第51話 揺れるモノに目は向かう
ネット小説大賞落ちてました……はぁ……orz(悲しみのどん底)
ま、それは置いておいて
よろしくお願いします!(´ω`)
「おい、ブルーよ! 何やら面し……ふがっ!?」
「それ以上は何も言わずに、とりあえず静かにしてくれ……」
近くに駆け寄って来ると共に、いきなり話題に触れようとしたブラックの口を塞いで、勝也も含めて三人でしゃがみ込んだ。
三人でこうして向き合って顔も俯きがちにしていれば、特に目立つ事は無いだろう。生徒もどんどん集まってきて、後は先生が来るまでは何をしてても良いからな。
「くっくっく……最近は話題が尽きんな、ブルー」
「それは同感だな」
「勝也はともかく、ブラックが今日の話題について知ってるなんて少し驚きだな。遂に自分のクラスにも友達ができ……てないのか。まぁ、顔上げろよ……」
恐らく聞き耳を立てて盗んだ情報なのだろう。『クラスにも』の辺りで顔がより沈んでいった。ホントに大丈夫なのだろうか? 少しだけ心配になる。
「違うから、情報は命だから。誰とも話さない方が誰かと話すより、全体的な情報を集められるから」
「そうして集める情報は薄そうだよなぁー。というか……勝也がブラックの上位互換過ぎてショボいぞ?」
「まぁまぁ、今は青の問題だろ? ブラックまで知ってるとなると……一年の女子も知ってる可能性があるし、となると、時間の問題だな!」
凄く怖い事をサラッと言われた気がする。
時間の問題って、時が解決してくれる……という解釈ではないよな、流石に。普通に時間の問題だろう。なにそれ怖いっ! ゼロになったらどうなってしまうのかが想像しにくいのが特に!!
「で、ブルー。実際の所はどうなのだ? 例のお嬢様に手紙を送った件について」
「あれは手紙じゃなくて、伝言を書いた紙を渡しただけだ。内容をさ、食堂の周りが聞き耳を立ててる中で言う訳にもいかないだろ?」
「そう言えば、灰沢さんの周りって誰も近寄ら無いから静かだよな。近寄り難いのかもしれないけどー」
そうだ。気になるのなら俺じゃなくてひま後輩に聞けば良いのだ。一年生にとっては、ひま後輩と話せるチャンスでもあると思うし。
まぁ……聞き方を間違えたら一気に嫌われるリスクもあるにはあるのだが、それでもキッカケには間違い無い。
つまり、俺はアシストをしたのでは無いだろうか? 食堂に居た、全てのひま後輩を好きな男子にとって。
「確かに近寄り難くはあるが、そういう界隈からすると……あえてぐいぐい話し掛けて、罵倒されるという業」
「深いな……悪い意味で」
「灰沢さんからしたら、迷惑以外の何物でもねーな」
三人で駄弁っていると、体育教師である根元先生が始めにやって来て、赤組と白組に別れて並べと指示を出した。
先生を正面に、右から赤組一年の一組と二組、二年の一組と二組、三年の一組と二組という順に並んで整列をする。
拡声器を手にした根元先生が、今後のスケジュールや今日の予定やらを話始め、最後に『後は、各組の団長の指示に従うように』という言葉を残して、時間ピッタリに来ていた他の先生達が並んでいる場所に戻って行った。先生は、困った時にだけサポートする立場で、基本的には三年生達に任せるらしい。
「じゃあ、赤組はこっちを向いてくれ」
団長の岡田というイケメンの一声で、白組に背を向ける様に全員が右に体を動かした。仮に俺が同じ台詞を言ったら首しか動かしてもらえないだろう。これが、イケメンの力か……って、違うな。団長だからだな。
「今から入場行進の練習を行うけど、まずは一年生の為に説明します。二年生は去年やったから分かってると思うが、一応聞いておいてくれ」
入場行進は団長達、三年生、二年生、一年生の順で男女半分に前後で分かれ、四人一列に並んでグラウンドを一周する。その時の乱れの少なさ……つまり、いかに足踏みを揃えて行進出来るかが重要になってくる。
これも少ないけど、ポイントが入る事になっていて……幸先の良いスタートを切れるかどうかの勝負は、入場から始まっている訳だ。
「……という事だ。あと、そうだね……最後尾の人は場合によって、男子の列、もしくは女子の列に移動して貰う事がある。そこは申し訳ないけどお願いするね。じゃあ、とりあえず足踏みの練習をするから少し移動します」
「皆、立ってください。とりあえず足踏みなのでこのままの移動で良いですよ」
団長や副団長の指示に従って白組から離れるように少しだけ場所を移動した。何気無く右や左を見渡していると、やはりと言うか何と言うか……少し離れてはいるが、ひま後輩はすぐに見付けられた。
紅亜さんも目立つ存在ではあるのだが、クラス毎に男女二列ずつで並んでいると、少し後ろに居るから振り返らないと見えない。が、ひま後輩は右を向けば普通に見付けられたし……体操服姿だと、尚の事一部が目立っている。
左を向いた時に、隣の奴と目があったのも、前に並んでる奴も右を向いていたのもソレを見ようとしていたからだろう。気持ちは分かるが、少し露骨過ぎやしないかね?
◇◇
「イチッ! イチッ! イチッ!」
右足を地面に着けるタイミングがイチ。それを声のよく通る三年リーダーの女子が言ってくれるお陰で、そう難しくは無い。リズム感が少し危うい俺でも出来てるからな。
行進は笛の合図で始まりと終わりを区切るのだが、綺麗な始まりと綺麗な終わりを目指して何度もそこを練習し始めた。
ただ足踏みをしていれば時間が過ぎていく……良い時間だと、頭の中はそんな雑念だらけだが、足踏みは揃えているし男子のほとんどは俺と同じ考えだろう。
のののなんかは勉強してる方が楽……なんて言いそうだけど。
「じゃあ、実際に少し歩いてみようか。隣の人や前の人とズレてないか確認しながらね」
「ゆっくり行くからペースを合わせてね!」
授業の終わりを告げるチャイムがなるまで行進の練習は続けられた。次の時間の始まりは、とりあえずまたクラス毎に並んで待っていれば良いらしく、十分間の休み時間となった。
休み時間と言っても、トイレに行かないのならその場から動く必要も無いし、俺は座っている事にした。足を伸ばしで両手はバランスを取るように少し後ろの地面に着けてボーッとしておく。風が中々に心地よくて、今日は良い天気だと改めて確認する。
「よっこらせ……ですわ」
「それはちょっと不自然だなぁ~」
ひま後輩よ……知り合いの少なさが、俺の所に来る事で露見してしまっているな。まぁ、今は心地よくて誰が来ても別にどうとも思わない状態だ。何なら一緒に日向ぼっこでもどうですか? とお誘いするレベルである。
「神戸、大変。眠たくなってきた」
「凄く分かる」
「あら? 巳良乃さん……でしたわね、ごきげんよう。今日の髪型、頭のお団子が可愛らしいですわね」
のののも来た事によって、更にお友達が少ないですよゾーンが完成に近付いてしまったな。ブラックが来れば完成だが、奴が来る未来が全然視えない。
「神戸がやってくれた~」
「……意外と器用でしたのね」
「いや~、スマホで確認しながらやったんだけどね」
俺とのののが間延びした声で会話してる間も、ひま後輩はシャンとしている。この天気でも崩れないとは流石、伊達じゃないな。
「神戸、揺れる物に目が奪われる~?」
「ひま後輩、少し耳を塞いでもらっても良いかな?」
「えっ? 何でですの? まぁ、良いですけど……」
俺が他の男子の視線の先が分かった様に、のののも男子の視線がどこをチラチラと視ていたか分かったのだろう。だが、俺は断じて違うと説明しなければならない。ひま後輩を見付けた時に視界にはたまたま入ってしまったが、それ以降はそっちを確認していないのだから。
「確かに視界に入れば、揺れる物に目を奪われるだろう。だがな、ののの……俺はすぐに視線を逸らした。他の男子とは違う。今だって全然見てないだろ?」
「……髪型の話。神戸は“何の”話?」
「おぉ~っと、自爆されられた。ののの、卑怯だぞ」
のののの顔を見れば、この話でからかってやろうと思っていたのが分かる。これは完敗。仮に髪型の話を俺からしだしても、ひま後輩の胸の話にのののが持っていっただろうし、始まる前から結果は決まっている。勝機があるとすれば、どうどうとひま後輩の話をし始める事だが、隣を見れば全然耳を塞いで無いひま後輩が居るからやはり、勝機は無かった。
――というか、耳塞いで無いのかよっ!!
「ごめん、ひま後輩。この天気のせいで陽気になってしまった」
「い、いえ……その、そんなに目立ちますでしょうか?」
「めざわ……男子は皆見てた。女子として同情する」
目立つか目立たないかで言えば、圧倒的に目立つ。のののが本当に同情しているかは怪しいところだが、ここは男子代表として謝っておくか。
「まぁ、ひま後輩よ。男子がひま後輩を見る理由はひま後輩が魅力的だからだと思う。今は外見の方が目立っている状態だけどな。だからまぁ、その……男子としてごめんと言っておく」
「ふふっ、青先輩は変な所で律儀なのですね。男子の視線は、そうですね……私の大きな器で許可してさしあげますわっ」
「大きなのは胸」
うん、それを直接言わずにやってきたのに……のののよ、間違っちゃないけどさ。たしかに胸の話だけどさ……。
ひま後輩が少し顔を紅くして、のののは日向ぼっこに戻った。ひま後輩に、昼休みの終わりに電話をしておいたと一言伝えて俺も残りの数分をボーッとして過ごす事にした。
前書きと、この話の冒頭(書いたのは日曜日くらい)が繋がっているだと!?(笑)
誤字脱字その他諸々ありましたら報告お願いします!(´ω`)
へぇ……更新しない事をエタるって言うんだ。
へぇ……(^ー^)
というのは冗談で通常運転でいきますよっ!
そして、なんとなく新しいハイファンタジー作品を投稿しました。
よろしければマイページから読んでやってくだせぇ!
『秘境案内人』というタイトルで、ほのぼの系を目指す予定です