第66話 発見!
お待たせしました!
えぇ……ちょっとガチャで爆◯しましてね……
更新が遅れました。あと暑いからですね、すいません……ガンバルンバです(;´д`)
~前回のあらすじ~
男子回した。
よろしくお願いします!
「おかえり、青。今日は焼きそばよ」
「スパゲッティ……」
「和風よ」
それは何か違くないかと思ったが、料理を作ってくれるのはお母さんだし、文句らしい文句は言えない。
別に本気でスパゲッティが良かった訳では無いし、無駄に走っただけあって、お腹が空いているから何でも良かった。
手を洗いうがいをしてから部屋へ着替えに向かった。
ブラックから「今日の事は内密に……」というメールが届いていた。興味を持つのが俺と勝也の他に誰が居るのか疑問になるが、とりあえず返信してからリビングに移動した。
「お兄ちゃん遅かったね?」
「まぁ、遊んでたからな」
時計を見ると十八時三〇分を回っていた。先にご飯を食べ終えていたのか、リビングで寛ぐ碧ちゃんからそんな質問があった。
「あんた、勉強はちゃんとやってるんでしょうね?」
「……大丈夫」
「そう。なら、次のテストの結果次第ではお小遣いに……こほん。青、さっさと食べちゃいなさい」
お小遣いに……なに!? 良い点取ったら増えるの? いや、減るだけだな。間違いない。減る事はあるだろうが、増える事なんて学年が上がらない限りは無いのだ。
俺は焼きそばを食べてからすぐに部屋へと戻った。理由は当然、お小遣い減少の防止対策の有効手段の最たる勉強をする為にだ。
最近はお金の消費も増えつつあったし、長期の休みでも無い限りはバイトも視野には入れてない俺にとって、お小遣いは大事過ぎるものだから。
「……飲み物とお菓子の準備をしておくか」
勉強をする時に大事なのはモチベーション。目標は設定されたが、中弛みを起こさない為にもお菓子のブーストは必須だ。
十九時から寝る前まで、めちゃくちゃ勉強した。風呂や明日の準備で少しバタバタしたが、頑張った……筈だ。
◇◇◇
「ようやく水曜日で折り返しだなぁ~」
そんな事を呟きながら登校しているが、空は雲が覆い尽くしている。まだ雨は降っていないが、いつ降りだすかわからない天気だった。
だが、いつもより冷たい風が気持ちいい。雨が降ると蒸し暑くなるし、暑いのはそもそも好きじゃない。今の天候は個人的に、かなり過ごしやすかった。
せめて手に持った傘を使わせないでくれと、空に祈りながら少しだけ歩みを早めた。
学校に到着して、話せる人には挨拶を、それ以外のクラスメイトとは相変わらずの距離感で。
だが、隣に座るのののが今日は少しだけ怠そうだった。
「おはようののの。大丈夫か?」
「ん……低気圧」
「頭痛か?」
俺が来てからかどうかは分からないが、これ見よがしに目元や肩に頭のマッサージをし始めた。
「肩重い」
「……」
「いたたたた」
「……」
「神戸、アメならある」
「……はいよ」
のののは動かない。こちらに背を向けるでも鞄からアメを取り出す様子も無い。
「後払いですかい?」
「質による」
「最低限の報酬を保証して欲しいんだけど、まぁ、少しの肩揉みくらいなら良いですよーっと」
こちらに任せるのかと思いきや、肩を揉み始めたらそれはそれで指示が飛んで来る。だから、少しくらい加減を間違えて、入れる力が強くなっても仕方ないよな。
「か、神戸! いたたっ、強い」
「おっと、こりゃ失礼しましたお客様」
芝居じみた俺の返答にお冠なのか、手の甲の皮を力を入れて摘まんできた。
だが、流石はののの。非力である。全然痛くなかった。
余裕そうな俺の表情を確認して――爪を立てた。
「痛いぃっ!?」
「ふふっ、おあいこ」
「痛み分けって……誰も得しないな」
「神戸、面白かった」
あぁ、確かに……あまり表情を表に出さないのののだが、痛がるのは初めて見た気がする。新発見だな。
この発見で分かったのは、のののの表情を目に見えて分かる所まで引き出すと、のののからの反撃があるという事。
しかも……嬉しさには嬉しさ、怒りには怒り、悲しみには悲しみ、楽しさには楽しさ、痛みには痛みをぶつけて来る。
たぶんきっと、自分一人が笑ってたり痛がってるのが恥ずかしいのだろうな。だから、近くに居る人を巻き込んで誤魔化そうとする。……主な被害は俺だが、今回は俺から仕掛けた事だし、少し違うかもしれないが。
でもまぁ、とりあえずそのレベルで共有しないと、のののは楽しくても感情を顕にはしないだろう。それは今まで見て来たから間違って無いと思う。
「痣になっちゃうタイプだこれ……。いや、もう良いか。それでどうだ、頭痛は? そう変わらないと思うけど」
「らくらく」
肩を回しながらそう言うが、表情だけならそうでも無さそうだ。だが、ほんのちょっぴり高くなっている声が、本当だと伝えてくれる。
のののも存外、分かりやすい性格をしているな。
◇◇◇
昼頃にポツポツと雨が降りだした。
突然の雨という訳でも無いし、予報を観ていた人は特に騒いだりはしないのだが、やはり一定数は傘を持ってきて無いのだろう。教室でも何人かはそうらしい。
「マジかー、今日はギリギリに家を出たから忘れて来たぜ……」
「勝也さん、ドンマイです!」
俺の目の前で購買から買ってきたパンを食べてる男、勝也もその一人らしい。近くで食べている谷園に慰められていた。
「マノン……貴女も忘れた一人じゃないのよ……」
「……てへ。紅亜、帰り助けてください~」
「今日は部活があるし……」
「なら、青さん助けてくだ――」
「でも、雨だし、早めに終わるだろうから大丈夫よ! マノン、待っててね?」
隣で行われる会話を聞いてじゃあ、俺も勝也をと考えた所で思考を放棄した。男同士で相合い傘というのも流石にアレだからな。
「悪いが自力でどうにかしてくれ、それも自己責任というものだと思って……俺を諦めてくれ」
「いや、急になんだ!? 青を諦めろってどういう事!?」
間違えた。俺を頼るのを……と言いたかったけど間違えた。だがまぁ、些細な事だな。
「円城寺君、どういう事かな?」
「聞き捨てならない」
……と思っていたのだが、何故か紅亜さんとのののが話に食い付いた。
「いや、お二人さん……待った。大丈夫だ。青に何も思う所は無いぞ?」
二人からジト目を向けられた勝也が取った行動は、至ってシンプルだった。
「青が紛らわしい事を言うからだぞ!」
「うわっ、矛先をこっちに向けようとしてるな!? イケメンなのにやり口が汚いぞ! 傘に入れてやろうと思った俺の優しさを返せ!」
「そこからちゃんと説明しろや! ……お二人さん、そういう事なんで」
たどたどしい勝也も珍しいなと、今日は発見が多い。何かの疑いが晴れた勝也もようやく食事を再開させた。
そのタイミングで校内放送が流れた。内容は簡単に「雨でグラウンドが使えない為、午後の体育祭の練習は体育館に集合」という内容のものだった。
「女子が着替えに使う前に教室を出ようぜ」
「食堂に行ってたらあれだな、戻って来た時には既に女子が着替えてて、教室に入れなくなるパターン」
「あー、それあるな。たぶん何人かはそうなるんじゃねーか? ……仕方ねーから、ギリギリまで待って居ない奴の分は出してやるか」
たぶん鞄かロッカーにはあるだろう。が、それでも他の人の荷物に触れるのはリスクがある。でも勝也はそれを平然とやってのける。
俺がやったら嫌われそうな行為でも、勝也なら普通に感謝されて終わる話だろう。
俺とは桁違いの信用度に軽い嫉妬を覚えるが、俺が助けられる立場でも、勝也になら普通に礼を言って終わるだけだろう。
「俺なら気にせず教室を出るけどなぁ~」
「まぁ、ただのお節介かもしれないけどな。スムーズに事を進めるのも実行委員の仕事ってな!」
「駄目ですね~青さん。そういう小さい気遣いの出来る男が結局はモテるんですよ? って、前にも言った気が……気のせいですかね」
「くっ……」
横からの意見に一本取られた気持ちになった。気遣いか。
たしかに、勝也はイケメンだが気遣いが出来る男だ。今ほどイケメンじゃなかったとしても、この気遣い力があれば女子からはモテるかもしれない。
俺は谷園とはいえ女子目線の意見に心の中で大きく頷いた。
「分かった。勝也、俺も手伝おう! ギリギリまで待つぞ!」
その意気も虚しく、ギリギリまで待っていると女子から「早く出てってくんない?」という言葉が投げ掛けられた。主に……俺に。
それに加え、教室から出てったクラスの男子は体操服もしっかりと持って行っていたらしく、完全に無駄骨となっていた。
誤字脱字その他諸々ありましたら報告お願いします!(´ω`)
まだまだ平成最後の夏はこれからだぜ!
(※出不精)




