけ言った。これはもう確定と言って良いだろうな。勝也はクレープのワードを出して確かめたんだな。なら俺も出番が回ってきたら……。
「……はい次、神戸君ですね」
順番が回ってきた俺は黒板前の教卓へと移動した。
「神戸青です。帰宅部です! 昨日、自称視えてる系の人にオーラが霞んでるとか言われました。よろしくお願いします」
「オー……ソレハオーラ業界デハ可哀想ナ人デス! ……プフッ」
事情を知らないクラスメートは俺の発言にポカンとして、奴の発言を気にしてる様子は無い……が、とりあえずこれで、さっきの勝也の確認に更に確実性が加わったな。谷園マノンがボロをいつ出すかを楽しみにしておこう。
そこから順調に進んで行き、女子の番へと入っていった。
「私は新山紅亜です。部活は陸上部で、短距離ですね。好きなモノはあ……ムニョムニョ……とか甘い物とか可愛い物です! 困った事があればいつでも頼ってくださいね。これからよろしくお願いします、谷園さん」
「ス、スイマセン……ムニョムニョ聞コエタノデスガ?」
「そ、そこは別に……大丈夫です!」
紅亜さんの慌てた自己紹介も終わり、その後も順調に自己紹介も消化されていった。のののなんかは名前しか言わないという簡素も簡素な挨拶をしていたが……よく考えれば、それはのののは通常通りだったな。
「はい! 自己紹介は終わりましたね。谷園さん、最初はゆっくりで良いのでクラスメートと仲良く過ごしてくださいね。皆も、谷園さんが分からない事や困っているみたいでしたら手を差し伸べてあげてくださいね。……っと、まだ時間がありますので後は宿題をやっても良いですし、谷園さんとお話をしても構いませんよ。ですが、騒がしくならないようにお願いしますね?」
俺やのののや勝也は宿題をこなし、クラスの女子達は紅亜さん谷園マノンを中心として話を、男子は何かしらひそひそ話で一時間目の残りの時間を過ごしていった。
か、感想に3つの欄があるじゃないですか?
作者的にはやっぱり良いとこが何か1つでも書いてあると嬉みかな~なんて思ったりします。
良いとこがなければ『字が綺麗』とかでもいいので検討お願いします!
(推奨であって強制ではないです)