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第74話 兄と妹の週末 ①


お待たせしました!


もう、全然違う!違うんですよ!

一応、箇条書きでコレとコレとコレって内容は出して~、と書き出すんですが脱線しまくるんですよね!(ふくらまし過ぎとも言う)

まぁ、ほとんど最初からそうなんですが……(白目)


では、よろしくお願いします!


 


「ただいま~っと」


 学校から真っ直ぐ帰って来たのだが、玄関を開けると碧の靴は既にあった。

 静かな家の中でテレビの音だけがやけに響いている。

 靴を揃えて置き、自分の部屋に戻る前に一度リビングへと立ち寄った。


「ただいま、碧」

「……コホン。うん、おかえり」


 意外と普通だ。

 寂しがると思って急ぎめに帰って来ただけに――普通でも良いのだが――肩透かしを食らった感じだ。

 とりあえず大丈夫ならそれで良いと、部屋に戻ろうとした時に碧に呼び止められた。


「お兄ちゃん、買い物だけど」

「あぁ、いつ行く?」

「お兄ちゃんのタイミングで良いよ。碧はテレビ観てるから」


 なんだろう……何か変だ。

 碧にしては、どこか落ち着き過ぎている。

 普段通りなら、もっとお菓子を自由に食べたりジュースを飲んだり……お母さんの居ない状況に慣れて、はしゃぎそうなものなのに。


「碧……どうしたの?」

「ん? どうもしてないけど?」


 ラフな服装でソファーに座り、クッションを抱え、スマホをいじりながらテレビを観ている。

 おかしい……でも、怒らせたりはしてない筈だ。


(はっ! こ、これが反抗期ってやつか!?)


 ついに来てしまったのかと、心がざわめく。

 ここに長く居るのは、(かえ)って碧の機嫌を損ねるかもしれない。

 俺はリビングを出て部屋に戻ると、『思春期 妹』や『反抗期 妹』で検索していた。

 自分自身が反抗期ではなく軽い中二病だっただけに、対処の仕方が分からない。

 見た限り、イライラしたりとか暴言を吐いたりしている訳じゃない。ただいつもより少し、大人びている様に見えるだけなのだ。


「んー……早く帰って来てと言われてちゃんと帰って来ただろ? 学校で何かあったとかか?」


 考えても答えが出ない時は保留に限る。

 やること――碧と家を守るという事には何ら変わりないのだし。

 暗くなる前には買い物を終わらせた方が良いだろうと、俺は制服から私服に着替えて碧の居るリビングに戻った。



 ◇◇◇



 いつでも行けると声を掛けると、碧は「寒くなりそう」と呟いてリビングを出ていった。

 部屋に服でも取りに戻ったのだろう。今度は「先に出といて」と声が響いた。


「お待たせ」

「お……う? えっと……近くのスーパー?」

「うん、着くまでに何をつくるか決めないとね」


 俺と碧は夕陽に背を向けながら、徒歩で十数分ぐらいの場所にある、頻繁に利用しているスーパーマーケットに向けて歩き出した。

 上は何故か俺の黒いジャージを着ており、下は丈の短い白のスカートの上に更に透け感のある白いロングスカートというファッションだ。さっきとまるっきり変わっていた。

 勝手に部屋へと侵入して服を取ってきた事を言うべきか、それとも結局暑いのか寒いのか分からないファッションに突っ込むべきか迷った結果――


「ブカブカじゃない? そのジャージ」


 という、中途半端な事しか言えなかった。


「そうかな? ジャージなんてブカブカぐらいでちょうど良いんじゃない?」

「まぁ、碧が良いなら良いけどさ」


 会話が止まるとちょっとした沈黙が流れる。

 これが他人や親しくない人なら気まずいのかもしれないが、今日に限って言えば、兄妹で親しくても、普通に気まずい。

 気まずいというよりは、俺が下手に声を掛けない方が良いかなぁ……と迷ってるから変な空気になっているだけなのだが。

 妹に遠慮することが既に、兄としての威厳が欠片も無い証明になってしまっている気がする。ちょっとだけ凹む。


 帰宅する人やまだ遊んでいる人。俺達と同じ目的で買い物に行く人や買い物から帰る人。

 もしかすると、この時間帯が一番人の動きが激しいのでは? と感じるくらいに人が行き交っている。

 肩と肩がぶつかる程ではないが、こんな風に街の喧騒を碧と味わうなんて一月(ひとつき)振りくらいか。


「はぐれるなよ、碧」

「子供扱いしないでよね」

「お、おう……」


 晩御飯の話題が出る前にスーパーへと到着してしまった。


「お兄ちゃんの好きな食べ物にしようか?」

「いや、碧の好きな物で良いぞ?」


 買い物カゴを手に持ち、店内を回ってみる。

 子連れの主婦、おばちゃん、おばちゃん、主婦。商品を手に取っては戻して品質を見極めている。

 流石の碧もそこまでの技量を身に付けるには、十年くらい早そうだ。


「碧、一緒に作れる物にしようか?」

「うん! ……コホン。うん、なら……定番のハンバーグとかどうかな?」

「オッケー! 献立が決まったところで碧、まずはお菓子とかデザートから買っちゃおうぜ」

「だ、駄目だよお兄ちゃん。貰ったお金には限りがあるんだから」


 意外と財布のヒモが固かった。だが、碧の好物を知らない神戸青では無い!


「焼プリン、チーズケーキ、チョコレートケーキ、モンブラン、フルーツタルト、ショートケーキ、ロールケーキ、マカロン、ドーナツ…………」

「はわ、はわわわわ……」


 碧に聞こえる声で商品名を連呼する。そして、さりげなく売り場へと誘導する事も忘れない。

 碧が――碧の財布のヒモが緩むまでに一分も掛からなかった。

 その分、必要以上にスイーツが多くなってしまったが、それは明日以降に食べれば問題無いだろう。

 ハンバーグに関して言えば、家にどの材料があったのかを碧が調べていてくれたお陰で、少しだけ買い足す程度で十分(じゅうぶん)だった。


「もうっ! お兄ちゃんのせいだからね!」

「こんなこと滅多に無いんだし、少しくらいの贅沢は良いと思うぞ?」


 重い方の袋を俺が持ち、軽い方の袋を碧が持って店を出る。

 そして、つくづく思う――女の子は難しい、と。

 店に来るまでは反抗期の到来かと思っていた碧が、店を出る頃にはいつもの雰囲気……明るく元気な碧へと戻っていた。


「お兄ちゃん、早く帰ろっ!」

「碧……さっきまでの変なのは、結局なんだったんだ?」

「秘密! でも、もう疲れたからしないよ。お兄ちゃんはお兄ちゃんだし、碧だけのお兄ちゃんだもんね!」

「なんだそれ」


 碧がそんな事を言って、笑っていた。

 それにつられて、俺も笑ってしまった。


「やっぱり……白亜ちゃんは雑誌の読みすぎなんだね、きっと」


 ぽつりと碧がそんな事を呟いた。意味はよく分からないけど、白亜ちゃんとは相変わらず仲が良いのだろうな。

 沈んでいく夕日より眩しい笑顔をみせる碧に腕を引っ張られながら、帰り道を歩いて行く。

 なんだか少しだけ既視感を覚える光景だ。だが……鼻歌交じりで歩く碧がとても楽しそうで、兄としてはそれが何よりだった。




 ◇◇◇



 学校から帰って真っ先にリビングに向かった。

 分かっていたけど、既にお母さんは居なかった。お兄ちゃんもまだ帰って来ていない――とても静かだ。

 小学生と高校生じゃ、時間割りだって違うし当然と言えば当然なんだけど。

 今日は大変だった。朝から白亜ちゃんに変な事を言われたせいで一日中ソレばっかり考えてしまった。

 何故、飽きっぽい私がどうしてお兄ちゃんと居て飽きないのか。

 何故、告白されてもその気になれないのか。

 そして、お兄ちゃんは誰にでも優しいけど、碧には違ったりするのだろうか……と。


「うーん……飽きない理由は分かるんだよなぁ」


 生物にとっての空気。日本人にとってのお米。お兄ちゃんは碧にとって、そこに在って当然の存在なのだ。

 だから、飽きるとかじゃない。と、一応それなりの答えは出た。


「告白されるのは恥ずかしいし、嬉しい気持ちはあるけど……違うんだよねぇ~」


 何が違うのかを説明するのは難しい。とても難しい。

 面倒なのかもしれないし、私が悪いのかもしれないし、相手に魅力が足りてないのが原因かもしれない。

 気付いていないだけで、本当は――好きな人ってのが私にもいるのかもしれない。


「はぁ……着替えなきゃ。お兄ちゃんが帰って来るまでテレビでも観よ。て言うか、んーーっ! 何で! 私が! こんなに考えないと! いけないのっ!」


 一人だとどうしても独り言が多くなってしまう。静かなのは嫌いじゃないけど得意でもないのだ。

 荷物を置きにリビングを後にして部屋に戻った。外に行くことを考えて、軽めな服装に着替えておく。

 またリビングへと戻って来たが、どうも落ち着かない。

 ソファーに座ってテレビをつけた。クッションが膝上に置くにはちょうど良い。


「今日の晩御飯はどうしようかなぁ~、お兄ちゃんは何が食べたいんだろ? デザートとか買っても良いのかなぁ~駄目かなぁ~」


 そう考えていたら、スマホに着信が入った。


「由香ちゃん? なんだろ? ……もしもし?」

「あっ! 碧ちゃん? 白亜だよ~」

「その声はたしかに白亜ちゃん……だね。どうしたの? 由香ちゃんのスマホまで借りて」


 由香ちゃん達と遊んでいるのかな? 今日は遊べないって伝えておいたし、お誘いじゃないとは思うけど……何だろう。


「いやぁ、さっき雑誌で良い情報を手に入れたから教えてあげようと思って!」

「いや、全然要らないから……白亜ちゃんが自分で使いなよ」

「ふーん、そんな風に言っても良いのかなぁ? えっと……『これで大丈夫! 年上男子に年の差を感じさせない大人の仕草!』って特集なのにぃ~」

「はぁ~……白亜ちゃんの読む雑誌ってなんか変じゃない? で、なに?」

「やっぱり必要無い……えっ、聞くの!? あと、全然変じゃないから! 普通だからっ!」


 私が聞きたいんじゃなくて、白亜ちゃんが話したそうだから聞いてあげるだけ。うん、それだけだ。

 あと……やっぱり何か変だと思う。


「話したいんでしょ?」

「碧ちゃん、たまにそういうとこあるよねー? まぁ……いいや。えっとね、こほん。まずもって背伸びして大人びるのは逆効果なんだって! だから、声の抑揚を平坦にして、落ち着いた返事を心掛ける事でしょ。あと、アンニュイ? な雰囲気作りと、トドメは服装だね。やっぱり服装から滲み出るんだと思うよ! ま、そんな感じかな!」


 自分の服装を見直してみる。七分丈のシャツの上に柄物のティーシャツ、下はロングのデニムスカートだ。


「これは……セーフ? もっと落ち着いた色合いの方が?」

「ん? どうしたの碧ちゃん? ブツブツと……あ、ごめん! そろそろ切るから! ……頑張ってね」


 プツン――と、一方的に切られた。結局、この服装はセーフなのだろうか? アウトなのだろうか?

 少なくとも上に着ているシャツは駄目な気がする。


「ただいま~っと」


 お兄ちゃんが帰って来ちゃった……。

 えっと、話し方と、アンニュイ? と、服装だったよね。アンニュイはよく分からないけど。


「ただいま碧」

「……コホン。うん、おかえり」


 たぶん、こんな感じなの……かな?

 変じゃないかな? 信じるよ! 白亜ちゃん!


 ――やっぱり普段通りが一番だと気付くのに、そう時間は掛からなかった。

 だから今度会った時に、白亜ちゃんに一言だけクレームを入れてやろうと私は決めたのだ。



誤字脱字その他諸々ありましたら報告お願いします!(´ω`)


途中で碧視点に変わる所が、やや分かりにくいかもしれませんね。

混乱させたならすいません……上手い繋げ方が閃かなかったです(´・c_・`)

まだ、ペーペーなんで暖かく見守ってください……

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