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第64話 男子回 上

お待たせしました!

別にサブタイは、考えるのが面倒になったからしじゃ、無いですよ?(特に意味がある訳じゃない)


では、よろしくお願いします!


※一部、皐月さんの台詞を

来週→週末に変更しました

 


 また明日から天気が崩れるかもしれないと、この時期ならそんなに珍しくも無い予報を、テレビが伝えてくれる。今日は珍しく二度寝をしなかったおかげで、朝食を楽しむ余裕があって、何気なくテレビを観ていた。


「えっ……お兄ちゃんが早起きするから!?」

「いや、碧? いや……碧?」


 何か良い返しでも! と思ったが、面白い返しは思い浮かばずに名前を読んで終わってしまった。碧も不思議そうに見てくるが、思い付かなかったんだから仕方がないだろう。


「お母さん、今日の卵焼き甘めだね?」

「ん? 何言ってんのよ……今日のは甘くしてないわよ?」

「マジか……」

「じゃあ、俺はそろそろ出るから。青、碧、気を付けて学校に行くんだぞ」


 お父さんが先に家を出るが、味覚がまだバグっている方が重要だ。やはり、昨日の夜に食べきったのが悪かったのかもしれない。数日に分けるのが正解だったか……。

 お父さんの次に家を出たのは碧で、俺は時間ギリギリまで家に居るつもりだった。早起きしたからって、早めに家を出る必要なんて無いだろうし、むしろ、早起きしたのにゆっくりしていた方がお得感がある。個人的にはだ。


「ねぇ、青」

「ん~?」

「週末、お義父さんの所まで墓参りに行くけど……どうする?」

「あぁ、お母さん達が毎年行ってるやつ? 爺ちゃんの所って地味に遠いんだよなぁ~長期休暇なら行くけど」


 毎年、両親だけの恒例行事と言っても良い墓参り。俺の記憶を辿っても、ちゃんと墓参りをしたことは無い。

 爺ちゃん家の仏壇の前に座ることはあっても、墓までは一回も行ったことが無かった……筈で、それはきっと碧も同じだろう。お盆ですら、墓のある場所まで行って無い……忘れてなければだが。

 両親も無理には誘わないし、小学校に入ってからは面倒臭いという理由で、両親と碧は行っても俺だけは行かないパターンになっていた。最近は、碧も行かなくなったな。


「まぁ、いつもの事ね。その時になったらお金は置いておくから、碧と何か食べるか作るかしなさいね?」

「あいよ~。そうだ、お母さん……今日はスパゲッティの気分かも!」

「はいはい、遅刻するわよ?」


 時間的にはあと五分くらい余裕はあったが、会話のタイミングも区切りが良かったし、家を出ることにした。空には雲が多く浮かんでいるが、過ごしやすい温度や風が吹いていた。


 ――教室に着くと、勝也の席にクラスのイケてる側の女子が数人(つど)っていた。

 割りとよくある光景だし、気にせず自分の席に向かおうとしたら、その隙間から勝也の手首あたりが包帯に巻かれているのが見えた。


「大丈夫なの? 円城寺君」

「あぁ、ちょっと捻っただけだしな。治るのに数日も掛からないって」

「良かった~」


 という会話が聞こえてきて、事情をある程度は察した。部活でやらかしたのだろう。ホント、左手で良かったな。利き手である右手なら、堂々と授業をサボっていたに違いない。


「神戸」

「おはよう、ののの」

「うん」


 今日も今日とて少しハネている髪だ。だが、それを直そうとする前に、のののからスマホの画面を見せられた。


「猫?」

「たくさん居た」


 今日の登校中にだけ見付けたにしては、確かに、多い数と言えるだけの猫の写真を見せられた。

 日陰で寝そべる猫、足元にすり寄っている猫……警戒心のある猫の写真、いろいろとあるが、とりあえず満足そうなのののだ。


「癒されるな」

「癒され」


 スマホに夢中となるのののの邪魔をしない為にも、今日は少しくらい髪が整ってなくても良いだろうと結論付けた。時間も余り無いしな。

 それから先生が来て、今日も一日が始まった。火曜日の授業は大変な教科が多い……頑張っていかねばだ。


 ◇◇


「はい、今日はここまでです。プリントを配っておくので、次までにやってくるように」


 先生によっては「えぇ~」の声が上がるが、英語の先生には無理だったりする。怒るからだ。雷が落ちるタイプじゃなく、ネチネチと怒ってくるタイプで時間が掛かる。だから皆も素直にプリントを手にして鞄にしまっていた。

 だから先生が教室を出て行った後に、ため息が所々で聞こえてくる。


「青~、食堂行くんだけど手伝ってくんね?」

「良いぞ。じゃ、さっそく行くか」


 今日はちゃんと紅亜さんに捕まっている谷園を横目に、俺と勝也は教室を後にした。だが、そこに……アイツが待ち構えていた。


「お~い! ブルー、キャッソー」


 やけに勝也のアダ名、キャッスルの発音を良くして近付いて来たのは、隣のクラスである一組のボッチこと、ブラックだった。


「おー、ブラック」

「どしたん?」

「いや、別にトイレから戻ったら女子に机を取られてた訳じゃないぞ?」


 なるほど、丁寧な説明ありがとう。でも気持ちは分かる、女子に机を取られたら何も言えないよな。「あ、うん。どうぞどうぞ……」みたいな。


「それより、どうしたキャッスル? まさか……貴様、その腕!」

「いや、別に封印とかじゃねーぞ? それよりそれよりだが、俺達は食堂に行くから一緒に行こうぜ」

「ふっ……いざ参らん!」


 ブラックを含めたこの三人で昼飯は久しぶりだ。ブラックが先んじて歩いて行くのを俺と勝也で追っていく。

 同じ方向へ歩いて行く人の数が多い気がしていたが、それがほんの一部でしかなかったのは、食堂に着いた時の人混みでハッキリとした。俺達も早めに来た筈なのに、既に食券を求める列と席を確保している人達で溢れていた。

 三人分の席くらいなら窓際辺りにありそうで、ブラックには先に席の確保を頼み、俺は勝也のアシスト……つまり運ぶ役をすることにした。


「今日の日替わりは……気分じゃねーな。ここはガッツリとカツ丼にでも」

「定食か?」

「いや、丼だけで良いかな。味噌汁とかは別にいいし」


 食券くらいなら買えると、列に並んだ勝也から離れて、先に受け取り口の近くまで移動しておく。キッチンのあるスペースでは、おばちゃん達が猛烈なスピードで料理を完成させていき、食券を渡してから待ち時間が五分も無いだろうか、感覚的にはそれぐらいで、めちゃくちゃ早い。


「火曜日ってこんなに混んでるもんなの?」

「まぁ、週の最初と最後はそうでも無いけど、他の三日はこんなもんじゃね?」


 食券を渡して来た勝也に尋ねた結果、そんな回答を頂いた。俺やブラックみたいに席だけ使う人が居るのを考えると、割りと納得の混み具合なのかもしれない。

 待つこと五分強、カツ丼が完成したみたいだ。勝也の頼んだカツ丼……勝……カツ……ププッ。覚えていたら、この件は後で谷園あたりに報告してみよう。


「はい、カツ丼ね!」

「うぃっす! じゃ、頼んだ青」

「あいよ」


 ブラックの待つ席までカツ丼を運び、さっそく三人でランチを始める。とは言っても、男三人で食べる時なんてのは、一人が話題を振って、それを広げるだけである。


「最近、『大宇宙ギャラクシー少女ユカリ』にハマってる訳だけど……」


 ……たまに、ごく稀に、話題の提供者によっては広げ方が難しい話があったりするが、それならそれで聞き手に回るという手段を取れば良いだけだが、ブラックや勝也との会話ならば無理をしてでも広げていくくらいのコミュ力はあるつもりだ。


「何それ、ギャグ?」

「ブルー、それは拙者も最初は思った事である。だ! が! ふたを開けてみれば、ただの百合ものでしたね」

「イチャイチャ系のか?」

「キャッスル、それは拙者も途中まで思ってたでござる。だ! が! ユカリちゃんが、ギャラクシー仲間である『アイスライム・ローリング・ローリー』……通称『アイムロリちゃん』のお尻をも――いや、観たが早い」


 こいつ……! 一番気になるタイミングで説明を止めるとか、やってくれる。これではチェックせざるを得ないではないか。


「ちなみに原作は?」

「コミックですぞ」

「ふむ……本屋に立ち寄ってみるか」


 昼飯を食べ進めながら、更に最近のオススメと称して、ブラックが漫画やラノベを進めてくれる。特に最新情報を追ってはいない身としては、ブラックの情報は助かったりするものだった。勝也は、ブラックはもちろん……俺よりも詳しく無い筈なのに、楽しげに会話を広げていた。


「なら、今日の放課後にでも行きますか!」

「ブラック、アニ研は?」

「今日は休みですお」

「勝也は……部活あるか?」


 少し考えた後に、「確認してみる」と言った。手首を怪我してるとはいえ、バスケ部を休めるかは聞いてみないと分からないのだろう。勝也は部活でも期待されてるみたいだが、可能ならチャンスだし、遊びに行きたいがな。


「ブラック、俺も人の事言えないけどよ、勉強の方は大丈夫か? お前もヤバかったよな?」

「ぐぐ愚問だな、キャッソー。社会科と化学はそこそこ点数高いぞ!? 後は……ほら? 平均的だし? だから平気……みたいな?」

「俺は数学だけがヤバイんだよなぁ~、後は平均より少しは良い……と思いたい」


 ヤバそうだな! というのが口から出そうだったが、かく言う俺も苦手は無いが、得意と言える教科は無い。点数にしてみれば、英語と数学が不安定だが、他は安定した点数を取れている。七〇点前後だ。


「そろそろ、評定とか気にする時期じゃね?」

「やめてくれキャッソー……まだ青春(ラブコメ)してないのに、もう受験に向けて動くとか嫌だぁぁぁ!!」

「ブラックに青い春とか来るのか? 帰ってもアニメ観てるだけだろ?」


 そう勝也から言われたブラックが、窓の外へ視線を向けて、呟く様に言った。


 ――「拙者、とある女子に、一目惚れさせていただきまし……た」と。


 俺の頭に浮かんだのは、二次元の美少女キャラ。だが……


「それって、この学校の人か?」

「そうだ……三年生なのは分かったが、名前とかクラスは知らないぽよ。でも、ちょっと制服着崩しちゃう系」


 と、俺の考えは否定された。この学校で着崩しちゃう系なら少ない方だと思うし、三年生まで分かっているなら、辿り着けそうではあるな。


「おい、ブラック……マジ? 二次元美少女好きのお前が?」

「ブルー、そこは放課後にでも話そうぞ。そう……あのギャップ萌についてな」

「くっそ……ちょっと意地でも部活休むわ! これは一大事だしな!」


 ギャップ萌にやられるのが、どうにもブラックらしくて少し安心するが、確かに勝也の言う通りで一大事だ。放課後になったら、ちゃんと話を聞かせて貰おう。





誤字脱字その他諸々ありましたら報告お願いします!(´ω`)


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2020/1/11~。新作ラブコメです! 『非公式交流クラブ~潜むギャップと恋心~』
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